2015年8月6日
税理士のなかには、ほかの難関士業の試験に合格し、ダブルライセンス、トリプルライセンスの強みを生かした活動をする方が多数います。日税連が実施した第6回税理士実態調査では、税理士の業務の幅を広げる手段でもある、この複数資格取得者の状況についても調査が行われています。
同調査で、税理士登録者が取得している他士業資格は以下のようになっています。
弁護士 | 0.2% |
公認会計士 | 6.7% |
司法書士 | 0.2% |
行政書士 | 11.5% |
弁理士 | 0.01% |
不動産鑑定士 | 0.3% |
中小企業診断士 | 0.9% |
社会保険労務士 | 2.7% |
土地家屋調査士 | 0.1% |
弁護士と公認会計士は、その資格を持つことにより税理士として登録できる資格であり、ほかの士業とは意味合いが異なります。逆に、行政書士は税理士が無試験で登録できる士業であり、取得率が最も高いことは当然といえます。
なお、社会保険労務士業務は、昭和43年の社労士制度創設前、行政書士が行っており、同年以前に登録した行政書士は社労士資格を得ることができることも影響し、比較的高い割合を示しているものと思われます。
税理士のうち他士業資格の取得者は、22.8%。この数字は、前々回の平成6年(24.2%)、前回の平成16年(23.3%)から次第に減少しています。また、回答者は増えているにもかかわらず、公認会計士と行政書士以外は、20年間で人数が少なくなりました。
その原因として考えられるのが、士業資格の難化。資格スクールで行われる試験対策が高度化したことによる試験の難化は、ほとんどの士業資格試験でみられる傾向です。
なお、これは余談ですが、前回から取得人数、取得率ともに上昇した行政書士は、この10年間、マンガ・テレビドラマの「カバチタレ」等の影響で、資格の認知度が大きくアップ。
受験者数、登録者数ともに急増した時期でもあります。
税理士として活動しながら試験勉強を行い、士業のダブルライセンスを得ることは極めて困難です。しかし、行政書士の取得率が上がっていることに表れているように、ダブルライセンスで差別化を図ることへの注目度は決して低いわけではありません。取得者の希少性により、人材としての価値も上がっているといえます。
もし、税理士の皆様の中で、すでにほかの士業資格を取得している方は、登録維持費の問題がネックとなるものの、今一度登録を検討してみてもよいでしょう。
また、士業にかぎらず、FPや証券系、不動産系等々、転職市場でもアピールできる税理士業務と関連の深い資格の取得を戦略的に検討することも考えるべきかもしれません。