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税理士の年収はいくら?年収UPを狙うためのヒントとおすすめの転職先は?

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2025年9月30日 ジャスネットキャリア編集部

税理士は、企業経営に欠かせない会計や税務のスペシャリスト。「税務の代理」「税務書類の作成」「税務相談」という3つの独占業務を持ち、経営者のパートナーとしての役割を担う仕事に携われます。また働き方としても独立開業や勤務税理士、企業内税理士など活躍の場も多様に広がる士業です。

安定性の高い働き方が可能な税理士という仕事。その実際の年収は、どれほどのものなのか。年収アップの方法や機会は。税理士の収入について、徹底分析してみました。すでに税理士として活躍中の方も、これから税理士を目指すという方も、ぜひご参照ください。

目次

■税理士の年収の概要と現状

(1)税理士の平均年収は800万円ほど?

厚生労働省が発表した最新の「 令和6年 賃金構図基本統計調査 」から推計すると、税理士(公認会計士含む)の平均年収は約800万円半ばになります。

これはあくまで勤務税理士の「平均値」。実際には「独立開業して年収2,000万円超の税理士」もいれば、「年収400万円の企業内税理士」までさまざまです。

(2)同じ税理士でも、働き方次第で年収にバラつきが!

中央値は平均よりもやや低めで650万円程度と推計。このことからも、税理士業界における年収のばらつきが大きいことがわかります。

「税理士資格を保有=高年収を保証」ではなく、働き方や業務内容、営業力などが収入に大きく影響します。

(3)税理士の初任給とその推移

税理士として働き始めたばかりの段階では、 初任給は月給で25万円から30万円程度が一般的

年収換算すると300万円台後半から400万円程度になります。ただし、試験合格後に資格登録まで済ませることで、昇進や昇給のスピードは早くなります。3~5年の実務経験を積めば、年収500万円から600万円台に達するケースも多く見られます。

【参照】
e-Stat 政府統計の総合窓口: https://www.e-stat.go.jp/

■属性や経験値、働き方などで変わる年収

ここからは年齢や経験年数、性別、資格取得方法、働き方などによる年収の変化について、データを読み解いてみましょう。

(1)税理士の年齢別年収

税理士の年収は、年齢と共に上昇する傾向があります。これは、年齢と共に実務経験の幅が広がり、「活躍できる場面が増えていく」「より高付加価値な業務を任される」といった点が大きいようです。

年齢

所定内給与額

年間賞与その他特別給与額

年収

20~24歳

273,300円

83,900円

3,363,500円

25~29歳

308,400円

827,100円

4,527,900円

30~34歳

299,500円

941,000円

4,535,000円

35~39歳

439,000円

2,034,800円

7,302,800円

40~44歳

557,600円

2,536,200円

9,227,400円

45~49歳

569,300円

2,732,800円

9,564,400円

50~54歳

676,400円

2,744,100円

10,860,900円

55~59歳

595,500円

1,385,700円

8,531,700円

60~64歳

1,025,200円

2,063,700円

14,366,100円

65~69歳

451,200円

1,034,300円

6,448,700円

70歳~

440,400円

238,200円

5,523,000円

(参考:令和6年賃金構造基本統計調査)

・20代では年収350万円から450万円程度が一般的であり、税理士試験の勉強をしながら補助的な業務をこなす人が多い年代です。
・30代になると、税理士登録を済ませて自ら顧客を担当するようになるため、年収は500万円から700万円程度に増えていきます。
・40代では、これまでの実績が評価されてマネジメント層に加わったり、独立開業を選ぶ人も増えてきたりすることから、年収は1,000万円近くまで伸びるケースも目立ちます。
・50代以降になると、事務所経営や顧問先の拡大によって、年収が1,000万円を超えることも珍しくありません。独立開業して成功すれば、2,000万円以上の年収を得ている例も多く見られます。

(2)税理士の経験年数別年収

上記の年齢による年収変化と連動し、根拠となるのが 経験年数による年収変化 です。

同じ税理士資格を有していても、実務経験が少ないうちは補助業務が中心。経営パートナーとして確かな知見や提案力、信頼性が求められる仕事だけに「資格だけ」で大きな仕事に携わることは難しいのが実情です。

経験年数

所定内給与額

年間賞与その他特別給与額

年収

0年

316,100円

226,600円

4,019,800円

1~4年

357,000円

1,032,900円

5,316,900円

5~9年

329,800円

962,100円

4,919,700円

10~14年

412,400円

1,299,400円

6,248,200円

15年以上

652,800円

2,726,400円

10,560,000円

補助業務が中心のうちは、年収400万円前後。しかし4〜7年の経験を積むと、顧客担当を持つようになり、500万円前後へと上昇していきます。さらに15年以上の実務経験を持つと、高付加価値な専門業務にも経験を有するようになり、年収は1,000万円以上になることも。また経験年数問わず、マネージャーやパートナーといった役職につくと年収1,000万円から1,200万円に到達することもあります。

(3)税理士の男女別年収

男女別の税理士年収について「賃金構造基本統計調査」のデータを見てみましょう。

・男性税理士の平均年収:約970万円
・女性税理士の平均年収:約540万円

このように、実に約430万円の差があります。これは、勤務形態の違いなどによるものだと考えられます。

性別

所定内給与額

年間賞与その他特別給与額

年収

男性

613,000円

2,298,500円

9,654,500円

女性

346,000円

1,207,700円

5,359,700円

(4)科目合格者と資格者による年収の違い

税理士試験に合格して正式に登録を行っているかどうかは、年収に大きな差をもたらします

税理士試験に合格して登録を済ませた人は、平均で500万円から1,100万円の年収を得ている一方で、科目合格のみにとどまり補助的な業務を続けている人は、350万円から600万円程度にとどまる傾向があります。

中小の会計事務所に転職した初年度の場合、税理士か税理士試験の科目合格者(税理士登録なし)かの違いは以下のようなものになります。

● 科目合格者の場合

・経験者(2~3年):320~400万円程度
・経験者(3~5年):350~450万円程度
・経験者(5~10年):350~600万円程度

● 税理士の場合

・未経験者:300万~350万円程度
・未経験者+経理経験者:350~400万円程度
・未経験者(5科目合格、税理士未登録): 400万円前後
・国税OB(実務未経験※経験領域による):500~600万円程度
・経験者(3年): 500万円程度
・経験者(5~10年):500~700万円程度
・経験者(10年以上):700~1100万円程度
・経験者(独立経験あり):700~1100万円程度

(ジャスネットコミュニケーションズ調べ)

税理士資格を取得することで、より専門性の高い業務を任されるようになり、責任の大きな仕事にも携わることが可能になります。さらに、資格があることで独立開業の道も開かれ、年収の上限が飛躍的に高まる点が大きなメリットです。

(5)働き方を選べば、年収だけでなく環境も変わる

税理士の年収は、どのような働き方を選ぶかによっても大きく異なります。ここでは、「税理士法人勤務税理士」「独立開業税理士」「企業内税理士」の3職種で見てみましょう。

①税理士法人勤務税理士

税理士法人に勤務する場合、平均年収は600万円~800万円程度と安定しているようです。

多様化する社会や顧客からのニーズに対し、税理士ひとりで対応するのは大変な時代となりました。所内に同僚税理士がいる安心感に加え、福利厚生や教育体制が整っている点も魅力です。安定して働きながら経験を積み、将来パートナー職を目指す道も。

②独立開業税理士

独立開業を選んだ場合、自身の営業努力や経営手腕によって年収は大きく変わります。うまくいけば年収1,000万円を超えるのも現実的であり、2,000万円以上を稼ぐ成功例も少なくありません。

ただし、顧客獲得のための営業活動や人材育成、経理や労務管理といった業務も自己責任で行う必要があります。開業直後の顧客確保なども大切なポイントです。

③企業内税理士

企業内税理士として働く選択肢もあり、大企業や外資系企業に所属すれば大手税理士法人と同程度以上の年収を得られるうえ、安定性や福利厚生も期待できます。パートナーや役員への昇格で1,000万円超の年収が得られる可能性も十分にあります。

国際税務やグローバルな経理体制に関わる経験があると、さらに高収入を目指すことが可能です。また家庭との両立やワークライフバランスを重視したい方にとっては、働き方の多様化への理解が進んでいる企業勤務は魅力でしょう。

■ 税理士の生涯年収

(1)税理士の生涯年収の概算

仮に税理士として25歳で就職し、65歳まで働いた場合に考えられる生涯年収は以下の通りです。

・企業内税理士:約2億5,000万〜3億円
・独立税理士:約3億〜5億円以上

高年収層に入るには、経営スキルや営業力、IT知識の習得がカギとなります。

(2)税理士業界の将来性と年収の見通し

税理士業界は今後、大きな変化を迎えることが予想されます。記帳代行や申告業務の自動化が進み、税理士の役割はよりコンサルティング的な方向へとシフトしていくと考えられています。特に、事業承継やM&A支援、相続税対策など、専門性が高く人間的な判断が求められる分野への需要は今後も増加するでしょう。

今まで以上に「作業」から「専門家」へ。プロフェッショナルとして求められる知識やスキルを磨くことに応じて、社会や組織からの評価や待遇は大きく変わるでしょう。

■ 税理士の年収に影響を与える要因

(1)経済状況と税理士の年収

税理士の年収は、経済環境やIT技術の進展、社会構造の変化などさまざまな要因によって左右されます。景気が良ければ企業活動が活発になり、税理士への依頼件数も増えるため、報酬の上昇が期待できます。顧問先数の拡大のみならず、企業成長に伴う相談内容の変化が生じ、顧問料UPなどの機会も増えるでしょう。一方で不況時には、顧問料の値下げや契約解除のリスクも高まります。

(2)AIやRPAの影響とその対策

AIやRPA(Robotic Process Automation)の導入により、税理士の業務の一部は自動化されつつあります。特に記帳や申告書の作成といった定型的な作業は機械に代替されやすいため、これからの税理士には、より付加価値の高い業務への転換が求められるでしょう。

たとえば、経営分析や財務戦略の立案、企業再編のサポートなど、人間の判断力や提案力が必要な領域に注力することで、高単価の仕事を獲得しやすくなります。逆に言えば、作業の提供がサービスの大半を占める場合、顧客の税理士乗り換えなどのリスクが高まります。

(3)高度な判断が必要な領域の需要

AIでは対応できない分野、たとえば以下のような業務の需要は今後も拡大が見込まれます。

・事業承継
・国際税務
・組織再編や相続対策
・税務調査対応

これらを強みにすれば、高単価案件の受注が可能となり、年収も大きく向上します。

■ 転職して年収をあげる?転職しないで年収をあげる?

(1)転職して年収を上げる

年収を上げるためには、戦略的なキャリア設計が不可欠です。たとえば…

・都市部の大手税理士法人へ転職し、高付加価値な業務に携わる
・経験を生かしつつ、マネジメント業務に挑戦する
・業務効率化が進む事務所へ転職し、今まで以上に多くの顧客対応をする など

実際に、以下のようなケースで年収アップを実現した事例が見られます。

・地方の小規模事務所 → 都市部の大手税理士法人(年収+200万円)
・補助業務中心 → 資格取得後にマネージャーへ昇進(年収+300万円)
・独立開業 → クラウド会計導入+マーケティングで年収1,500万円に

税理士の方が転職を考える場合、会計士・税理士専門の転職エージェントに相談するのがおすすめです。専門エージェントは会計・税務分野の豊富な紹介先を持つ上、求人先の詳細なニーズや事情も把握しているため、あなたの経歴や能力に合った求人を紹介してくれます

●年収の高い税理士法人・会計事務所に転職する方法

年収が高い傾向にあるのは、下記の3職種です。

①大手税理士法人

まずわかりやすいのは、Big4系列や大手と呼ばれる規模の大きい税理士法人です。

こういった税理士法人では役職ごとに給与は決められており、スタッフからシニアスタッフ、マネージャーと上がるにつれ、給与も高くなっていきます。

→培った経験やスキルを棚卸し、効果的に面接などでアピールすることが肝要です

②専門性の高い事務所

高い専門性を持つ事務所には、規模に関わらず高年収を得られるケースがあります。

先にもご紹介したような相続や国際税務、税務調査などに強みを持つ事務所は、お客様へ高付加価値なサービスを提供する分、そのフィーも高めに設定。対応するスタッフも、その分年収がアップする傾向があります。

③コンサルティングに注力する事務所

公認会計士が開業している場合、コンサルティング業務に注力している事務所も少なくありません。規模の大きめな顧客を有し、そこへ事業承継やM&A、資金調達、IPO支援などを提供。自然、報酬も高くなり、結果、給与にも反映されています。

※あくまで「その傾向がある」という情報なため、各求人ごとに詳細をしっかり把握することが肝要です。転職エージェントは、対応する事務所の考え方や細かな業務内容、その評価方法や還元について、事務所の顧客についても精通しています。

→募集主の詳細について知りたいときは、エージェントの転職サポートにお申し込みください!

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(2)転職せず高収入を得る方法

転職を選ばず、現行の働き方で高収入を得るための方法には以下のようなものがあります。

・資格取得(税理士、公認会計士、ファイナンシャルプランナー)
・専門分野の構築(相続税、国際税務、医療・介護特化)
・デジタル活用(クラウド会計、リモート相談)
・営業力や提案力の強化
・事務所の差別化戦略(YouTube、SNS、ブログなど)

医療業界や建設業界など特定業種に特化した専門性を持つことで、信頼を勝ち取りやすくなり、高額な顧問契約につながることもあります。SNSやWebサイトを活用して情報発信を行い、集客力を高めるマーケティングも年収アップには欠かせない要素となっています。

■ 税理士の年収あるいは資格自体に関する、よくある質問

(1)税理士の年収が「低い」と言われる理由とは?

税理士の年収は平均で800万円前後とされていますが、これはあくまで平均の金額です。科目合格者で、若手や補助業務に従事する人の年収は400万円前後にとどまることも多いため、相対的に「低く感じる」場合があります。また、企業内税理士として働く場合、昇給幅が小さく、責任に見合った報酬を得られにくいという不満が生じるケースもあります。

さらに、試験合格までに長い年月と費用がかかるため、費用対効果の面から「思ったほど稼げない」と感じる人も一定数存在します。

(2)税理士を目指すための学校や必要な資格を教えて

令和5年度の税理士試験から、受験資格が緩和。簿記論・財務諸表論の受験については、受験資格の制限がなくなりました。

では実際に挑戦してみようと考えた場合、最も一般的なのは資格予備校への通学です。近年では通信講座やオンライン講座も充実し、社会人が働きながら学ぶ環境も整ってきました。

(3)税理士試験は、どれくらい難しいの?

税理士試験は非常に難易度が高く、全11科目のうち5科目の合格が必要です。ただし税理士試験は科目合格制を採用しており、一度の受験で5科目すべてに合格する必要はありません。また、一度でも合格した科目は生涯有効となります。

1科目あたりの合格率は10〜15%前後とされ、すべての科目をクリアするまでには平均して5年から10年程度の期間を要すると言われています。受験資格には、大学の会計・法律科目履修や実務経験などが必要です。

■まとめ

税理士は、正しい戦略と努力次第で高年収を目指すことができる魅力的な職業です。ただし、その年収には大きな幅があるため、自身のキャリアビジョンに応じた働き方の選択や、スキルアップのための継続的な努力が不可欠です。

これから税理士を目指す方、あるいはすでに税理士として働いている方も、年収アップに向けて計画的にステップを踏んでいくことが、将来の成功につながるはずです。

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執筆者プロフィール

ジャスネットキャリア編集部

WEBサイト『ジャスネットキャリア』に掲載する記事制作を行う。
会計士、税理士、経理パーソンを対象とした、コラム系読み物、転職事例、転職QAの制作など。

編集部メンバーは企業での経理経験者で構成され、「経理・会計分野で働く方々のキャリアに寄り添う」をテーマにしたコンテンツ作りを心がけていてる。

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