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税理士の年収の実態とは?収入を上げるための戦略を徹底解説

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ジャスネットキャリア編集部

税理士という職業は、専門性が高く社会的信用も厚いため、将来安定した収入を得られる職業とされています。しかし、「実際の年収はどれくらいなのか?」「どのようにすれば年収を上げられるのか?」といった疑問を抱いている方も多いのではないでしょうか。

本記事では、税理士の年収の実態をあらゆる角度から徹底分析し、年収を上げるための具体的な戦略についても詳しく解説します。これから税理士を目指す方はもちろん、既に税理士として働いている方にとっても、有益な情報が満載です。

目次

■ 税理士の年収の概要と現状

(1)税理士の年収の平均と中央値

厚生労働省が発表した最新の「賃金構図基本統計調査」によると、税理士(公認会計士含む)の平均年収は約800万円とされています。ただし、これはあくまでも平均値であり、実際には独立開業して年収2,000万円を超える人もいれば、企業内税理士として年収400万円程度にとどまる人もいます。

また、中央値は平均よりもやや低めで650万円程度と推計されており、このことからも税理士業界における年収のばらつきが大きいことが分かります。税理士資格を持っているからといって必ずしも高年収が保証されているわけではなく、働き方や業務内容、営業力などが収入に大きく影響しているのです。

(2)税理士の初任給とその推移

税理士として働き始めたばかりの段階では、初任給は月給で25万円から30万円程度が一般的で、年収に換算すると300万円から400万円程度になります。ただし、税理士試験に合格し、資格登録を行うことで、昇進や昇給のスピードは比較的早くなります。3年から5年の経験を積めば、年収500万円から600万円台に達するケースも多く見られます。

■ 年代別の税理士の年収

(1)税理士の年齢別年収

税理士の年収は、年齢とともに上昇していく傾向があります。20代では年収350万円から450万円程度が一般的であり、税理士試験の勉強をしながら補助的な業務をこなす人が多い年代です。30代になると、税理士登録を済ませて自ら顧客を担当するようになるため、年収は500万円から700万円程度に増えていきます。

年齢 所定内給与額 年間賞与その他特別給与額 年収
20~24歳 273,300円 83,900円 3,363,500円
25~29歳 308,400円 827,100円 4,527,900円
30~34歳 299,500円 941,000円 4,535,000円
35~39歳 439,000円 2,034,800円 7,302,800円
40~44歳 557,600円 2,536,200円 9,227,400円
45~49歳 569,300円 2,732,800円 9,564,400円
50~54歳 676,400円 2,744,100円 10,860,900円
55~59歳 595,500円 1,385,700円 8,531,700円
60~64歳 1,025,200円 2,063,700円 14,366,100円
65~69歳 451,200円 1,034,300円 6,448,700円
70歳~ 440,400円 238,200円 5,523,000円

(参考:令和6年賃金構造基本統計調査)

40代では、これまでの実績が評価されてマネジメント層に加わったり、独立開業を選ぶ人も増えてきたりすることから、年収は1,000万円近くまで伸びるケースも目立ちます。そして50代以降になると、事務所経営や顧問先の拡大によって、年収が1,000万円を超えることも珍しくありません。独立開業して成功すれば、2,000万円以上の年収を得ている例も多く見られます。

(2)税理士の経験年数別年収

また、経験年数によっても年収は明確に変化します。税理士としての実務経験が少ない段階では、まだ補助業務が中心で年収は400万円前後にとどまりますが、4〜7年の経験を積むと、自ら顧客を担当するようになり、500万円前後へと上昇していきます。さらに、15年以上の実務経験を持つと年収は1,000万円以上にまで達するように。

経験年数問わず、マネージャーやパートナーといった役職につくと年収1,000万円から1,200万円に到達することもあります。

経験年数 所定内給与額 年間賞与その他特別給与額 年収
0年 316,100円 226,600円 4,019,800円
1~4年 357,000円 1,032,900円 5,316,900円
5~9年 329,800円 962,100円 4,919,700円
10~14年 412,400円 1,299,400円 6,248,200円
15年以上 652,800円 2,726,400円 10,560,000円

(参考:令和6年賃金構造基本統計調査)

■ 税理士の男女別年収

男女別の税理士年収についても、「賃金構造基本統計調査」によるデータがあります。それによると、男性税理士の平均年収が約970万円なのに対し、女性税理士は約540万円と約430万円の差があります。これは、勤務形態の違いなどによるものだと考えられます。

性別 所定内給与額 年間賞与その他特別給与額 年収
男性 613,000円 2,298,500円 9,654,500円
女性 346,000円 1,207,700円 5,359,700円

(参考:令和6年賃金構造基本統計調査)

■ 税理士試験合格と科目合格による年収の違い

税理士試験に合格して正式に登録を行っているかどうかは、年収に大きな差をもたらします。税理士試験に合格して登録を済ませた人は、平均で500万円から1,100万円の年収を得ている一方で、科目合格のみにとどまり補助的な業務を続けている人は、350万円から600万円程度にとどまる傾向があります。

中小の会計事務所に転職した初年度の場合、税理士か税理士試験の科目合格者(税理士登録なし)かの違いは以下のようなものになります。

● 科目合格者の場合
経験者(2~3年):320~400万円程度
経験者(3~5年):350~450万円程度
経験者(5~10年):350~600万円程度

● 税理士の場合
未経験者:300万~350万円程度
未経験者+経理経験者:350~400万円程度
未経験者(5科目合格、税理士未登録): 400万円前後

国税OB(実務未経験※経験領域による):500~600万円程度
経験者(3年): 500万円程度
経験者(5~10年):500~700万円程度
経験者(10年以上):700~1100万円程度
経験者(独立経験あり):700~1100万円程度

(ジャスネットコミュニケーションズ調べ)

税理士資格を取得することで、より専門性の高い業務を任されるようになり、責任の大きな仕事にも携わることが可能になります。さらに、資格があることで独立開業の道も開かれ、年収の上限が飛躍的に高まる点が大きなメリットです。

■ 税理士の働き方による年収の違い

(1)税理士法人と独立開業税理士の年収比較

税理士の年収は、どのような働き方を選ぶかによっても大きく異なります。たとえば、税理士法人に勤務する場合、平均年収は600万円から800万円程度と安定しており、福利厚生や教育体制も整っているのが一般的です。

一方で、独立開業を選んだ場合、自身の営業努力や経営手腕によって年収は大きく変わります。うまくいけば年収1,000万円を超えるのも現実的であり、2,000万円以上を稼ぐ成功例も少なくありません。ただし、顧客獲得のための営業活動や人材育成、経理や労務管理といった業務も自己責任で行う必要があります。

(2)企業内税理士の年収とその特徴

企業内税理士として働く選択肢もあり、大企業や外資系企業に所属すれば大手税理士法人と同程度以上の年収を得られるうえ、安定性や福利厚生も期待できます。パートナーや役員への昇格で1,000万円超の年収が得られる可能性も十分にあります。国際税務やグローバルな経理体制に関わる経験があると、さらに高収入を目指すことが可能です。

企業内税理士としてのキャリアは、家庭との両立やワークライフバランスを重視したい人に適しており、税理士法人で安定して働きながら経験を積み、将来的にパートナー職を目指す道も開けています。

会計事務所を選ばない道 企業内税理士の働き方、仕事内容って?
https://career.jusnet.co.jp/tax/tax_02_02.php

■ 税理士の生涯年収と将来性

(1)税理士の生涯年収の概算

仮に税理士として25歳で就職し、65歳まで働いた場合に考えられる生涯年収は以下の通りです。

  • 企業内税理士:約2億5,000万〜3億円
  • 独立税理士:約3億〜5億円以上

高年収層に入るには、経営スキルや営業力、IT知識の習得がカギとなります。

(2)税理士業界の将来性と年収の見通し

税理士業界は今後、大きな変化を迎えることが予想されます。記帳代行や申告業務の自動化が進み、税理士の役割はよりコンサルティング的な方向へとシフトしていくと考えられています。特に、事業承継やM&A支援、相続税対策など、専門性が高く人間的な判断が求められる分野への需要は今後も増加するでしょう。

■ 税理士の年収に影響を与える要因

(1)経済状況と税理士の年収

税理士の年収は、経済環境やIT技術の進展、社会構造の変化などさまざまな要因によって左右されます。景気が良ければ企業活動が活発になり、税理士への依頼件数も増えるため、報酬の上昇が期待できます。一方で不況時には、顧問料の値下げや契約解除のリスクも高まります。

(2)AIやRPAの影響とその対策

AIやRPA(Robotic Process Automation)の導入により、税理士の業務の一部は自動化されつつあります。特に記帳や申告書の作成といった定型的な作業は機械に代替されやすいため、これからの税理士には、より付加価値の高い業務への転換が求められるでしょう。たとえば、経営分析や財務戦略の立案、企業再編のサポートなど、人間の判断力や提案力が必要な領域に注力することで、高単価の仕事を獲得しやすくなります。

(3)高度な判断が必要な領域の需要

AIでは対応できない分野、たとえば以下のような業務の需要は今後も拡大が見込まれます。

  • 事業承継
  • 国際税務
  • 組織再編や相続対策
  • 税務調査対応

これらを強みにすれば、高単価案件の受注が可能となり、年収も大きく向上します。

■ 税理士の年収を上げる方法

(1)転職して年収を上げる

年収を上げるためには、戦略的なキャリア設計が不可欠です。たとえば、資格を活かして都市部の大手税理士法人へ転職することで、より高いポジションと報酬を得ることができます。また、クラウド会計ソフトを導入して効率化を図り、限られた時間で多くの顧客を対応するなどの工夫も効果的です。

実際に、以下のようなケースで年収アップを実現した事例が見られます。

  • 地方の小規模事務所 → 都市部の大手税理士法人(年収+200万円)
  • 補助業務中心 → 資格取得後にマネージャーへ昇進(年収+300万円)
  • 独立開業 → クラウド会計導入+マーケティングで年収1,500万円に

税理士の方が転職を考える場合、会計士・税理士専門の転職エージェントに相談するのがおすすめです。専門エージェントは会計・税務分野の豊富な紹介先を持つ上、求人先の詳細なニーズや事情も把握しているため、あなたの経歴や能力に合った求人を紹介してくれます。

・年収の高い税理士法人・会計事務所に転職する方法

年収が高い傾向にあるのは、下記の3種類が挙げられます。あくまで、一般的にその傾向があるという話ですので、詳細は求人ごとに調べるか、エージェントに問い合わせください。

①大手税理士法人

まずわかりやすいのは、Big4系列や大手と呼ばれる規模の大きいところです。
こういった税理士法人では役職ごとに給与は決められており、スタッフからシニアスタッフ、マネージャーと上がるにつれ、給与も高くなっていきます。

②専門性の高い会計事務所

規模に関わらず高年収を得られる会計事務所もあります。
ひとつは給与にインセンティブ制を採用しているところです。自分で営業が必要であったり、担当件数ごとに給与が変わったりしますが、特に相続税など大きな金額を扱う会計事務所では年収もあがる可能性が高いようです。

③コンサルティング業務に力を入れている会計事務所

公認会計士が開業している会計事務所では、コンサルティング業務にも力を入れているところが多いです。事業承継、M&A、資金調達、IPO支援などを、規模の大きなクライアントから依頼されることで報酬も高くなり、結果、給与にも反映されています。

転職エージェントはある程度、その事務所のクライアントにも精通していますので、どのような分野に強いか、クライアントの規模などもお問い合わせください。

(2)転職せず高収入を得る方法

転職を選ばず、現行の働き方で高収入を得るための方法には以下のようなものがあります。

  1. 資格取得(税理士、公認会計士、ファイナンシャルプランナー)
  2. 専門分野の構築(相続税、国際税務、医療・介護特化)
  3. デジタル活用(クラウド会計、リモート相談)
  4. 営業力・提案力の強化
  5. 事務所の差別化戦略(YouTube、SNS、ブログなど)

医療業界や建設業界など特定業種に特化した専門性を持つことで、信頼を勝ち取りやすくなり、高額な顧問契約につながることもあります。SNSやWebサイトを活用して情報発信を行い、集客力を高めるマーケティングも年収アップには欠かせない要素となっています。

■ 税理士試験の概要と受験対策

(1)税理士試験の受験資格と難易度

税理士試験は非常に難易度が高く、全11科目のうち5科目の合格が必要です。ただし税理士試験は科目合格制を採用しており、一度の受験で5科目すべてに合格する必要はありません。また、一度でも合格した科目は生涯有効となります。

1科目あたりの合格率は10〜15%前後とされ、すべての科目をクリアするまでには平均して5年から10年程度の期間を要すると言われています。受験資格には、大学の会計・法律科目履修や実務経験などが必要です。

(2)効果的な勉強方法と試験対策

受験資格には大学での法律・会計科目の履修や一定の実務経験などが求められ、働きながら受験勉強を続けるには高い自己管理能力が必要となります。資格予備校を活用しながら、効率的に学習を進めていくのが合格への近道です。

■ 税理士の年収に関するよくある質問

(1)税理士の年収が「低い」と言われる理由とは?

税理士の年収は平均で800万円前後とされていますが、これはあくまで平均であり、若手や補助業務に従事する人の年収は400万円前後にとどまることも多いため、相対的に「低く感じる」場合があるのです。また、企業内税理士として働く場合、昇給幅が小さく、責任に見合った報酬を得られにくいという不満が生じるケースもあります。

さらに、試験合格までに長い年月と費用がかかるため、費用対効果の面から「思ったほど稼げない」と感じる人も一定数存在します。

(2)税理士を目指すための学校や必要な資格を教えて

税理士を目指すために必要な学校や資格についてですが、大学で会計学や法律を学ぶことが一つの近道です。特に、税理士試験の受験資格としては、大学で一定の科目を履修していること、もしくは会計事務所などでの実務経験が必要となります。

多くの受験者は、資格予備校に通いながら、数年かけて試験合格を目指します。近年では、通信講座やオンライン講座も充実しており、社会人が働きながら学ぶための環境も整っています。しっかりとした準備と継続的な努力が、税理士としてのキャリアを築く第一歩となるのです。

■ まとめ

税理士は、正しい戦略と努力次第で高年収を目指すことができる魅力的な職業です。ただし、その年収には大きな幅があるため、自身のキャリアビジョンに応じた働き方の選択や、スキルアップのための継続的な努力が不可欠です。

これから税理士を目指す方、あるいはすでに税理士として働いている方も、年収アップに向けて計画的にステップを踏んでいくことが、将来の成功につながるはずです。

執筆者プロフィール

ジャスネットキャリア編集部

WEBサイト『ジャスネットキャリア』に掲載する記事制作を行う。
会計士、税理士、経理パーソンを対象とした、コラム系読み物、転職事例、転職QAの制作など。

編集部メンバーは企業での経理経験者で構成され、「経理・会計分野で働く方々のキャリアに寄り添う」をテーマにしたコンテンツ作りを心がけていてる。

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