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税理士のための「税理士・会計事務所の事業承継」の方法とその相場とは?

目次

■税理士・会計事務所の事業承継にはどのようなパターンがあるのか

■自分に合う事務所を見極めるポイント

■わたしの場合

■税理士事務所の承継にかかる費用、相場観は?

■税理士・会計事務所の承継を考えた際に使えるサービスは?

25年以上にわたり、監査法人・税理士法人、および海外提携ファーム(UK、ドイツ)、日系・外資系金融機関において多岐にわたる業務に従事してきた税理士の儀賀良之さん。

この度、縁もゆかりもない横浜の税理士・会計事務所を承継された経緯をうかがいました。

自身の経験を活かし、事業承継をした税理士・会計事務所をさらに発展させたいと考えておられます。税理士・会計事務所の事業承継を考えている方は、ぜひ参考になさってください。

■税理士・会計事務所の事業承継にはどのようなパターンがあるのか

(1)事務所の職員(税理士)や所長の家族(税理士)が承継するパターン

事業を承継してもらう側からすると、これが一番理想的な形であると思います。人柄や能力もわかっていますし、クライアントのこともよく理解しており、事務所内の調整なども含めて最もストレスなく引き継いでもらえるパターンではないでしょうか。

皆さん、最初はこのように考えて後継者を探すのですが、それが難しいとなったときにどうするかということだと思います。

(2)他の税理士・会計事務所に事業合流するパターン

この事業承継の場合は、さらに2パターンあると思います。

事業承継した側に完全に吸収合併されて、名前や経営権なども変わり、新しいオーナーのやり方で仕事をしていくという形。または合併しても、経営に関してはゆっくりと統合していくという形です。

現在はIT化することで拠点はあまり関係なく仕事をすることもできますが、特に遠隔地にある税理士事務所を買収した場合は、それまでのやり方を尊重した方が上手くいくのではないでしょうか。お客様も税理士事務所の名前や担当が変わってしまうと戸惑うことも多いため、無理のない形での事業合流が行われると思います。

(3)紹介会社などの仲介によって、個人の税理士に事業承継するパターン

わたしの場合はこの形で事業承継をさせていただいたのですが、まだ珍しいパターンだと思います。しかし事業承継を考えた時に、今まで事務所を経営してきた想いも引き継いで欲しいという気持ちや、地域に密着したお客様に対して、新規の税理士・会計事務所に吸収合併されることに内心忸怩たる思いを抱えている所長も多いのではないでしょうか。

信頼に足る個人の税理士を仲介し、事業を承継してもらうというこのようなパターンが、今後もっと増えていくことが税理士業界にとってもよいことだと思います。

仲介で事業を承継する場合ですが、通常は社員として入り、1年くらいかけてゆっくり引き継いでいく形が多いのではないでしょうか。因みに、わたしは前所長の意向もあり、4か月の引継ぎ期間を経て所長に就任しました。

所長就任前後には、前所長には特に引継ぎを丁寧にしていただいたと思います。加えて、今後も個々のお客様とのお付き合いの仕方や、お客様の過去年度の税務調査対応等で前所長にお力を借りることになると思います。

■自分に合う事務所を見極めるポイント

(1)事業内容が自分のスキルとマッチしているか

得意な分野、お客様の傾向などは、その事務所により様々です。今まで自分がやってきた分野が活かせる業務内容か、事務所のバックグラウンドや組織風土、お客様の種類などが自分と合致しているかを確認しましょう。

(2)事務所を運営する能力、営業の能力があるか

税理士として優秀な方でも、経営力があるかどうかは未知数です。自分がこの事務所の所長に就任したとして、組織を運営する姿を具体的にイメージすることができるでしょうか

また、これまで働いてきた事務所が大手の場合、営業などはしなくても仕事に困ることはなかったと思いますが、今後は自分で顧客を開拓する必要もあるかもしれません。個人として営業力があるかどうか、どのように事務所を維持し発展させていくかといった視点も重要です。

(3)地域、商圏に合うか

承継する事務所が自分にとって縁もゆかりもない土地の場合、その地域独特の商慣習などを理解する必要があります。わたしは今まで東京だけではなく海外でも仕事をしてきましたので、たいていの変化には対応できると思っていたのですが、それでも横浜のお客様とのお付き合いのあり方等、学ぶべきことはたくさんあると思います。

地元の方とのおつきあいの仕方、地縁・血縁の理解など、慣れるまでは大変なことも多いので、自分がそれに合わせていけるかどうかを見極めましょう。

(4)事務所の社風と合うか

自分にとって無理なく働けるような社風であるかどうかも大切です。

もちろん一緒に働く人たちに対して溶け込む努力は必要ですし、そのためのコミュニケーションは必須です。事務所の普段の様子などを見ることで、雰囲気や働いている人たちの様子なども確認しましょう。

■わたしの場合

わたしは最初、公認会計士として地元の三重県四日市市の会計事務所で働き始めました。小さなところでしたので、地元密着型の事務所の雰囲気やつながりなども知ることができたのは、キャリアの面でもとても良かったと思っています。

その後、若い頃は大きな組織で働いてみたいという想いもあり、監査法人トーマツの東京事務所へ移り、アーサーアンダーセン、アーンストアンドヤング、ロンドンやデュッセルドルフでの勤務、外資・日系の金融機関などを経て、自分の事務所を開設いたしました。キャリアの終着点として、最後は長く、自分のやりたいことをやって働いていきたいという想いが強くなっていました。

事業承継のお話をいただいたとき、思い出したのは最初に働いた三重の事務所です。実はわたしの両親も自営業だったので、事業承継をすることで、そういった方たちを支えていきたいと思いました。また横浜という土地柄、外資系のクライアントも多く、わたしが関わってきた国際税務の知識を活かせる可能性があるというのも魅力でした。

今後は事務所のさらなる発展を目指し、わたしが事業承継をしたことで強みを活かした商圏や分野なども広げていけたらいいと思っています。

■税理士事務所の承継にかかる費用、相場観は?

まず費用に関しては、事務所の規模や売り上げによってまちまちなので、どのくらい必要かと明言はできません。相場観ですが、通常でしたら1年間の顧問報酬、またはここ数年の営業利益をベースとする場合が多いようです。

わたしのように、一個人で引き継ぐ場合、前所長から個人で持分を譲り受け、対価を支払うには限界があります。このため、譲受側としては、いかに持出しを少なくするかが問題ですが、譲渡側としては、税制上の有利不利を考えると、持分を譲渡する方が望ましいです。

この辺りは、個々の承継のケースによりまちまちだと思いますが、双方気持ちよく承継を行うためにも、条件面はできるだけクリアにし、後々論争にならないようにすべきです。

■税理士・会計事務所の承継を考えた際に使えるサービスは?

税理士業界は「信頼のおける同業の税理士からの紹介が安心」という雰囲気が強いため、まだまだ仲介業者などを通した事業承継の数は少ないのが現状だと思います。

自分でできることとしては、当たり前のことですが常にアンテナを張り、SNSなどでも発信して自分の想いを伝える努力をすること。また税理士の集まりなどに顔を出して縁を作り、業界内の情報を得られるようにすること、でしょうか。

信頼できる仲介業者のエージェントや会計ソフトベンダーなどとのネットワークも重要で、そこからわたしのように事業承継につながるということもあると思います。

ジャスネットコミュニケーションズでも、税理士・会計事務所の事業承継のサービスを始めています。今後お考えの方は登録してみては、いかがでしょうか。

税理士・会計士のための事業承継支援サービス
https://career.jusnet.co.jp/entry/suc_support/

税理士・会計事務所の後継者名鑑
https://www.jusnet.co.jp/directory/

自分が事業承継をして思うのは、「長く続いている税理士事務所にはお客様から信頼されている理由があり、そういったところを残すことには大切な意味がある」ということです。

税理士・会計事務所の後継者問題は年々深刻になっていますので、今後はわたしのようなケースで解決する事務所が増えてくれると嬉しいなと思っています。

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