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【40代税理士の転職完全ガイド】年収・働き方・キャリアを変える成功戦略とは?

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かつては転職市場において「35歳の壁」「45歳の壁」といった転職限界の年齢に関する説が存在しました。しかし現在では、高齢化の進行と労働人口の減少といった課題の発生により、これらの説は過去のものとなりました。

またそれに伴い、フレックスタイム制度や短時間勤務制度、リモートワーク制度や副業の解禁など多様な働き方を認める風潮が発生。一般企業に比べて制度などの普及が遅いと言われる税務会計の業界でも、取り入れる事務所や税理士法人が増えています。

今回は、そうした背景の下で求められている「40代税理士」の転職市場と、更なるキャリア開発に注目してみました。

目次

■40代税理士の転職市場動向【2025年最新版】

40代税理士の転職市場について、ジャスネットキャリアのデータから2025年最新の動向を読み解いてみました。

(1)求人数の推移と転職先の多様化

40代の求人数は直近の5年で増加傾向を続けています。特に「企業内税務」「管理職候補」「資産税特化型」のポジションへのニーズが増加。働く環境やポジション、高付加価値な業務内容など、さまざまな視野から見ても「40代税理士の転職選択肢」は以前より格段に広がっています。

(2)採用側のニーズ:即戦力+長期戦力

採用する側が40代税理士に求めているのは、即戦力であることに加え、長く安定して勤務してくれることです。特に中堅の税理士法人では、所内の“中核”となってくれる人材を探しており、マネジメント経験のある40代に注目が集まっています。

●転職先タイプに見る特徴と向いている人材像
(中小事務所/大手税理士法人/企業内税務)

特徴 向いている人材像
中小事務所 地域密着・裁量大・多様な業務経験 幅広く、川上から川下まで多様な業務に携わりたい方
大手税理士法人 分業による縦割り構造・専門分野・高収入 自分が専門性を磨きたいと考えている、特定の分野を突き詰め、極めたい方
企業内税務部門 安定性高・福利厚生充実・キャリア長期視点 安定した経営基盤・労働環境への配慮の下で、安定した働き方を重視したい方

■40代税理士にチャンスが広がる理由とは

(1)求められる「経験」「実績」「信頼性」

40代税理士の転職において、今こそチャンスが広がっている理由は、単なる人材不足や年齢構成の偏りにとどまりません。むしろ、それまでに積み重ねてきた「経験」「実績」「信頼性」が、転職市場において“即戦力人材”として高く評価されていることが大きな要因です。

らに、税理士業界の業務内容や顧客ニーズは年々高度化・多様化しており、20代や30代では対応が難しい局面も多く見られます。そのため、実務の深い理解と判断力を持つ40代税理士が、現場の中心戦力として求められているのです。

(2)専門分野に特化した税理士法人の増加

加えて、近年は「資産税」「事業承継」「国際税務」「スタートアップ支援」など専門分野に特化した法人が増加しており、そうした高度な業務においては、一定のキャリアと専門性を持つ40代以上の人材の存在が不可欠となっています。

単に“年齢を重ねた税理士”ではなく、“専門性と対応力を備えた戦力”として、今まさに市場の中心に立てる年代であると言えるでしょう。

■なぜ今、40代税理士の転職が注目されているのか

冒頭に紹介した現在社会における転職市場の傾向から深掘りし、「税理士」における40代の転職にニーズが高まる要因について考えてみましょう。

(1)業界の構造的な人材不足

税理士業界では、深刻な人手不足が続いています。日本税理士会連合会によって報告された第七回税理士実態調査によると、20~30代税理士の割合は全体の6.6%(2020年に実施された第6回の際は約10.9%)。

実に9割以上が40代以上という数値が出ており、業界全体の高齢化が進んでいることを示唆しています。所長税理士のリタイアや事業承継に伴う求人が全国的に増加しており、実務経験豊富な40代税理士が「即戦力人材」として高く評価される時代に突入しています。

※ちなみに第七回調査における40代税理士は全体の18.1%。

(2)キャリアにおける「40代」の捉え方が変化

かつて40代は「終身雇用の安定期」とされ、キャリアの面でも完成が見える「最終盤」と捉えられがちでした。しかし、現在ではむしろ培った経験やスキルを発展・応用し、即戦力としてキャリアの「再構築」をする時期と評されています。

特に税理士業界では、技術革新や顧客ニーズの多様化が急速に進んでおり、そこへ対応できる戦力として40代税理士への期待がUP。こうしたニーズの変化に伴い、該当する税理士の転職に対する考え方も、“挑戦”ではなく“戦略的選択”に変化しました。

(3)DX・クラウド会計への対応力が問われる時代

freeeやマネーフォワードなどのクラウド会計ソフトが主流になり、紙ベースの会計処理から完全デジタル化への移行が進んでいます。こうした変化に対応できる税理士はまだ限られており、比較的若くITリテラシーの高い40代へ市場は注目。今後のDX推進を担える40代の存在価値は今後さらに高まるでしょう。

■40代税理士が今、身に付けるべきスキルセット

これまで築いてこられた経験それぞれにより、転職の場でアピールするポイントは異なるでしょう。その中でも、代表的な「身に付けておくとよいスキル」をいくつかご紹介します。

(1)クラウド会計ソフト(freee/MFクラウド)の運用スキル

すでに多くの企業でクラウド会計ソフトは導入されており、先ほども分析したようにその活用はもはや必須項目です。その中でも特に、中小企業やスタートアップ企業の顧客が増えている今、導入実績が多いfreeeまたはマネーフォワード会計を使いこなせると、より重宝されるでしょう。可能であればクラウド会計の「自社への導入窓口となった」「顧問先への導入を支援した」「使いやすいように仕様をカスタマイズした」といった経験があると、なお高評価を得られます。

(2)チームマネジメントと育成スキル

ニーズの多様化と複雑化に伴い、個人ではなくチームで業務対応する場面も増えてくるでしょう。そうした際に、40代税理士に対してチームマネジメント力や人材育成のスキルが求められるケースも少なくありません。

管理職としての経験がある方はもちろん、後進の指導や育成経験があれば、積極的にアピールしましょう。具体的なポジションになくとも、OJTを通じて得られた成果や新人研修などの担当経験があれば、それをエピソード化。履歴書や面接で伝えると効果的です。

(3)顧客対応力・コンサルティング力

今後ますます、「申告書をつくる能力」よりも、経営助言や資金繰り支援など「クライアントの経営課題に対する提案力」が求められるようになるでしょう。そうした提案型の税理士となるためには、クライアントの考えや想いを引き出すコミュニケーション力や論理的な説明力、課題解決に向けた伴走力が欠かせません。そしてそれは、実際の現場で信頼関係を築くべく日常的に積み重ねてきた経験値から培われるものです。

■40代税理士の強みと市場価値

40代税理士が有している強みとは、具体的にどんな点を指しているのか。あなたが培ってきた「武器」について考えてみましょう。

(1)実務経験が生み出す即戦力性

40代税理士は多くの場合、10〜20年の豊富な実務経験を積んでいます。申告業務はもちろん、法人税・所得税・消費税・相続税など幅広い税目に対応してきた知見は、転職先にとって非常に魅力的です。

さらに、金融機関・顧問先企業との折衝経験も豊富。専門性を最大限に生かすために必要とされる、コミュニケーションスキルでも期待値が高くなるでしょう。クライアントをはじめとする折衝相手との関係構築においても、経験を生かした対応力で即戦力となりえます。

(2)マネジメント能力と信頼性の高さ

後輩や若手の面倒を見たり、成長支援・人材育成に経験を持つ人が多くなる年代でもあります。チームや課のリーダーとして、チームマネジメントにも携わった経験があれば、なお優遇されるでしょう。

クライアントからのニーズが多様化・複雑化する近年において、個人のみならずチームでの課題解決に寄与できる能力は、市場において魅力的と判断されます。また、年齢・年代が周囲に与える信頼性も発揮され、所内外におけるコミュニケーションや意思決定支援においても安心感を与えることができます。

(3)専門特化やニッチ領域での強み

資産税や事業承継、国際税務、医療法人支援、不動産、スタートアップ支援など。通常の個人・法人税務の経験に加えて、高付加価値な専門分野に知識や経験を持っているケースもあるでしょう。こうした専門性を持つ40代税理士は、特化型事務所や企業内税務部門でのニーズが非常に高くなります。

■40代で転職することの本当のメリット

こうした40代税理士を取り巻く状況や強みを生かすと、実際の転職でどのようなメリットが発生するのでしょうか。

(1)年収の最適化が図れる

転職は年収が下がるというイメージを持つ方もいますが、実際には年収を最適化する好機となります。特に、大手税理士法人やグローバル企業の税務ポジションでは、これまでの年収を大きく上回る提示があるケースも(※注1)

家庭や育児、あるいは自身の今後や手にしたいものを考慮し、それに適した年収が得られる職場環境を探す、という選択をする好機かもしれません。

(2)働き方の見直しができる

過重労働や休日出勤が常態化している事務所から脱出し、ワークライフバランスの取れた環境に転職する人が増えています。コロナ禍以降、働き方の多様化が進み「理想とする働き方」は年代を問わず多種多様になりました。「仕事だけでなく、家族や健康も大切にしたい」と考える方にとっては、自分に合った働き方を選ぶチャンスです。

「福利厚生の充実具合」や「リモート勤務可」「勤務時間の柔軟性」など、トータルでの満足度を上げることが可能なことも、現代の転職市場ならではのメリットです。

(3)専門分野に集中できる環境を得られる

自分の得意領域に集中できる事務所や部署への転職は、仕事のやりがい・成果・評価の向上にもつながります。税務調査対応が得意なら…調査支援専門の法人へ、資産税分野が得意なら…相続・事業承継特化型の事務所へ——。専門特化した環境は今後のキャリアの大きな分岐点となるばかりでなく、40代税理士の価値をさらに高めてくれます。

※注1:年収が上がる転職/下がる転職
転職によって年収が上げるには、自身の強みを生かすことが肝要です。

  • 即戦力として経験やスキルを生かせる転職
  • これまでを土台に、より高付加価値(またはニーズの高まる)業務内容にシフトする転職
  • マネジメントなど、役職アップを視野に入れた転職

こうした転職であれば、年収UPも望むことができるでしょう。一方で…

  • これまでと別分野、未経験の仕事への転職
  • 収入よりも、ワークライフバランスを重視した転職
  • 自身の強みが生かせるか、判然としない(説明できない)転職

こうした転職の場合、年収が下がるケースも発生してしまうことがあるでしょう。年収UPを目的とする転職の際はご注意ください。

■40代で転職することのデメリットと注意点

(1)年下が上司になる可能性も

一方で、40代での転職には一定のリスクや注意点も存在します。しっかりと理解しておかないと、せっかくの転職が「こんなはずではなかった」という結果になりかねません。

まず、40代は「高い即戦力性」が期待される反面、年下の上司や同僚との関係性に気を使う場面も多くなります。マネジメント経験がある方であっても、新しい職場では「一スタッフ」としてスタートすることがあるため、プライドの置き所に注意が必要です。

(2)試される「柔軟性」や「変化への適応力」

また、40代の転職では「柔軟性」や「変化への適応力」が試されます。古いやり方に固執してしまうと、組織に馴染むのが難しくなってしまうことも。自分の成功体験に頼りすぎず、新しい環境に耳を傾ける姿勢が重要です。

さらに、企業や事務所側の採用基準が明確であるため、ポジションや待遇に過度な期待を抱いてしまうとミスマッチにつながります。自分の強みを過信せず、市場や職場のニーズと照らし合わせたうえで慎重に行動することが、40代転職成功のカギとなります。

■転職に失敗する40代税理士の【5つの落とし穴】

40代税理士の転職における可能性とメリットについて解説してきましたが、中には「転職するんじゃなかった…」と後悔するケースも。
そうした転職は、どんな点に課題があったのでしょうか。陥りやすい【5つの落とし穴】をご紹介しましょう。

(1)年収ダウンを過度に恐れる

転職先の待遇を「年収」だけで判断すると失敗する可能性があります。たとえば、ワークライフバランスの改善、福利厚生、在宅勤務可などの非金銭的メリットを軽視しすぎてしまうと、キツイ労働環境で体を壊して…ということも。金銭面以外の労働環境や制度、体制などにも配慮が必要です。

(2)過去の成功体験に固執しすぎる

かつての成功事例や自分のスタイルに固執すると、新しい職場環境やチームとうまくいかなくなることがあります。転職では、柔軟性や適応力が評価されるポイントとなるため、自己流にこだわりすぎないよう注意が必要です。新たな職場には、その職場のルールや慣習があるもの。互いに上手にフィットしていけるよう、歩み寄りの姿勢を大切にしましょう。

(3)組織文化とのミスマッチ

どの層のクライアントを顧問先と設定するのか。顧問先に対して、どういう姿勢で対応するのか。このように事務所や法人ごとに、税務会計の仕事や顧問先への文化や価値観は異なるものです。自身の価値観や考え方と全くマッチしない職場では、どうしても日々働く中でストレスが高まってしまいがちになるでしょう。特にトップとの距離が近い中小の事務所では所長との相性が重要。面接時などの対話を通じて、しっかり確認しておくことが転職成功のカギになります。

(4)技術革新についていけない

クラウド会計やAIツールの進化が日進月歩で進み、どの職場でも導入が進んでいます。最新のITへの「理解や使用経験が高い」まで行かずとも、率直に学び、習得する意欲は不可欠。ITアレルギーを感じて距離を取ってしまっては「旧世代扱い」されかねません。

(5)転職理由がネガティブ

面接時、「上司と合わなかった」「残業が多すぎた」といったネガティブな理由ばかりだと、採用担当者から敬遠されます。例えば「同じ業務の繰り返しで飽きてしまった」ではなく、「新しい環境で、より専門性の高い業務にも触れて自分を成長させたい」といったように。思い描いた転職理由をポジティブな考え方に変換し、前向きに新しい環境に飛び込める準備をしておきましょう。

■キャリアの棚卸方法と強みの可視化ワーク

自身の強みや魅力を伝え、理想とする職場への転職を実現するために。経験者であるほど、キャリアの棚卸が非常に重要です。以下の工程を経て、面接に備えましょう。

ステップ1:過去10年の業務を全て書き出す

まずは自身のキャリアを可視化・言語化する作業から。 過去10年間に携わったプロジェクト、専門性を要した税務対応や課題解決支援、担当業務件数や規模、調査立会い、使用ソフト、後進の育成・指導実績など。あらゆる実績を書き出しましょう。

ステップ2:成果を“数値”で示す

例えば

  • 担当件数:年間120件の法人決算対応
  • 調査結果:税務調査にて追徴0件を3年連続で達成
  • 業務効率:Excel活用により月次作業を20%削減

といったように、定量的なアピールは採用担当者にとって非常に説得力があります。

ステップ3:自分の市場価値を客観的に分析する

棚卸し後は、転職エージェントや第三者と一緒に強み・弱みを整理しましょう。主観だけでなく、他者評価も取り入れて改善点を可視化することが転職成功の鍵です。

■税理士業界における転職の成功パターン8選

(1)地方勤務 → 都市部の中堅税理士法人へ転職

働くエリアや地域を変えることで、年収・キャリア両面での向上を実現

(2)一般職 → 管理職候補としてステップアップ

前職のマネジメント経験を活かし、それをより発揮できる職種・昇格ルートへ。

(3)独立前の“修行”としての転職

前職で出会えないような多業種の顧問経験を積み、3年後の独立へ備える。

(4)企業内税務へのキャリアシフト

福利厚生や勤務安定を求めた選択。一社に専念する働き方も獲得。

(5)資産税特化型法人への転身

培った資産税分野の専門性をいっそう発揮し、評価される環境に転身。

(6)子育て中の女性税理士がリモートワーク中心に転職成功

柔軟な勤務形態の職場を見つけ、ライフイベントを乗り越えてキャリアを継続。

(7)ベンチャー支援型事務所でスタートアップに特化

新しい顧問スタイルに挑戦し、勢いに溢れる若手経営者と共に自己成長を実感。

(8)中堅税理士法人から税理士事務所、会計事務所に

中堅税理士法人でバリバリ働くことが、必ずしても誰にでも合う道ではありません。規模の小さい税理士事務所に戻ることも一つです。

※40代以上の転職成功事例も多数掲載しています。以下もぜひご参照ください。
税理士 40代以上の転職成功事例一覧

■まとめ:年齢ではなく、自身の理想や想いを重視した転職活動を!

40代という年齢にとらわれすぎる必要はありません。重要なのは、これまでに積み上げてきた経験やスキルを“どう活かし、どんな働き方をしたいのか”という自分自身のビジョンです。

現代の転職市場では、年齢よりも「実績」「柔軟性」「将来性」が重視される傾向にあります。だからこそ、40代であっても、自身のキャリアを“守る”だけでなく、“攻める”選択が可能です。まずは「キャリアの棚卸」と「自分の求めるものを見定める」ことから始めてみませんか?

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