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税理士が年収1,000万円以上を実現するためには? 必読の転職完全ガイド

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2025年10月9日 ジャスネットキャリア編集部

税理士資格を持ちながら、現在の年収に満足できていない方は少なくありません。一般的な税理士の平均年収は600万円から800万円程度と言われていますが、転職先や専門性の選び方次第では年収1,000万円以上も十分に実現可能です。

この記事では、税理士として高年収を実現するために知っておくべき転職市場の実態、具体的な転職先の選択肢、そして市場価値を高めるためのスキル戦略について詳しく解説します。単に「給料の良い事務所に移る」という表面的なアドバイスではなく、長期的なキャリア構築の視点から、どのような専門性を磨き、どのようなポジションを目指すべきかを具体的にお伝えします。

目次

■なぜ同じ税理士資格でも年収に大きな差が生まれるのか

税理士資格を持っていれば誰でも高年収を得られるわけではありません。実際、同じ税理士でも年収400万円の人もいれば2000万円を超える人もいます。この格差はどこから生まれるのでしょうか。

(1)専門性の深さ

最も大きな要因は 「専門性の深さ」 です。記帳代行や決算業務、確定申告といった基本的な税務業務だけを行っている税理士は、今後ますます厳しい状況に置かれるかもしれません。なぜなら、これらの業務はクラウド会計ソフトやAIによって大幅に効率化され、顧問料の相場も下落傾向にあるからです。

一方で、国際税務や組織再編税制、タックスプランニング、事業承継対策など高度な専門知識が求められる領域では、依然として人材が不足する傾向にあり、高めの報酬が支払われています。

(2)クライアントの規模と質

次に重要なのが「クライアントの規模と質」です。個人事業主や小規模法人を中心に対応している税理士と、上場企業や外資系企業、資産家を顧客に持つ税理士では、 一件あたりの単価が桁違い です。大企業の税務顧問料は年間数百万円から数千万円に達することもあり、こうした案件を複数抱える税理士は自然と高年収を実現しています。

(3)ポジションと役割

さらに 「ポジションと役割」も年収を左右します。 スタッフとして働くのか、マネージャーとして部門を統括するのか、パートナーとして経営に参画するのかによって報酬体系は全く異なります。Big4税理士法人では、シニアマネージャー以上になると年収1000万円を超えるのが一般的ですし、パートナーになれば2,000万円以上も珍しくありません。

■どのような転職先が年収1,000万円以上を実現できるのか

年収1,000万円以上を目指す税理士にとって、転職先の選択は極めて重要です。ここでは具体的な選択肢とそれぞれの特徴を見ていきましょう。

(1)Big4税理士法人

まず 最も確実性が高いのがBig4税理士法人(デロイト トーマツ税理士法人、PwC税理士法人、KPMG税理士法人、EY税理士法人) です。これらの組織では明確なグレード制度があり、マネージャー職に昇格すれば年収1,000万円前後、シニアマネージャーになれば1,200万円から1,500万円程度が相場です。

特に国際税務部門や金融部門、M&Aアドバイザリー部門では高い報酬が設定される傾向にあります。ただし、激務であることや英語力が求められることも多く、ワークライフバランスを重視する方には向かない場合もあります。

(2)外資系企業の税務部門

次に注目したいのが外資系企業の税務部門です。 GoogleやAmazon、外資系金融機関などでは、Tax Managerやsenior Tax Accountantとして税理士を採用しており、年収1,000万円以上が提示されることも珍しくありません。

これらのポジションでは法人税務の実務経験に加え、英語でのコミュニケーション能力が必須となりますが、Big4と比較すると残業は少なめで、福利厚生も充実している傾向があります。

(3)資産税や相続税に特化した税理士法人

資産税や相続税に特化した税理士法人も高年収を実現しやすい選択肢です。 富裕層向けの相続対策や事業承継支援は一件あたりの報酬が高く、専門性の高い税理士は強く求められています。 特に資産総額が数億円から数十億円規模のクライアントを抱える事務所では、経験豊富な税理士に対して年収1,000万円以上を提示するケースもあります。

(4)急成長中のベンチャー企業のCFO候補や財務責任者

また、急成長中のベンチャー企業のCFO候補や財務責任者としての転職も選択肢となります。 IPO準備中の企業では税務戦略の立案から実行まで担える人材を求めており、ストックオプションなどのインセンティブも含めると総報酬が1,000万円を大きく超えることもあります。 ただし、ベンチャーならではの不安定さやハードワークは覚悟が必要です。

(5)中堅から大手企業の経理部門の税務マネージャー

中堅から大手企業の経理部門で税務マネージャーとして採用されるケースも増えています。特に 上場企業やグローバル展開している企業では、複雑な税務処理や税務調査対応、移転価格税制への対応などができる税理士を積極的に採用 しています。給料テーブルは、税理士だからプラスアルファとなる場合は少なく、他の社員の方々と横並びではありますが、年収800万円以上も視野に入るかと思います。

■どうすれば市場価値の高い専門性を身につけられるのか

年収1,000万円以上を実現するには、市場で強く求められる専門性を持つことが不可欠です。では、どのような分野に特化すべきでしょうか。

(1)国際税務

最も需要が高いのは「国際税務」です。日本企業の海外進出や外資系企業の日本参入が加速する中で、移転価格税制、タックスヘイブン対策税制、租税条約など国際税務に精通した税理士は常に不足しています。

この分野で実力をつけるには、 Big4税理士法人の国際税務部門で経験を積むか、外資系企業の税務部門で実務に携わることが効果的です。 英語力も必須となりますが、TOEIC800点以上、できればビジネスレベルの会話力があれば十分にチャンスがあります。

(2)組織再編税制とM&A税務

次に「組織再編税制とM&A税務」です。企業の合併、分割、株式交換などの組織再編やM&A案件では、税務面での適切なストラクチャリングが求められます。一件の案件規模が大きく、報酬も高額になるため、この分野の専門家は高く評価されます。

実務経験を積むには、 M&Aアドバイザリー部門を持つ税理士法人やFA(ファイナンシャルアドバイザー)業務を行うコンサルティングファームでの勤務が有効です。

(3)資産税・相続税対策

「資産税・相続税対策」も高年収を実現しやすい専門分野です。高齢化社会の進展により、事業承継や相続対策のニーズは年々増加しています。特に不動産の評価、自社株の評価、民事信託の活用など複雑なスキームを設計できる税理士は重宝されます。この分野では実務経験だけでなく、資産家との信頼関係構築能力も重要になります。

(4)金融税務

さらに「金融税務」も専門性が高く評価される分野です。金融商品の税務処理、デリバティブ取引、証券化案件などは専門知識が必要で、金融機関やファンド、不動産投資法人などから強いニーズがあります。公認会計士と税理士の両方の資格を持っていると特に有利です。

(5)計画的なキャリア形成を

これらの専門性を身につけるには、計画的なキャリア形成が必要です。 まずはBig4税理士法人や専門特化型の事務所で3年から5年程度じっくりと経験を積み、その後より高待遇のポジションに転職するというステップが王道 と言えるでしょう。焦らず、確実にスキルを蓄積していくことが重要です。

■どのようにして英語力とグローバル対応力を高める

年収1,000万円以上の税理士ポジションの多くは、英語力を求められます。しかし、「英語が苦手だから高年収は無理」と諦める必要はありません。効果的な学習戦略で十分に対応可能です。

(1)税務の現場で求められる英語は日常会話とは異なる

まず理解すべきは、税務の現場で求められる英語は日常会話とは異なるということです。税務専門用語や定型的な表現を押さえれば、ビジネスレベルの英会話力がなくてもある程度は対応できます。

例えば、移転価格文書(Transfer Pricing Documentation)、恒久的施設(Permanent Establishment)、租税条約(Tax Treaty)といった基本用語を英語で理解し、使えるようになることから始めましょう。

実務で使える英語力を効率的に身につけるには、税務に特化した英語学習が効果的です。IFRSや国際税務の英文資料を読む習慣をつける、OECDのBEPSプロジェクト関連の英文レポートに目を通す、海外の税務ニュースサイトを定期的にチェックするなど、実際の税務文書に触れることで専門英語に慣れていきます。

(2)会話力

会話力については、オンライン英会話で税務トピックについて話す練習をするのが手軽で効果的です。「今日は移転価格税制について英語で説明する」「M&Aの税務ストラクチャーについてディスカッションする」といったテーマを設定し、週2回から3回、各30分程度続けるだけでも半年から1年で大きく改善します。

また、社内に外国人スタッフがいる環境に身を置くことも有効です。Big4税理士法人や外資系企業では英語でのコミュニケーション機会が日常的にあり、実践の中で自然と英語力が向上します。最初は緊張するかもしれませんが、税務という共通言語があるため、思っているよりもコミュニケーションはスムーズに進むものです。

TOEICのスコアで言えば、最低でも700点、できれば800点以上あれば多くのポジションで応募資格を満たします。 ただし、スコアだけでなく実際のコミュニケーション能力が重視されるため、面接では英語での税務ディスカッションが行われることも覚悟しておきましょう。

上にリンクを貼った島田さんの記事では、国際税務を担当したいのであれば、いったんは600~700点を目指すこと、また電話会議でいきなり発言を求められることは無いが、英文の読み書きは必須と語っています。

グローバル対応力は英語力だけではありません。異なる税制への理解、国際的なビジネス慣習の把握、多様なバックグラウンドを持つ人々との協働する能力なども含まれます。国際税務のセミナーに参加する、海外の税務専門家とのネットワークを作る、可能であれば海外赴任の機会を積極的に求めるなど、グローバルな視点を養う努力を継続することが、長期的なキャリア形成において大きな差となって現れます。

■なぜ独立開業よりも組織内でのキャリアアップが有利なのか

税理士というと独立開業をイメージする方も多いかもしれませんが、年収1,000万円以上を安定的に実現するという観点では、実は組織内でのキャリアアップの方が確実性が高いケースが多いです。

(1)独立開業の場合

独立開業で年収1000万円以上を得るには、相当数のクライアントを獲得し維持する必要があります。仮に1社あたりの年間顧問料が30万円とすると、年収1,000万円を実現するには単純計算で35社以上の顧問先が必要です(経費を考慮するとさらに多くが必要)。

これだけのクライアントを開拓し、質の高いサービスを提供し続けるには、営業力、実務力、マネジメント力のすべてが求められます。さらに、スタッフの採用・育成、事務所運営、会計ソフトなどのインフラ整備といった経営者としての業務も加わります。

(2)組織内でキャリアを積む場合

一方、組織内でキャリアを積む場合、営業や経営管理は組織が担ってくれるため、自分の専門性を磨くことに集中できます。Big4税理士法人のマネージャーになれば年収1,000万円から1,200万円、外資系企業の税務部門の部長になれば(あくまでも例ですが)、1,200万円から1,500万円といった具合に、ポジションに応じた給与が保証されます。しかも、福利厚生や退職金制度も整備されており、トータルでの待遇は独立開業よりも優れているケースが多いのです。

また、リスクの観点からも組織の方が有利です。独立開業では顧客の減少、少し前にXでも話題になった税理士賠償責任のリスク、後継者問題など様々な不確実性があります。特に近年はクラウド会計の普及で記帳代行や決算業務の報酬相場が下がっており、従来型の税理士事務所経営は厳しさを増しています。組織であれば、こうした市場環境の変化に対して組織全体で対応できるため、個人が負うリスクは相対的に小さくなります。

ただし、組織には組織特有の制約もあります。自分の裁量で仕事を選べない、組織の方針に従わなければならない、人間関係のストレスがあるなどです。また、雇われている以上、自分が生み出す付加価値のすべてが給与として還元されるわけではありません。

したがって、 理想的なキャリア戦略は「まず組織で専門性を磨き市場価値を高める→高年収ポジションで経験を積む→50代以降に独立やフリーランスという選択肢も視野に入れる」という段階的なアプローチでしょう。 若いうちから独立を急ぐよりも、組織の中で確実にスキルと実績を積み上げ、その上で最適なキャリア選択をする方が、結果的に生涯年収も高くなる可能性が高いでしょう。

■「年収1,000万円」以上を目指す転職活動の進め方

年収1,000万円以上のポジションへの転職は、一般的な転職とは異なる戦略が必要です。効果的な転職活動の進め方を見ていきましょう。

(1)税理士・会計士専門の転職エージェントを活用する

まず重要なのが、税理士・会計士専門の転職エージェントを活用することです。 一般的な転職サイトには年収1,000万円以上のポジションはほとんど掲載されません。 なぜなら、こうした求人は非公開案件として、信頼できるエージェント経由でのみ紹介されるからです。

「求人の数より質」「応募よりもキャリア相談に重きを置く姿勢」を持った手厚いエージェントに登録し、自分の専門性や希望条件を丁寧に伝えましょう。

(2)職務経歴書の重要性

職務経歴書の作成も重要なポイントです。単に「法人税務を担当していました」ではなく、「上場企業5社を含む年商10億円以上の法人顧問を15社担当し、税務調査では3年連続で指摘事項ゼロを達成」といった具合に、 具体的な実績と数字を盛り込むことが重要 です。また、「組織再編案件を5件担当し、総額50億円規模の株式交換スキームを設計」など、専門性の高い案件の経験も詳しく記載します。

(3)面接での対応

面接では、技術的な質問への対応が重視されます。「移転価格税制の独立企業間価格算定方法について説明してください」「グループ法人税制の適用要件は何ですか」といった専門的な質問に的確に答えられる準備が必要です。また、ケーススタディとして「このような状況でどのような税務アドバイスをしますか」という問題解決型の質問もよく出されます。

(4)給与交渉

給与交渉も戦略的に行いましょう。現在の年収を基準に10%から20%アップを目指すのが一般的ですが、専門性が高く市場価値が明確であれば、より大幅な上昇も可能です。ただし、単に「年収1,000万円欲しい」ではなく、「私の国際税務の経験とマネジメント実績は市場において年収1,000万円から1,200万円で評価されています」といった根拠を示すことが重要です。

もっとも、税理士・会計士専門の熟練したエージェントであれば、あなたの経歴やスキルセットから適正な年収レンジを把握しており、企業側との給与交渉も代行してくれます。特に ハイクラス転職では、エージェントの交渉力が年収を大きく左右することもあるため、実績のあるエージェントを選ぶことが重要です。

(5)転職のタイミング

転職のタイミングも考慮が必要です。税理士業界では、1月から3月の 繁忙期明けである4月から6月 、そして 年末に向けた10月から12月が求人が増える時期 です。ただし、好条件の案件は時期を問わず突然出てくることもあるため、常にアンテナを張っておくことが大切です。

また、転職活動は在職中に行うのが鉄則です。退職してから探すと焦りが生じ、条件面で妥協してしまうリスクがあります。 仕事を続けながら3か月から6か月程度かけてじっくりと良い案件を探す姿勢が、結果的に成功確率を高めます。

■まとめ:税理士として年収1,000万円以上を実現するために

税理士として年収1000万円以上を実現することは、決して夢物語ではありません。適切な専門性を身につけ、戦略的にキャリアを構築していけば、多くの税理士にとって到達可能な目標です。

税理士業界は今、大きな変革期にあります。AIやクラウド会計の普及により、従来型の税理士業務は縮小していく一方で、高度な専門性を持つ税理士へのニーズは高まっています。この変化をチャンスと捉え、自己投資を惜しまず、戦略的にキャリアを構築していくことで、年収1000万円以上という目標は必ず実現できます。

あなたの税理士としてのキャリアが、専門性と報酬の両面で充実したものとなることを願っています。一歩ずつ着実に、しかし明確なビジョンを持って前進していきましょう。

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執筆者プロフィール

ジャスネットキャリア編集部

WEBサイト『ジャスネットキャリア』に掲載する記事制作を行う。
会計士、税理士、経理パーソンを対象とした、コラム系読み物、転職事例、転職QAの制作など。

編集部メンバーは企業での経理経験者で構成され、「経理・会計分野で働く方々のキャリアに寄り添う」をテーマにしたコンテンツ作りを心がけていてる。

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