2014年9月29日
日本企業の資金調達の形は多様化しています。 その中で、企業が持つ資産をオフバランス化し、証券化し、運用益を配当する契約を行うことで広く資金を募る手法が注目されています。 会計事務所では、証券化の際に設立される特定目的会社(SPC)に関する業務を提供するところが増えてきました。
SPCは、平成10年、いわゆる「日本版ビッグバン」の一環として制定された資産流動化法(SPC法)の成立により法制化されました。
資産保有者(オリジネーター)は、SPCに資産を譲渡、SPCが証券を発行することで資金を調達します。
SPCによる資金調達では、投資家保護のために様々な義務があります。
SPC法等で、特定資産の運用計画や、資金調達計画である「資産流動化計画」等の届出が義務化されるほか、投資家に対するレポートの作成業務もあります。
税理士としての業務としては、株式会社や合同会社、一般社団法人、投資事業組合、有限責任事業組合等、特定目的会社の事業体となる「ビークル」の選択と設立、
資産流動化計画の策定、投資家レポートの作成、記帳代行、税務申告、そしてSPCの清算・解散手続きなどがあります。
最近は、SPC税務に携わる税理士の募集が常に行われている状況です。
しかし、SPC税務のネックは専門性の高さ。一般の法人税務を行う事務所に勤務する税理士にとって、SPCに関する実務経験を積むことは困難といってよいでしょう。
求人する側も、経験者を優遇する傾向があることは致し方ないところです。
しかし、業務経験のある人の数に限界があるため、SPCを専門業務として取り扱う事務所の多くは、未経験者にも門戸を開いています。
SPC業務のスキルとして、一般の会社設立や企業の法人税務などが応用できることはいうまでもありませんが、一般企業の法人税務のほかに、
SPCの支払配当の損金算入制度について扱う租税特別措置法、所得税のパススルー課税の要件など、証券化スキームと関連税法を関連付けて学ぶ必要があります。
そして、資産流動化法、金融商品取引法等による、SPC運営のための規制に関する知識も、基本的なところを押さえておきたいものです。
公認会計士や税理士が執筆した専門書にも目を通しておきましょう。なお、国内外の金融機関、ファンド等を顧客とすることが多いため、語学力が求められることも多いようです。
未経験の場合でも、将来イメージを持って意識的に学習しているか否かは、求人を行う事務所にもすぐにわかるものです。
現在の業務で応用できる部分、足りない部分を明確にして、足りない部分を知識で補っていくように心がけてみましょう。