2015年7月30日
現在、会計人材の活発な求人が行われている関西地方。今回は、現在の状況を分析するため、日本税理士会連合会が平成26年1月時点の登録税理士・税理士法人を対象に実施した「第6回税理士実態調査」のデータを参考に、前回調査からの10年間で、近畿税理士会の登録税理士数がどのように変化したのかをみていきます。
まず、全国の税理士登録数からみていきましょう。平成16年4月時点の67,368人から、平成26年4月時点で77,007人と、9,639人増加しており、増加率は14.3%となりました。
単位会ごとの数字を見ると、最も会員数の多い東京税理士会の登録数は、17,884人から22,132人に増加。増加率は23.8%で、全国平均を大きく上回っています。
一方、東京税理士会に次ぐ会員数を持つ近畿税理士会の会員登録数は12,778人から14,490人。増加率は13.4%で、全国平均を下回っています。
会員数のデータだけでは、その原因を正確に推し量ることはできませんが、前回調査からの10年間、好調とはいいがたかった関西経済の状況から、相当数の会員が、東京圏へ移動したことも要因の一つとして考えられます。
次に、現在、税理士業界で全国的にみられる、事務所の大型化について考えてみましょう。
ここで参考になるのは、事務所や法人に勤務する補助税理士の数です。
今回の調査時、近畿税理士会は、登録会員数14,490人のうち、補助税理士が1,621人。全体に占める割合は11.2%となっています。この割合が10%を超えている単位会は、全国で以下の5会のみです。割合が高い順に紹介します。
1.名古屋税理士 13.8%
2.東京税理士会 13.3%
3.東海税理士会 11.3%
4.近畿税理士会 11.2%
5.九州北部税理士会 10.8%
名古屋や九州北部など、都市圏に集中するかたちで設置されている単位会では、勤務税理士の割合が高くなる傾向があります。近畿地方の税理士業界も「都市型」の特徴を示している地域であると分析することができます。
現在、関西経済は回復基調にあります。企業活動が活発化し、会計需要が発生していることから、大型化が進む関西の会計事務所・法人では、業務拡大に伴う人材獲得に動いている状況です。その際、税理士数の増加が比較的緩やかであることは、転職を考える勤務税理士にとって良い材料といえます。また、関西地方では特に若手の人材不足の傾向が顕著に見られます。
転職を検討している勤務税理士の皆様は、関西経済全体の景況感、新たな会計業務需要に目を向けながら、関西の税理士事務所・法人がどのような税務・会計スキルを求めているのかを見極め、「ライバル」と差をつけるスキルを確実にアピールすることで、有利な条件での転職が期待できるでしょう。