2014年8月21日
日税連の発表によると、平成25年度の税理士法人の設立・設置の届出数は226事務所で、全国で税理士法人は増加傾向にあるそうです。
一方で全国の税理士事務所は、総務省、経産省による平成24年度の「経済センサス」によると、平成21年の2万9,098から2万7,945と、4.0%ほど減少しています。
これらのデータから読み取れることは、個人事務所からの法人化、そして小規模事業所の改廃による大型化の動きがあるということです。
今後も、高齢の税理士が経営する事務所を中心に、小規模事務所の廃業、あるいはM&A等が進み、事業所数の減少傾向も進むものと思われます。
この現状は、勤務税理士の状況も大きく変えます。日税連の調査では、税理士法人に所属する税理士登録者は、社員税理士が7113人で前年度比435人増、
補助税理士が3350人で307人増。税理士法人に勤務する税理士は1万人を超えています。
大型法人では、専門的知識を持つ税理士が複数所属することで、大企業向けの連結決算業務を含む税務、国際税務、税務に限らない経営コンサルティング等、
小さな事務所が手がけにくい業務について、専門の部署を設置して取り組むことができます。勤務税理士の転職においても必然的に、重要な存在となっています。
大型事務所では業務が細分化されているため、スペシャリストとしての知識・実務能力が重要となります。
しかし、税理士には「税務に関する広い知識を持ち、なんでも相談に乗る」、といったゼネラリストとしての素養が求められます。
税理士としてどのような働き方をするかということは、専門家としてのキャリアに関わります。晴れて大手の事務所に転職が決まったものの、
専門分化した部署での業務に適応できずに悩んでしまうという例が多いのも事実です。
ゼネラリストとしての税理士を目指すのであれば、業務全体を見ることのできる中小規模の事務所に狙いを定めるのがよいかもしれません。
また将来、管理的な業務に就きたいと考えているのであれば、中小事務所の方が理想に近いでしょう。
しかし、事務所の大型化の流れがある今、中小事務所では収益性を高めるための業務効率化、新規業務の立ち上げなどの戦略が必須です。
これは勤務税理士の収入にも影響します。
勤務税理士の収入アップのためには、いわば「経営者」としての資質が必要とされることになることは忘れてはならないでしょう。
税理士の役割は時代に合わせて変わっていくものです。
しかし、自分が税の専門家として、将来どうなりたいのか、という自己イメージを持っておくことは重要です。
市場の状況と、自分の理想とするキャリアプランを意識しながら転職活動を行うことが必要なのだと思います。