2015年6月29日
日本税理士会連合会(日税連)はこのほど、「第6回税理士実態調査」の結果を公表しました。同調査は、平成26年1月1日時点で登録されている税理士・税理士法人合計77,007件に調査票を配布して実施(有効回答数は33,767件)。規模の大きさから、その名の通り税理士の実態を示す最も信頼できる調査であるといえます。
今回、調査結果からとりあげるのは、税理士の年齢層。前回平成16年の調査結果と対比して業界の状況を概観してみましょう。
今回の調査で、税理士の年齢層は次のような分布となりました。
20代 | 0.6% |
30代 | 10.3% |
40代 | 17.1% |
50代 | 17.8% |
60代 | 30.1% |
70代 | 13.3% |
80代 | 10.4% |
20代 | 1.1% |
30代 | 10.4% |
40代 | 15.6% |
50代 | 19.3% |
60代 | 18.4% |
70代 | 29.1% |
80代 | 5.4% |
今回の調査結果でまず目に付くのは、「60代」の割合が増加していること。
一方、前回調査でトップだった「70代」の割合は半減しています。
前回の調査で70代だった方が移行する「80代」は、今回倍増しました。
前回の調査結果で、最多の年齢層が70代であったことは驚きを持って受け止められ、「税理士の高齢化」が語られる際に、非常によく引き合いに出されました。
しかし、このデータについては「70代の税理士は、登録はしていながら実質的に引退している人や、第一線で実務に関わっていない人が多いのでは?」という指摘もありました。
一方、今回の調査でトップとなった60代の税理士の多くは、現役で実務を行っている方が多いでしょう。所長税理士として事務所を経営している方も多いはずです。
採用活動において、多くの先生方と関わっているエージェントから見ても、60代の税理士の層の厚さは、強く感じられるところです。
そして、今回の調査では、60代以上の税理士の割合は52.9%から53.8%に上がっています。
「最大の年齢層が70代から60代に下がった」というデータよりも、税理士全体の高齢化の進行が、構造的に明確になっていることを読み取るべきだと思われます。
そして、20代の税理士の割合が半減していることも注目すべきでしょう。
20代の割合は、昭和59年、平成6年、平成16年の調査と、いずれも1%程度で安定しており、0%台に落ちたことは調査開始後初めてのことです。
若手の勤務税理士にとって、この数字自体は決して悲観的なものではありません。
現在、税理士事務所では若手の人材不足が顕著になっており、売り手市場ともいわれる状況です。これから、現在60代の税理士が実務の第一線を退き、事業承継を含めた検討に入っていく時期が確実に訪れます。
勤務税理士は、今後10年で確かなキャリアを積むことで大きなステップアップが望めるはずです。
もちろん、税務会計業務への需要と供給の関係は、税理士数だけでは測れるものではなく、経済状況や産業構造などの要素が大きく影響します。
若手税理士は、会計人に求められる役割の変化に目を向けながら、税務会計に関連する新たな業務への展開、また海外需要をとり込む国際業務等のスキルアップを検討するとよいでしょう。