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実はブルーオーシャン?202X年、税理士と会計事務所のミライは

写真1

税理士試験を目指している社会人受験生にとって気になるのが、試験合格後、「実際にどういう仕事があるのか?」ということではないでしょうか。 実際のところ、AIに代表されるデジタル技術の発達に伴い、「税理士の仕事は今後なくなるのでは?」という噂がまことしやかに囁かれていることで、不安に思う方も多いでしょう。 そこで、今回はこうした噂の検証をしたうえで、これからの2020年代を生きる私たちの目指すべきこれからの税理士像について探っていきましょう。

POINT

・近年、若年層の税理士試験合格者は減り続けている
・若年層の間で税理士の業務に先が見えないという印象を持たれている
・AIが進展したところで、税理士業務はなくならない
・理由は3つ(デジタル人材不足、フリーランスの増加、専門性に価値を求める層の存在)
・税理士の未来は明るい

■年々減り続ける税理士受験生

■実は無くならない税理士業務

■まとめ 5年後、10年後の会計事務所の姿は?

■年々減り続ける税理士受験生

(1)数字からもわかる税理士受験生の減少

2020年現在、全国の税理士登録者数は日本税理士会連合会の資料によると79,404名となっています。こうしてみると、登録者数は年々増加傾向にあります。

図1

(国税庁HP「税理士制度」https://www.nta.go.jp/taxes/zeirishi/zeirishiseido/seido2.htmデータより作成)

しかし、増加率で見ると1980年から1990年の10年間の増加率が29%程度であることに対し、2010年から2020年の10年間では9%程度にとどまります。

すなわち、近年における資格取得者は少ないことが伺えます。それでは、現登録者の年齢層はどのようになっているのでしょうか?

図2

出典:日本税理士会連合会資料「データで見る税理士のリアル」https://www.nichizeiren.or.jp/wp-content/uploads/doc/prospects/whats_zeirishi/book02/origin/page-0017.pdfcontent/uploads/doc/prospects/whats_zeirishi/book02/origin/page-0017.pdf

少し古い資料になりますが、日本税理士会連合会による平成26年現在の年齢別登録者の割合を見ると、20代から30代は15%にも満たず、登録者の半数以上が50代以降の中高齢層であることがわかります。

さらに、令和2年度度税理士試験の5科目合格者を年齢別に比較すると、合格者の多数を占める40代以降の合格者が4割程度にも及びます。

図3

国税庁HP「令和2年度(第70回)税理士試験結果」https://www.nta.go.jp/taxes/zeirishi/zeirishishiken/shikenkekka/70/kekka.htmデータより作成)

すなわち、2000年代に入り鈍化傾向に登録者数の中でもさらに若年層の合格者はほんのわずかだということがわかります。

(2)その背景にあるものは?

こうした状況の背景には何があるのでしょうか。

一つの理由として、若年層の間で税理士の業務に先が見えないという印象を持たれていることがあります。

前述の「AIの発展により税理士の仕事がなくなる」と言われるきっかけとなった有名な論文、「THE FUTURE OF EMPLOYMENT(雇用の未来)」(マイケル・A・オズボーン、カール・ベネディクト・フライ共著)では、税理士が10年後にAIに代替されるとされる702業種の中に含まれており、この仮説の証明として、デジタル先進国として名高いエストニアでは、実際に「税理士のいなくなった」というセンセーショナルな記事がいくつも紹介されていたのです。

さらに、年々難易度の上がる試験もこれに拍車をかけている原因の一つと言えるでしょう。
貴重な時間を削って得た難関資格が仕事にならないという印象のままでは、チャレンジする人も少なくなってしまったというわけです。

■実は無くならない税理士業務

(1)AIが進展したところで、税理士業務はなくならない。なぜなくならいのか

それでは、実際に税理士の仕事は今後なくなっていくのでしょうか。

もし、こうした噂を憂慮し、受験をあきらめるのであれば、それは「まったくの誤解」と言っても過言ではありません。

その理由として、以下の3つの事項が挙げられます。

①税理士業界におけるデジタル人材の慢性的な不足

前述のとおり、税理士業界は、超高齢化業界です。現登録者のなかで、アクティブに活動する若手有資格者は少ないというのが現状です。これは、社会がデジタルシフトしていく中でその中心となるデジタル人材の不足を現しています。

コロナ禍におけるデジタル化の需要は行政手続きにも及び、現段階では大企業のみに課された電子申告の義務化の流れは、税務署の現場における人手不足も相まって、さらに加速するでしょう。

また、クラウドソフトに代表する会計ソフトなどを使った記帳作業は、作業の効率化を進めることで、さらに一歩進んだデータの活用を促進する流れになってきています。

こうした会計、税務業務に関するデジタル化は、デジタルネイティブ世代との親和性が高いと言えます。しかし、そうした人材が不足する税理士業界においては、今後即戦力となる人材の不足がより一層加速していくことでしょう。

②雇用の流動化によるフリーランスの増加現象

また、30年にも及ぶ長期的な経済の低迷は、これまで当たり前とされていた雇用環境にも影響を与えています。

長期雇用を支えることが難しくなった企業においては、企業内フリーランス化が進み、また、テレワークの推進により、過密する首都圏のオフィスワークを離れ、地方に移住し、自分のペースで労働する地方回帰が注目を浴びています。これまで会社内での年末調整を中心とした納税環境から分断されることで、申告対象となる「税理士の見込み顧客」のマーケットはさらに拡大し続けるでしょう。

③多様性のある社会における専門家の必要性

しかし、こうしたフリーランスの増加は、より便利な申告ソフトを開発する業務ソフトベンダーにとってもマーケットとなります。

ここで重要なことは、こうした会計ソフトのマーケットと税理士業務におけるマーケットは似ているようで非なるものだということなのです。

こうしたソフトを使いこなし、自分で申告ができる層というのは、普段から情報に触れ、自身で申告業務に必要な情報をピックアップし、申告書類をまとめることができる層であり、こうした層はいつの時代にも存在しています。すなわち、こうした層はいつの時代においても税理士業界におけるマーケットとは異なる部分で存在しているのです。

税理士は、あくまでも税法という法律における専門家であり、専門家の情報が必要な層が税理士業界におけるマーケットです。

すなわち、経営者や非居住者などの複雑な納税環境にある者や自身で情報をまとめることができない小規模の事業者など、「情報に価値を求める層」なのです。税法は特殊な法律であり、法律のプロである弁護士ですら読みこなすことができないと言われています。

また、所得の多様化や国際化の流れは今後も加速することとなるため、納税者本人の状況を整理し、最適解を出せる税理士の存在は、今後、さらに重要性を増していくことと筆者は考えます。

(2)税理士が減っていく近未来の日本で起こることは?

こうした点を踏まえると、税理士業務事体の需要が今後増え続けるだけでなく、人口ボリューム層である団塊の世代などの高齢層がリタイアするこの10年の間にさらに人材不足は加速することと思われます。

すなわち、今後の日本において、資格取得者が減少していく税理士業界はブルーオーシャンの時代に突入すると予測します。

■まとめ 5年後、10年後の会計事務所の姿は?

(1)10年後の税理士と会計事務所はこうなっている

デジタル化の流れは、税理士業界においても憎むべき進化ではありません。

なぜなら、年々複雑化する税法に対応するための追加資料はどんどん増え、単純業務ですら以前と同じような業務を行っていては対応できなくなりつつあります。

また、多様性が叫ばれる社会においては、個々の企業や個人の収入形態も多岐にわたり、さまざまな相談内容が日々持ち込まれます。こうした相談に対応するためには、税務以外にも様々な知識が必要になります。そのため、デジタルの力を得て、業務そのものの効率化を進めなければ、会計事務所自体の経営が難しくなっていくでしょう。

こうした時代に対応するため、税法の知識に留まらず、クラウドやRPAといったITに関する知識は、もはや必要不可欠になります。

税理士業務は、こうした多様性のある社会において、これまでの処理中心の業務から、単純業務のデジタル化により得た時間でより高度で専門的な知識が求められる業務へと変化していくでしょう。

(2)税理士の未来は明るい。+αで身につけるべきスキルとは

ここで、「AIにより税理士はなくなるのか?」という点を再度検討していきましょう。

冒頭で紹介したエストニアにおいては、資源が少ないことを背景に世界に通用するITベンチャーの育成を国策としていることから、会計がわかる人材の重要性はより一層増している環境にあります。すなわち、こうした会計や税務に関わる人材は今以上に求められる環境にあるのです。

その意味においては、この噂は嘘だった、ということになります。

しかし、実際のところ、これまで経理業務の中心であった仕訳入力業務は、日本以上にシステム化され、簡素化される傾向にあります。

すなわち、従来型の「資料を収集し、仕訳入力を起こし、申告書を作成する」という定型作業は人工知能の発達に伴い、より正確に行われ、そこに関与する人はどんどん減少していくことでしょう。

そのため、これまで以上に個々の持つ知識の価値がより評価される時代になります

多様性のある社会においては、これまで以上に税務に関する知識だけでなく、その業務の背景にある経済や世界情勢だけに留まらず、ITやエンタメ、アートといったさまざまな知識が必要になります。

こうした、情報にアンテナを張り巡らせるのと同時に、作業ではなく、会計や税務の知識を使って自身で判断できる高度な人材こそがAI化された世界で求められていく人材となるのです。

関連コンテンツ:AIが会計士と税理士の仕事を奪う?!~IT先進国エストニアに行ってみて考えた会計業界の未来~
https://career.jusnet.co.jp/cpa/cpa_42_01.php

執筆者プロフィール

小島 孝子(こじま たかこ)
税理士

神奈川県出身。税理士。
早稲田大学在学中から地元会計事務所に勤務。その後、都内税理士法人、大手税理士受験対策校講師、大手企業経理部に勤務したのち2010年に小島孝子税理士事務所を設立。幅広い実務経験と、講師経験から実務家向けセミナー講師多数担当。「実務」と「教えるプロ」の両面に基づいたわかりやすい解説に定評がある。実務においては、街歩き、旅行好きの趣味を生かし、日本全国さまざまな地域にクライアントを持つ、自称、『旅する税理士』。

著書

3年後に必ず差が出る20代から知っておきたい経理の教科書(翔泳社)2014年
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簿記試験合格者のためのはじめての経理実務(税務経理協会)2016年
(※amazonの書籍ページに遷移します)

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