新規登録 求人検索
新規登録

税理士補助の主な仕事内容と、これからの役割の変化

写真1

ジャスネットコミュニケーションズ株式会社 エグゼクティブエージェント
税理士 山中 宏

会計事務所や税理士法人の求人に、「税理士補助」という仕事があります。なんとなくイメージはできると思いますが、税理士と税理士補助の具体的な違いや仕事内容についてご存じでしょうか。

ここでは税理士である山中先生に、税理士補助の仕事内容や給料、そして税理士試験合格をめざす人が税理士補助として働くメリットなどを教えていただきました。

税理士補助として転職したい方、税理士を目指している方などは、ぜひ参考にしてください。

目次

■ 税理士補助(会計事務所スタッフ)とは?

■ 税理士補助の基本的な仕事内容は?

■ 税理士補助の基本業務、従来とこれから

■ 税理士補助として働くメリット

■ 税理士補助に求められる「経営支援業務」へのシフト

■ まとめ|税理士補助の役割は高度化と専門化が進む

■ 税理士補助(会計事務所スタッフ)とは?

(1)税理士補助の仕事内容は?

税理士補助(会計スタッフ)とは、税理士の指示のもとで会計や税務に関わる業務をサポートする仕事です。会計スタッフや税務アシスタントなど事務所ごとの職名はありますが、仕事の内容はほぼ同じです。

企業の経理業務を支援し、会計ソフトを使ったデータ入力や、決算書・申告書の作成補助、顧客対応などが主な業務です。未経験からでも始められることが多く、パートやアルバイトの求人も豊富です。

(2)税理士補助として働くのは、どんな人?

税理士補助として働いているのは、基本的に税理士の資格を保有していない人となります。また、その中で「税理士をめざしている人」と「そうでない人」に分かれます。前者は税理士補助として働きながら税理士試験合格をめざして勉強中の人で、若手が中心になります。後者は税務・会計業務のスペシャリスト、もしくはそれをめざす人といえます。

税理士補助は税理士をめざすという目的がなくても、税務・会計分野のスキルを活かせる仕事です。多種多様な会社の会計業務に携わることができますので、経理や会計業務が好きな人には非常にやりがいのある仕事です。

■ 税理士補助の基本的な仕事内容は?

税理士補助の業務は多岐にわたりますが、まずは以下のような仕事が中心となります。

(1)会計データの入力・処理

会計ソフト(弥生会計、freee、マネーフォワードなど)を使用して、企業の会計データを入力・整理します。日々の取引を記録し、試算表や決算書の作成に必要なデータを整えます。

(2)領収書・請求書の整理

企業が発行・受領した領収書や請求書を整理し、会計システムに正しく反映させます。
経費精算のルールに沿って仕訳処理を行うのも大切な業務です。

(3)決算書の作成補助

決算期には、企業の年間の財務状況をまとめた決算書を作成します。
税理士の指示のもと、試算表の作成や修正、財務諸表の作成補助を行います。

(4)税務申告書の作成補助

法人税・所得税・消費税などの申告書作成をサポートします。税理士が最終確認を行うため、補助スタッフは書類の準備や計算、データ入力などを担当します。

(5)顧客対応・書類作成

クライアント企業からの問い合わせ対応や、必要な書類の作成・提出を行います。
税務署や自治体への届出書類の準備も税理士補助の重要な仕事のひとつです。

(6)給与計算・年末調整業務

企業の給与計算をサポートし、年末調整の処理を行います。
従業員の所得税計算や源泉徴収票の作成などを担当します。

(7)税理士のアシスタント業務

税理士の業務をサポートするため、資料の作成やデータ整理を行います。
また、クライアント訪問時の同行や、打ち合わせ資料の準備を担当することもあります。

■ 税理士補助の基本業務、従来とこれから

(1)従来の税理士補助業務は?

税理士補助は、税理士の監督の下で、記帳代行、巡回監査(月次監査)、決算・税務申告、給与計算・年末調整といった業務を中心に行っています。

これまでは、記帳代行や年末調整、決算書作成、確定申告作成といった定型業務が主流でした。しかし、現在はクラウドソフトの普及により、事業者が仕訳の知識を持たなくても、OCR機能を使って領収書や請求書を読み込み、自動で仕訳ができるようになっています。

この流れにより、記帳代行から事業者が自ら記帳を行う自計化への流れも加速しています。

(2)自計化が進んだ後の税理士補助の業務は

自計化が進んだ結果、税理士補助の役割は、支払報酬とそれに伴う源泉徴収税といった実務に携わらないとわかりにくい部分のチェックに移行しつつあります。

特に、自計化が進んでいる事業者の場合、伝票入力のチェックにかかる時間は減少しています。そのため、税理士補助は単なる記帳やチェック業務を超え、より高度な経営支援業務へのシフトが進んでいます。

■ 税理士補助として働くメリット

(1)給与面のメリット

税理士補助の給与は、経験やスキルによって異なりますが、未経験でも月給20万円~30万円程度が一般的です。

経験者や資格保有者(簿記2級・1級など)はさらに高い給与が期待できます。また繁忙期(12月~3月)には残業が増えることもありますが、給与面での手当がつくケースが多いです。

【給与例】

未経験者(正社員) :月給20万円~25万円
経験者(正社員) :月給25万円~35万円
パート・アルバイト :時給1,200円~1,800円(経験や地域による)

(2)働く環境のメリット

税理士事務所は、落ち着いたオフィス環境で働けるのが魅力です。特に小規模な事務所ではアットホームな雰囲気の職場が多く、未経験者でも丁寧に指導してもらえることが多いです。また、以下のようなメリットもあります。

  • 残業が少なめ(繁忙期以外)
  • 土日祝休みが多い(事務所による)
  • リモートワークを導入している事務所もある

(3)税理士を目指す人にとってのメリット

税理士補助として働くことは、税理士試験の勉強と実務経験を両立させたい人にとって最適な環境です。実務をこなしながら勉強時間を確保できる環境を選ぶことで、効率よくキャリアアップを目指せます。

① 実務を通じて税務・会計の知識を深められる

試験勉強だけでは学べない実践的な税務知識やクライアント対応のスキルが身につきます。特に決算書や申告書の作成業務に携わることで、試験科目「法人税法」「所得税法」などの理解が深まります。

②実務経験が税理士試験の受験資格につながる

税理士試験の受験資格には、大学での特定科目履修のほか、3年以上の実務経験でも認められる場合があります。税理士補助として働くことで、受験資格を満たしつつ、仕事をしながら資格取得を目指せます。

③ 税理士事務所によっては、試験勉強のためのサポートがある

一部の税理士事務所では、試験勉強のための勤務時間の調整や受験費用の補助を行っているところもあります。たとえば、試験前は時短勤務が可能だったり、受験費用や専門学校の授業料を一部負担してくれる場合もあります。

④ 資格取得後にキャリアアップが可能

税理士試験に合格すると、補助業務から税理士業務へとステップアップできるため、長期的なキャリア形成に適しています。経験を積んで独立開業を目指すことも可能です。

(4)未経験やパートでも働ける?

税理士補助は未経験者でも応募可能な求人が多く、特に日商簿記2級程度の知識があれば採用されやすいです。またパート・アルバイトの募集も多いため、育児や家庭と両立しながら働くことも可能です。

【未経験者が採用されやすくなるポイント】
  • 簿記3級以上の資格を取得しておく
  • 会計ソフト(弥生会計・freeeなど)の基本操作を学ぶ
【パート・アルバイトの働き方】
  • 週2~3日、1日4~5時間の勤務も可能
  • 扶養内で働ける求人も多数
  • 確定申告や年末調整の短期バイトもある

■ 税理士補助に求められる「経営支援業務」へのシフト

わたしの事務所では、お客様の経営に深く関与する業務が増えており、税理士補助の役割も単なる税務面でのサポートを超えて、経営支援業務にシフトしています。

具体的には、資金調達をするために金融機関に提出する事業計画書の作成支援、経営者保証の解除に向けたアドバイスなどが含まれます。また、税理士事務所の考え方によって、定型業務を中心に据えるか、経営者の右腕としての役割にシフトするかの「二極化」が進んでいるのも事実です。

(1)税務戦略の重要性の高まりへの対応

税務戦略は、クライアントの将来を見据えた総合的な戦略としてますます重要になっています。特に最近では経営者の高齢化に伴い、事業承継についての相談が増加しています。

例えば、将来の会社の方向性を考慮し、会社に資金を残し企業価値を高め、高く売却することを考えるべきか、逆に企業価値を下げ、後継者の相続税や贈与税の節税を優先すべきかといった、将来を見据えた相談が増えている印象です。

これに伴い、税理士補助も事業承継に関わる具体的なサポートを求められる機会が増えています。税理士補助業務として、このような業務に携わる場合は勉強が必要な分、仕事を通じて大きく成長できる環境にいると考えます。

(2)資金計画への関与の重要性の高まり

中長期的な資金計画の作成においては、資金調達や事業計画書の作成支援、さらには経営者保証の解除に向けたアドバイスなどが強く求められています。

「経営者保証に関するガイドライン」が制定されたことにより金融機関も経営者保証を解除する、または最初から経営者保証をつけない動きは広がっていますので、税理士事務所でも有効なサービスになりつつあります。

こうして信用金庫等金融機関との折衝においても、事前準備や資料作成、交渉戦略の立案など、税理士補助が担う役割は増しています。

(3)補助金や助成金の支援業務

補助金や助成金の活用支援も重要な業務の一つになりつつあります。特にコロナ禍をきっかけに開始された大型補助金である「事業再構築補助金」が話題を集めたこともあり、補助金の相談が急増しています。

補助金申請には、要件の確認や申請書の作成、さらには事業計画のブラッシュアップ、採択後のフォローといった高度な知識とスキルが必要です。

税理士補助も、こうした申請業務に対応するため、常に最新の補助金情報と知識を習得し、事業者の成長を支援する役割を果たしていく必要がでてきます。

■ まとめ|税理士補助の役割は高度化と専門化が進む

税理士補助の業務において、これまでの記帳代行や給与計算、決算書作成、確定申告作成といった定型業務から、税務戦略、経営支援といった高度な領域へのシフトが進んでいます。

今後は、税務知識に加え、AIやITツールに精通した人材が求められるでしょう。税理士補助は単なるサポート役ではなく、事業者の「経営のパートナー」としての役割が期待されています。これにより仕事としての幅は広がり、ますます魅力的になっていくのではないでしょうか。

執筆者プロフィール

山中 宏(やまなか ひろし)
税理士/山中宏税理士事務所

1995年中小企業診断士取得、2014年税理士登録、2020年ウェブ解析士取得。2021年6月山中宏税理士・中小企業診断士事務所開業。

会計事務所、大手自動車メーカー他実務経験が豊富。管理職経験が長く会社間や人とのコミュニケーション能力が高い。

現在では税理士として決算、税務相談、確定申告を行うだけでなく、中小企業診断士・ウェブ解析士として実地のコンサルティング、ウェブ集客・SNS集客を通して売上拡大、集客拡大の支援を行う。

関連サイト

山中宏税理士・診断士事務所

特集記事

税理士に関するカテゴリーごとにまとめたページです。

新着記事一覧

年収診断

今の年収ってどうなの?
7問でわかる、年収診断!

診断をはじめる(無料)

税理士向け新着求人

税理士の求人一覧

税理士の転職成功事例

税理士の転職成功事例一覧

税理士 転職Q&A

税理士の転職Q&A
年収診断

今の年収ってどうなの?
7問でわかる、年収診断!

診断をはじめる(無料)

関連コンテンツ