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税理士の業務が変わる!Google「NotebookLM」の使い方と活用法を徹底解説

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税理士 山中 宏

AIが税理士業務の現場を支援する時代がやってきました。

Googleが開発した「NotebookLM」は、PDFや税務の実務書を読み込み、まとめて、質問に対して的確に答えてくれる“読むAI”です。本記事では、NotebookLMの基本的な使い方から、税理士ならではの具体的な活用シーン、そして実際の質問例までをわかりやすく解説します。

税務の複雑な書面を効率的に整理・検索したい方は、必見です。

目次

■ NotebookLM とは

NotebookLMは、Googleが開発・提供するAIノート支援ツールです。ユーザーがアップロードしたドキュメントやメモ、ウェブページ、PDF、音声ファイルなどをAIが自動で解析し、要約・整理・検索・質問応答などを行うことができます。

(1)NotebookLMの使い方のイメージ

  • 資料(PDFやWebページなど)をアップロード
  • チャット欄に知りたいことを入力
  • AIが資料をもとに要約や回答を提示。根拠となる箇所へのリンクも自動表示
  • 生成された要約やFAQ、学習ガイドなどをそのまま資料として活用

(2)NotebookLMは、指定した情報源だけに基づいて回答する

近年、ChatGPTやGeminiのような生成AIが話題となっていますが、Googleが開発したNotebookLMは、これらとは異なる新たなAI体験を提供しています。
その特徴をひとことで表すなら、「あなたのアップロードした資料に特化して回答を行うAI」です。

つまりNotebookLMはインターネット全体を検索するのではなく、指定した情報源だけに基づいて、正確・信頼性の高い回答を生成してくれるのです。

■ 他のAIとの違い

(1)一般的な生成AI

インターネット全体の情報を元に回答を構築 → 正確さにバラツキがあり、「ハルシネーション(AIの虚偽回答)」の可能性もある。

(2)NotebookLM

アップロードされた資料だけを情報源として回答 → 回答内容に必ず根拠があり、出典も明示される。

(3)NotebookLMを使うメリットは?

  • 虚偽回答の抑制:指定した情報だけをもとにするため、勝手な憶測はほとんど発生しません。
  • 専門性の担保:社内文書・専門書・学術論文などを読み込ませると、AIが「その分野のプロ」のように応えてくれます。
  • 引用元の明示:AIの回答には、どの資料のどの部分に基づいたかが番号付きで表示され、すぐに該当箇所へジャンプできます。

■ NotebookLMの主な機能

  • ソースの追加:PDF、Googleドキュメント、テキスト、URLなどを読み込ませることが可能。複数資料を一括管理できるノートブック構造。
  • 対話型QA:読み込んだ資料について、「要約して」「違いを教えて」「ポイントを5つ挙げて」など、自然言語で質問可能。
  • アイデア出し:資料をもとに「企画案を考えて」「目次を作って」といったクリエイティブな提案も可能。
  • ノート保存:会話中の重要な回答は「ノート」として保存し、整理・共有・再利用ができます。
  • 会話での説明:保存したデータをAIの男女がまとめて要約してくれて会話で説明してくれます。

■ 税理士ならではの活用シーン

NotebookLMは、税理士のような「膨大な文書を読みこなし、判断を下す」専門家にとって、まさに頼れる相棒となります。以下のような活用が想定されます。

(1)税制改正対応マニュアルの要点把握

毎年のように行われる税制改正。そのすべてを細かく読み解くのは大変ですが、NotebookLMなら、改正ポイントだけを要約し、「去年との違い」なども瞬時に抽出可能です。

(2)複雑な税務通達の比較と解釈

税務通達の内容を複数読み込ませて、「共通点は?」「どこが違う?」と質問することで、制度の理解が効率的になります。

(3)顧問先ごとの業種別税務資料の整理

顧問先によって参照する税務資料が異なる場合、NotebookLMでノートブックを顧問先ごとに分けて整理することで、瞬時に業種特有の論点へアクセスできます。

(4)過去の相談内容や回答履歴の再利用

過去に自作したメモや報告書、メールを読み込ませれば、「以前似たような相談があったか?」と探す手間を大幅に削減できます。

■ 【実践例】税理士業務での活用:別表四・五の処理をAIに聞いてみた

では、NotebookLMを税務の実務支援ツールとして活用するシミュレーションをご紹介しましょう。

たとえば、国税庁のwebページや専門解説書をPDFでNotebookLMに読み込ませた状態で、次のような質問をしてみます。

(1)質問例

「決算確定後に売上の計上もれ100万円が判明した。別表四・五(一)ではどう処理すればよいか?」
NotebookLMは、売上計上もれについて説明してくれると同時にその後別表四、別表五の処理の仕方を教えてくれました。

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(2)関係ない質問をしたら?

念のため、ここで別表四・五に関係のない質問をしてみます。
「今日晴れていて暑いけど、夕飯は何がお勧め?」

回答は以下のとおり
「提供された資料は、夕食のメニューや暑い日に適した料理に関する情報は一切含まれておりません。そのため、ご希望の夕食のおすすめについて、これらの資料から回答することはできません。」

とあっさり回答を断られました。余計なことは言わないAIです。

■ 専門家・実務家にこそ使ってほしいAI

NotebookLMは、単なるチャットAIではなく、「自分だけのAIパートナー」を作ることができるツールです。
特に次のような場面で真価を発揮します

  • 会議資料や契約書の要約・比較
  • 社内規程やマニュアルのQA対応
  • 税務・法務・技術など専門分野の情報整理とアイデア出し

■ 税理士が導入するメリットとは?

(1)判断ミスの防止

膨大な資料を読み落とすリスクを減らせるため、ヒューマンエラーによる誤った処理を防ぐ一助になります。

(2)新人スタッフ教育ツールとして

複数の税務解説書や実務QAをNotebookLMに読み込ませておけば、「○○の場合、どう処理する?」という質問に即答してくれるAI講師として機能します。

(3)質問しづらい案件の補助役

「いまさら人に聞きづらい…」というような基礎的処理や例外規定も、AIなら気兼ねなく何度でも質問可能です。

■ まとめ:AIを「あなたの専門書」に変える時代へ

NotebookLMは、あなたが指定した資料だけを「読んで」「覚えて」「答える」──そんな“頼れるAI助手”を現実にしてくれるツールです。

「AIが信頼できるかどうか?」という問いの時代から、
「AIをどう使えば、自分の知識資産を最大限に活かせるか?」という問いへ。
あなたの手元のPDFやマニュアルが、AIの中で“生きた情報”として活躍する時代が、すでに始まっています。

【補足】無料で試せる!
NotebookLMには無料プランと有料プランがあります。無料プランでは、1ノートブックあたり最大50個までの資料ソースが読み込み可能という制限はありますが、通常の実務使用には十分対応可能です。
まずは無料で試してみてはいかがでしょうか?

執筆者プロフィール

山中 宏(やまなか ひろし)
税理士/山中宏税理士事務所

1995年中小企業診断士取得、2014年税理士登録、2020年ウェブ解析士取得。2021年6月山中宏税理士・中小企業診断士事務所開業。

会計事務所、大手自動車メーカー他実務経験が豊富。管理職経験が長く会社間や人とのコミュニケーション能力が高い。

現在では税理士として決算、税務相談、確定申告を行うだけでなく、中小企業診断士・ウェブ解析士として実地のコンサルティング、ウェブ集客・SNS集客を通して売上拡大、集客拡大の支援を行う。

関連サイト

山中宏税理士・診断士事務所

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