2015年6月22日
現在、関西地方の主要都市は、国から「国際戦略総合特区」として指定され、新規ビジネスの創出等のため税制による支援が行われています。近畿地方で業務を行う税理士・会計士としては、国税・地方税の本則だけではなく特例の動きも注視し、関与先への情報提供を行いたいところです。
国際戦略総合特区は、経済社会の構造改革を重点的に推進し、産業の国際競争力を強化、国際的な経済活動拠点の形成を促進するため規制改革等の施策を総合的かつ集中的に推進する地域です。
京都府、大阪府、兵庫県の3府県、また京都市、大阪市、神戸市の3市は、実現可能性の高い先駆的取り組みを行う区域について指定される特区、通称「関西イノベーション国際戦略総合特区」として指定されています。特区の特定事業については国と地方の協働として規制緩和や税制での優遇が行われます。
税制上の支援では、認定を受けた事業を行う企業が、法人税において、機械や建物への投資額の一定割合の税額控除、機械等の取得価額の特別控除、課税所得の一定割合の損金算入などを受けることができます。
関西イノベーション国際戦略総合特区では、医薬品、医療機器、先端医療技術、バッテリー・エネルギー、スマートコミュニティなどの分野において革新的な技術開発をめざします。目標として、2025年に関西からの医薬品、医療機器の輸出を倍増、太陽電池生産額を約5倍にすることを掲げています。
特区では、国税における優遇税制のほか、地方税について自治体ごとの優遇施策が行われています。特区の指定を受けた上記3府県、3市における地方税の措置については個別に確認する必要があります。
そのなかでも注目されるものとして、全国で初めて大阪府が実施した、「地方税ゼロ」の試みがあります。これは、特区地域に進出し、新エネルギーやライフサイエンス等の特定事業を行った企業に対して、法人二税(法人事業税・法人府民税)が最大で5年間無税+5年間は1/2(最大の場合)。不動産取得税も事業計画認定後3年以内に取得した特区事業用不動産にかかる取得税がゼロにとなるという制度です。
税軽減措置の適用を受けるには、認定を希望する企業が「事業計画」を作成し、府担当課が条例等の認定基準との整合性等を確認、審査会において審査し、さらに知事による認定を受ける必要があります。また、税優遇を受けるには毎年度の実績報告書の提出が必要となるなど厳格な定めがあります。
規制緩和や税制においてメリットの大きい特区だけに、先進的な技術を持った企業にとって、関西地区への進出は魅力のある選択肢となるでしょう。進出を検討する企業に対して、税理士や会計士には税制ほか各種の特例を勘案した財務的なシミュレーション、税務申告などの業務を行う大きな役割があります。
関西イノベーション国際戦略総合特区の申請業務や税務申告業務に取り組むために、会計事務所等ではプロジェクトを組み、総合的なサポート体制を築いているケースもあります。個々の会計人も、関西の先進技術発展のカギを握る制度として、その概要や自治体ごとの制度について確認しておき、理解を増しておく必要がありそうです。
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