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税理士補助とは?仕事内容・年収・キャリアパスまで徹底解説【未経験OK】

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2025年9月22日 税理士/山中宏税理士事務所 山中 宏

「税理士事務所」と聞くと、すべてのスタッフが税理士資格を持つ専門家と思われがちです。しかし、 実際には税理士法人や会計事務所の中心は、資格を持たない税理士補助のスタッフ です。

たとえば、10人未満の個人会計事務所であれば、税理士は所長のみというケースが珍しくなく、他のスタッフは全員がアシスタントや事務担当として、日々の会計・税務業務を支えています。

こうした補助業務は、単なる事務作業ではありません。 実務の積み重ねにより、税務会計のスキルや顧客対応力を磨ける、非常に重要なポジション なのです。

目次

■税理士補助とは何か?基本的な定義と役割

税理士補助とは、税理士法人や会計事務所において、税理士の指導・監督のもとで税務・会計業務の補助を行う職員のことです。 正式な税理士資格は持っていませんが、日常的な会計処理から申告書作成の補助まで、幅広い業務を担当します。

税理士法では、税理士の独占業務(税務代理、税務書類の作成、税務相談)は無資格者が行うことはできませんが、 税理士の指導・監督下であれば、補助業務として従事することが認められています。

【税理士補助の法的位置づけ】

税理士法第52条では、税理士でない者の税理士業務の禁止について定められていますが、同時に税理士の監督下での補助業務は認められています。これにより、多くの会計事務所で税理士補助スタッフが活躍しているのです。

■税理士補助の仕事内容 ~試験より実務が重視される時代へ

(1)税理士補助の現場で重視されるのは?

税理士補助の求人情報を見ると、「未経験歓迎」「正社員登用あり」「学歴・資格不問」といったキーワードが目立ちます。これは、 試験勉強よりも、実務経験とコミュニケーション能力を評価する会計事務所が多いという現実 を物語っています。

もちろん税理士資格の取得は素晴らしい目標ですが、現場では「資格を持っているか」よりも「お客様にその場で対応できるか」「スムーズに社内連携ができるか」「臨機応変に処理できるか」といった、 即戦力としてのスキルや人間力が重視されます 。試験の知識だけでは顧客の信頼は得られません。

(2)条文の暗記は必須?

実際、税理士試験が非常に厳しく、長期間にわたる孤独な勉強を伴うものであることは広く知られています。その過程で、対人関係やコミュニケーションの機会が少なくなることも多く、実務の現場で求められる柔軟な対応力や連携力が十分に育まれないケースもあります。

そのため現場では、税務知識よりもコミュニケーション能力や対応力を持つ人材が高く評価される傾向にあります。その中で必要な税務知識は、実務を通して身につけていくという努力は必要になりますが、条文の暗記までは求められないのが一般的です。

(3)具体的な業務フロー

税理士補助の日常的な業務フローは以下のようになります:

①    月次業務

  • 顧問先からの資料受取り
  • 会計ソフトへの仕訳入力
  • 試算表の作成
  • 顧問先への月次報告書作成

②    年次業務

  • 決算書作成の補助
  • 税務申告書の下書き作成
  • 年末調整業務
  • 法定調書の作成

■転職市場で急増中の税理士補助求人 仕事内容と選ばれる理由

現在、「税理士補助の転職」といったニーズは非常に高まっており、補助スタッフを求める声が多くなっています。特に正社員登用を前提とした求人が増えており、税理士法人や税理士事務所が長期的に補助スタッフを育てたいという強い意向が感じられます。

(1)税理士補助スタッフの仕事内容について

補助スタッフの仕事内容は、以下の通り多岐にわたります。

  • 会計ソフトへの仕訳入力
  • 請求書・領収書などの整理
  • 決算書・申告書作成の補助
  • 年末調整、給与計算
  • 顧問先からの電話・メール対応
  • 訪問巡回
  • 資料作成・リサーチ
  • 雑務

これらの業務はすべて、顧客やチームと密に連携しながら行うため、正確さだけでなくコミュニケーション能力が求められます。

(2)税理士補助が使用するソフト・ツールは?

税理士補助の業務では、仕訳入力や試算表の作成などに際して会計ソフトや申告ソフトなどのツールを日常的に使用します。

代表的なソフト

  • 弥生会計
  • 勘定奉行
  • freee
  • マネーフォワードクラウド

加えて、年末調整や給与計算用の専用システム、Excelによる集計・資料作成も頻繁に用います。最近ではクラウド型ソフトの導入が進み、リモート環境でもデータ共有や作業が可能になっており、ITスキルを持つ人材は重宝されます。

(2)税理士試験勉強との違い 現場で必要なのは「人に向き合う力」「気づける力」

税理士試験では理論や計算の知識が中心です。一方、現場では「企業の数字から状況をどう読み取るか」「経営者が何に困っているのかに気づけるか」「社内外でスムーズに連携できるか」が問われます。

つまり、試験の勉強と実務は別物であり、現場に出れば出るほど 「資格よりも対人能力・応用力」が重視 されます。そのため、会計事務所や税理士法人での実務経験は、たとえ資格がなくても、職場や顧客から信頼される人材としての評価を高めていく武器になります。

■税理士補助の給与・年収相場・待遇

(1)地域別年収相場

①東京都内

  • 未経験:年収280万円~350万円
  • 経験1~3年:年収350万円~450万円
  • 経験3年以上:年収450万円~600万円

②地方都市

  • 未経験:年収220万円~280万円
  • 経験1~3年:年収280万円~380万円
  • 経験3年以上:年収380万円~500万円

(2)昇給・賞与の傾向

多くの税理士事務所では、経験年数や担当業務の難易度に応じて昇給があります。また、繁忙期(確定申告期間など)の頑張りを評価した賞与支給も一般的です。

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(3)会計事務所における税理士補助の待遇

会計事務所における税理士補助の待遇は、事務所の規模や地域、本人の経験・資格によって差があります。未経験者は月給20万~25万円前後からのスタートが多く、日商簿記2級や税理士試験科目合格者は優遇されやすい傾向にあります。

繁忙期は残業が増えるものの、残業代や繁忙手当が支給される事務所もあります。また近年は働き方改革の流れを受け、完全週休2日制やフレックスタイム制度を導入する事務所も増えており、ワークライフバランスを重視した環境整備が進んでいます。事務所によっては、試験の前はまとまった休暇を取れるところもあります。

■必要なスキルと資格

(1)必須スキル

①基本的なPCスキル

  • Excel、Word操作
  • 会計ソフト(弥生会計、勘定奉行、freeeなど)の操作

②コミュニケーションスキル

  • 顧客との電話・メール対応
  • 所内でのチームワーク
  • 分からないことを素直に聞ける姿勢

(2)あると有利な資格

①日商簿記検定

  • 3級:基礎的な会計知識
  • 2級:実務で活用できるレベル
  • 1級:上級レベルの会計知識

②税理士試験科目合格

  • 簿記論、財務諸表論
  • 法人税法、所得税法
  • 相続税法、消費税法など

③その他の資格

  • 給与計算実務能力検定
  • 年末調整実務検定
  • ファイナンシャルプランナー(FP)

■経理経験がある方の転職成功例 35歳男性のキャリア変遷

実例として、35歳で事業会社の経理職から税理士補助として転職した男性を紹介します。

1年目には仕訳入力・資料整理など、一般事務寄りの補助業務を担当していましたが、その後、申告書の下書きや顧問先の経理支援にも対応し、現在はスタッフ指導や事務所内の業務改善プロジェクトも主導しています。年収も1.5倍になりました。

この方は、「人との関係構築のうまさ」「細やかな気づき力」「マメな性格」を買われ、重要なポジションを任されています。

■キャリアアップのパターン

(1)1年目:基礎業務習得期

  • 仕訳入力、資料整理
  • 基本的な税務知識の習得
  • 顧客とのコミュニケーション慣れ

(2)2~3年目:応用業務拡大期

  • 申告書作成補助
  • 顧客訪問同行
  • 後輩指導開始

(3)4年目以降:専門性向上期

  • 担当顧客の独立管理
  • 新人研修担当
  • 業務改善提案

■働きやすさも抜群!柔軟な勤務形態で正社員を目指せる補助求人

税理士補助のもうひとつの魅力は、ライフスタイルに応じた働き方の選択肢が豊富なことです。

  • 正社員希望者向けのフルタイム勤務
  • 育児・介護を両立できる時短勤務
  • 自宅でのクラウド会計入力を可能にする在宅ワーク

このように、未経験でも家庭の事情に合わせて無理なく勤務でき、かつ評価次第で正社員登用されるケースも少なくありません。こうした「柔軟で現実的な働き方」と「専門職としての成長」を両立できるのが、税理士補助ならではの魅力です。

(1)働き方の多様性

①正社員

  • 安定した収入と賞与
  • 社会保険完備
  • 有給休暇、退職金制度

②契約社員・派遣社員

  • 時給制で残業代確実支給
  • 短期間での職場変更可能
  • スキルアップに応じた時給アップ

③パートタイム

  • 家庭との両立しやすい勤務時間
  • 週3日~からの勤務も可能
  • 繁忙期のみの短期勤務

【リンク】実際の転職成功事例

「子育てのために仕事と家庭を両立できる事務所に転職」
https://career.jusnet.co.jp/case/detail.php?cid=180&casedtl_mc=2

■税理士補助のメリット・デメリット

(1)メリット

①専門性の高いスキルが身につく

税務・会計の実務経験は他業界でも評価される専門スキルです。

②安定した需要

企業がある限り税務申告は必要であり、安定した職種です。

キャリアアップの可能性 実務経験を積むことで、税理士資格取得や独立開業への道も開けます。

③人脈形成

様々な業界の経営者との接点があり、貴重な人脈を築けます。

(2)デメリット

①繁忙期の労働時間

確定申告期間(2月~3月)は残業が増える傾向があります。

②責任の重さ

税務申告に関わる業務のため、ミスが許されない緊張感があります。

③継続的な学習が必要

税法改正に対応するため、常に新しい知識の習得が求められます。

■税理士補助を目指す人への応募・転職活動アドバイス

(1) 志望動機例

志望動機では「会計や税務の知識を実務で活かしたい」「税理士を目指しながら経験を積みたい」といった将来性をアピールすると効果的です。未経験者の場合も、簿記学習の経験や数字に触れることが好きであること、顧客対応への意欲を伝えると評価につながります。

(2)事務所の選び方

事務所によって業務範囲や教育体制は大きく異なります。法人案件が多いか、相続など個人案件が中心か、自分が将来目指すキャリアに合った事務所を選ぶことが重要です。研修制度や残業時間、福利厚生の有無も比較して確認しましょう。

(3)面接準備

面接では「なぜ税理士補助を希望するのか」「どのように知識を身につけているか」がよく問われます。簿記学習の進捗や、これまでの仕事で培った事務処理能力・コミュニケーション力を具体例で説明できるよう準備しましょう。また、応募先事務所の特徴を把握し、志望理由と結びつけることも大切です。

■まとめ:試験では学べない価値が、税理士補助の現場にはある

「税理士事務所」で仕事を探している方に伝えたいのは、試験に合格することだけがキャリアのゴールではないということです。

実務経験は資格に勝る評価の対象であり、その中で培ったコミュニケーション力はすべての業務の土台となります。そして現場でしか学べない「気づき」こそが成長のカギであり、無資格・未経験からでも正社員として信頼される存在になれると考えます。

今、税理士事務所で共通している問題は 「人員不足」 です。逆に言えば、求人市場は活況を呈しています。転職を考えているなら、実務力と人間力を武器にできる税理士補助という働き方に、ぜひ目を向けてみてください。

税理士補助は、専門性と人間性の両方を磨ける、やりがいのある職業です。 あなたの新しいキャリアの第一歩として、税理士補助の世界に足を踏み入れてみませんか。

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執筆者プロフィール

山中 宏(やまなか ひろし)
税理士/山中宏税理士事務所

1995年中小企業診断士取得、2014年税理士登録、2020年ウェブ解析士取得。2021年6月山中宏税理士・中小企業診断士事務所開業。

会計事務所、大手自動車メーカー他実務経験が豊富。管理職経験が長く会社間や人とのコミュニケーション能力が高い。

現在では税理士として決算、税務相談、確定申告を行うだけでなく、中小企業診断士・ウェブ解析士として実地のコンサルティング、ウェブ集客・SNS集客を通して売上拡大、集客拡大の支援を行う。

関連サイト

山中宏税理士・診断士事務所

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