2014年11月17日
所長税理士は、勤務税理士に対し、大きな期待、信頼を抱いています。税実務に関して若手に任せている、という方が多いことにもその信頼は表れています。
しかし、それに加えて所長が勤務税理士に求めるものとしてよく聞かれるのが「ビジネスへの興味」「顧問先業務への理解」です。
税理士は税の専門家。どのような企業でも応用できる会計・税務の知識があることが求められます。
その点、多くの所長税理士は、勤務税理士が毎年の改正をキャッチアップし、深く理解していることを高く評価しています。
しかし、顧問先を訪問した際、経営者と税制の話しかせず、税金以外の経営、業界事情に関する「雑談」ができないという例も多いようです。
税務はある程度共通していても、各業種の経営には特殊性があります。
たとえば、その業界の収益が、何によって大きく左右されるか。流行や原料価格、リーディングカンパニー等同業他社の動向、あるいは、
公共事業や関連法制・行政の動きが大きく業績に関わる業種もあります。
専門分野の知識は、社長のほうが豊富なのは当然です。
しかし、新聞やビジネス雑誌に載っている程度の業界ニュースを最低限知っているだけでも、社長に「話のわかる税理士」と認められることになります。
社長は話し好きの人が多く、そのような雑談ができる税理士には、もっと突っ込んだ業界事情、裏話を聞かせてくれます。こういった生きた知識は税理士にとって永く財産となります。
一般紙やビジネス雑誌から業界に関連するニュースを探すための便利なツールとして「グーグルアラート」があります。
業界のキーワードを指定すると、Googleニュースとして掲載された新聞記事、雑誌記事、ネット配信記事などが毎日メールで通知されるもの。
広すぎず、狭すぎないキーワードを指定することで、効率的に情報収集することができます。
業界のより深い話題を知るために便利なものが、その業界に携わる人が読む「業界紙」「専門誌」。
税務会計関連でもいくつか媒体がありますので、存在自体は知っていることでしょう。これらは、業界に関する情報の宝庫。
購読することはできないかもしれませんが、顧問先に届く業界紙の見出しだけでもチェックして、よく取り上げられる用語の意味を事務所や自宅で調べておくだけでもかなり差が出ます。
転職の際の面接で、勤務時代、どのような業種を関与先として持っていたのか、ということは必ず聞かれます。
勤務時代に担当する顧問先は、ほぼ偶然に左右され、経験したい業種を自分で選ぶ機会は限られます。その業種は、多くの勤務税理士が、担当したくてもできない貴重なもの。
せっかくの機会ですから、その業種に関するエキスパート会計人を目指しましょう。それが、あなたの替え難い価値となるかもしれないのです。