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未経験でも会計事務所へ転職したい!そんな時におすすめの資格3選+ITスキル2選

税理士 定岡佳代(絵と文章)

図1

一般の方にはなじみの薄い会計事務所。そのため未経験ながら会計事務所へ転職したいと考えた時に、「では、どんな資格があれば有利になるんだろう」と思いますよね?

これから勉強するなら、転職に有利な役立つ資格を知りたい!ということで、税理士の定岡佳代先生にどのような資格がおすすめなのか、お話をお伺いしました。

これから会計事務所で働きたいと思っている方の参考にしていただければ幸いです。

目次

■ 会計事務所への転職に強い、おすすめ資格3選

■ 資格以外でも会計事務所で高く評価されるスキル

■ 最後に

■ 会計事務所への転職に強い、おすすめ資格3選

ここでは「会計事務所“未経験”の方が転職の際に持っていると有利な資格」という観点でお話いたします。わたしがおすすめするのは、以下の資格です。

(1)日商簿記検定3級・2級(または全経簿記能力検定3級・2級)

日商簿記3級・2級は、多くの会計事務所で応募条件としてあげられている資格です。

会計事務所の業務が未経験であっても、日商簿記を取得していることで基本的な簿記の知識はあるとみなされ、最初のハードルは超えることができます。一般企業の経理部門への転職でも有利になりますので、何を取得するか迷っているのであれば、まずこちらを勉強すれば間違いありません。

日商簿記は、3級が個人商店の簿記、2級が企業の簿記(連結会計含む)です。わたしが受験した10数年前には難易度の高い「連結会計」は1級の範囲でしたが、昨今は2級の範囲となっており、2級が難化していると聞いています。

また、コロナ禍をきっかけにネット試験が導入されています。昔は年3回の日程で会場試験しかありませんでしたが、現在はチャレンジする機会が多くなったといえるでしょう。ネット試験を利用してぜひ合格を掴んでください。

(2)全経の税法(相続税、消費税、法人税、所得税)の3級・2級

全経(全国経理教育協会)は様々な能力検定を実施しています。

全国経理教育協会ホームページ

経理・会計専門学校の学生向けの資格である簿記能力検定以外にも、所得税法、法人税法、消費税法、相続税法の「国税四法」と呼ばれる税法について、それぞれ1~3級の能力検定試験があります。1級の計算問題は税理士試験と同等の難易度とされています。

全経では検定試験用の講座が設けられていたり、独自のテキストも販売されています。他の資格学校の税理士試験の受講料ほど高額ではないため、税法の入門編として3級から始めてみて、勉強を積み上げていくのもよいと思います。

また、税理士資格を既に取得されている方で、勉強が不足している税法について基礎から学びたいと思う方にも、この全経の税法能力検定はオススメといえます。

(3)税理士試験の科目合格

一昔前は、会計事務所の募集要項では税理士試験の科目合格が必須だったこともありましたが、昨今は人手不足のため必ずしも必要ではありません。

ただ、税理士試験の科目合格を持っているというのは、モチベーションが高いことの証明になり、転職で大変強みになります。また、税理士試験科目合格は基本給に加え「資格手当」がつく会計事務所も多いですので、転職後もモチベーションアップになるでしょう。

税理士を目指している方は、会計科目である簿記論・財務諸表論から勉強して合格する方が多いかと思います。実は、消費税法は簿記2級程度の知識を持って勉強すれば、合格することが可能です。実際にわたしの場合、簿記2級合格のあと、税理士試験で最初に合格したのは消費税法でした。

税法科目は会計科目に比べて受験生のレベルが高く難易度が上がります。1科目でも合格すると、資格取得までぐっと近づきますので、あえて最初に消費税法にチャレンジしてみるのも戦略の一つだと思います。試験勉強を始めたばかりの頃はモチベーションが高く、やる気に満ち溢れていますので、早い段階で税法の理論暗記を経験しておくのもよいでしょう。

(4)その他

会計・税務とは分野が違いますが、給与計算を行っている会計事務所の場合、社会保険労務士(社労士)の資格を取得している、あるいは社労士試験の受験生であると評価が高いです。

社労士は社会保険だけでなく、労務全般のプロです。会計事務所でもお客様から社会保険や雇用関係について質問される機会はよくあるため、知識がある従業員は戦力になるからです。

社労士試験は、税理士試験同様年1回の実施で、合格率が非常に低い難関国家試験です。

■ 資格以外でも会計事務所で高く評価されるスキル

資格以外でも非常に重視されるのがパソコン、特にExcelのスキルです。

ほとんどの会計事務所は、電子申告を行うために、会計・申告ソフトを導入しています。ただし、会計ソフトと申告ソフトは一体となっているとは限らず、会計ソフトと申告ソフトは別になっており、このソフト間でデータ連携を行っているケースも多いと思います。

データ連携を行う際、「会計ソフトから一旦csvファイルにデータを出力し、これを加工して申告ソフトに取り込む」という作業を行っている事務所は多いのではないでしょうか。

この作業ではExcelスキルが必須ですので、基本的な操作はできるようにしておきましょう。

また、どこの会計事務所で働くとしても、そこで使用しているソフトに慣れるまでは時間がかかりますし、習得しようとする根気強さが必要です。今後も生き残っていく会計事務所では、日々更新される新しいシステムに対応する柔軟性も求められるでしょう。

さらに、昨今はクラウドシステム(マネーフォワードクラウド会計、クラウド会計ソフトfreeeなど)を扱う会計事務所が増えていますし、今後会計ソフトの主流になっていくでしょう。こういったシステム操作に興味を持って取り組める人材は、たいへん歓迎されるのではないでしょうか。

会計業務がまったく未経験であっても、SEの仕事をしていた方を求める求人は増えていると聞きます(ジャスネット調べ)。

パソコンスキルに関しては必ずしも資格は必要ではありませんが、参考までに以下のような資格があれば知識があるということをアピールできると思います。

(1)MOS(マイクロソフト・オフィス・スペシャリスト)

これはMicrosoft社が提供するWord、Excel、PowerPointなどの利用スキルを証明する国際資格です。

Excelは上述したように通常業務において必須スキルですし、Wordは送付状の作成や書面通知が必要な資料作成の際に必要です。

また、会計事務所の業務の一環で、営業やセミナーを行う場合には、対外的な資料を作成するためにPowerPointが使えると重宝されるでしょう。

(2)VBAエキスパート

VBAとは「Visual Basic for Applications」の略語で、Microsoft officeツールで扱われるプログラミング言語です。主にExcelの作業を効率化するために用いられます。この資格を取得しないまでも、VBAの知識があるとかなり高度な作業まで可能であるという証明になります。

VBAを使ってExcel上の操作を記録させる「マクロ」という機能があります。

たとえば、毎月定例で「会計ソフトから出力したcsvのデータから別シートに◯◯といった表を作成する」という業務があるとします。手作業だと30分かかるところを、この一連の作業をマクロ登録しておくと、ボタン一つで数分で完了する…となれば、非常に時間短縮になりますよね。

こういったVBAを理解できる人材は、特に大会社を顧問先としている税理士法人には、顧問先のPCに強い担当者とコミュニケーションがとれる人材として需要が高いと思います。

また、自動化・効率化に関する手段として「RPA(Robotic Process Automation)」も抑えておくと、面接時に話題になるかもしれません。

「高度なPCスキルがあり、簿記2級程度の会計知識がある人材」は現状多くはありません。このような二刀流の人材は、今後も争奪戦になるでしょう。

■ 最後に

わたしの場合、30代、育児中に「簿記3級を取ってみよう」と思いついたところから勉強を始めましたが、自分がまさか将来税理士になるなんて、その時は思ってもみませんでした。

また、勉強を始めるのに年齢は関係ないと思います。今日が一番若い日!と思って、ぜひチャレンジしてください。

このコラムが、これから資格取得を考えている方にとって、少しでも参考になれば幸いです。

執筆者プロフィール

定岡 佳代(さだおか かよ)
税理士

兵庫県出身。1980年生まれ。神戸大学工学部建設学科、神戸大学大学院自然科学研究科(土木工学)修了。

関西で技術職に就くも、結婚・出産・上京を機に専業主婦に。次男の妊娠中に簿記の勉強を始め、日商簿記3級・2級に独学で合格。そこから税理士試験に挑戦し、パート勤務、大学院通学と並行しながら3科目合格。立教大学大学院経済学研究科を2020年3月に修了。2021年4月、税理士登録。

硬式野球男子2人の母。「税理士を目指すママ」コミュニティで知り合った友人のママ税理士4人で、セミナーや対談など活動をしている。都内の税理士事務所、税理士法人で約10年の修行を経て、2023年8月に独立開業。

「お客様はピッチャー、私はキャッチャー。どんな球でも受け止める。」をモットーに、お客様との対話を大切にしている。

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