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本業は一般事業会社で!『税理士を副業にする』という選択肢について

税理士 定岡佳代(文・イラスト)

図1

最近は本業以外にも、副業を考える人が増えていますよね。
一般事業会社の経理部にお勤めの方が、勉強を重ねて税理士の資格を取得した場合、「土日のみ副業として税理士業務ができるのだろうか?」と気になっている方もいるかもしれません。

結論からいうと、もちろん可能なうえ、副業として非常にメリットも多い選択肢です。ただ会社の就業規則から外れなければの話になります。興味のある方は、ぜひ参考にしてください。

目次

■副業で税理士として働く場合の仕事パターン

■副業で税理士として働く場合のメリット・デメリット

■まとめ

■副業で税理士として働く場合の仕事パターン

税理士という職業を副業として行う場合、顧問先数を抑えて業務量を調整したり、何か自分の得意な分野に特化することができたりします

これは自由度の高い開業税理士だからこそできる働き方ではないでしょうか。
具体的には以下のような仕事パターンが考えられます。

(1)土日の税務相談

税理士資格を取得し開業税理士となる場合、事務所を構えた地域の税理士会に登録する必要があります。

登録をすると、その地域での土日の税務相談会、確定申告相談会などの依頼がきます。
報酬はそこまで高いものではありませんが(日当2~3万円程度)、週末の副業としては悪くはないのではないでしょうか。

(2)ブログやYouTubeなどで発信する

税務に関する疑問解決や税理士になるための勉強方法など、税理士資格があるからこそ発信できる情報があります。

文章力に自信があるならブログやnoteなど。人と話すこと、教えたりすることが得意な場合はYouTubeやInstagramなど。自分に合った媒体を選び、それを収益化するという方法もあります。

(3)『ジャスネットキャリア』のような経理・会計に特化した媒体の記事を書く

こちらは2の派生になりますが、自分が発信しているコンテンツが評価されることで、そこから税務に関する原稿を書くお仕事をいただけることがあります。経理・会計・税務分野に詳しいライターというのは非常に稀なため、軌道に乗ればコンスタントに依頼もあるでしょう。

また、わたしの知人の話ですが、イラスト付きで公開していたnoteが編集者の目に留まり、本を出版したというパターンもあります。

自分の好きな分野について発信し、収入が伴うようになれば、まさに夢のような副業といえますよね。

(4)資格学校や大学院の非常勤講師

税理士資格を取得するには、通常、資格学校に数年通うことになります。自分の勉強の傍ら、資格学校で教鞭を振るっている先生も少なくありません(資格取得までいかなくても採用されている方も多くいます)。受験生に教えることが向いていると感じたら、資格学校で教えることも副業の選択肢としていいのではないでしょうか。

また、税理士試験の一部科目免除のために大学院へ入学する方が近年増えています。修了してから母校である大学院の非常勤講師として、論文指導のお手伝いをしている税理士の方もいらっしゃいます。このような働き方も、土日や夜間に限定していれば副業に適しているといえるでしょう。

(5)顧問料を抑え、年一回の税務申告のみを担当するクライアントを持つ

普通の会計事務所の場合、税理士が担当する法人顧問のクライアントは20~30件程度です。これは週5で働いた場合なので、週末のみの税理士業務の場合、決算月が重ならないようにすれば、最低でも5~10件程度は担当できるのではないでしょうか。

もちろん本業として税理士業務を行う場合は、規模の大きなクライアントや複雑な税務処理が必要な案件など、よりやりがいのあるものを任される可能性が高いです。

しかし、世の中には「最終的な税務申告のみきちんとお願いしたい」「税務に関する質問はほとんどない」「その代わり顧問料を抑えて欲しい」というライトなニーズも多くあります。

そういったクライアントには、質問できる期間や回数を限定する条件付きで顧問料をおさえてくれる税理士がマッチングするのではないでしょうか。また、このような働き方であれば副業でも可能かと思います。

(6)相続税申告を受ける

相続税申告に特化して仕事をすることも、副業として適していると思います。相続税の申告期限は「相続発生から10か月」と猶予がありますので、クライアントとの相談日を土日に限定するなどすれば、副業に向いていると思います。

また、相続税申告は1回の申告料がおよそ20万円~と相場が高いですので、経験を積んでコンスタントに受注できる仕組みを作れば、「タイパのよい副業」といえるでしょう。

■副業で税理士として働く場合のメリット・デメリット

(1)メリット

最大のメリットは、副業としては単価が高いということです。また仕事の場所を選ばない、本業との兼ね合いで働く時間が調整できるなど、場所・時間の自由度も高いです。

上記で述べたような選択肢があることはもちろん、経験を積んでいけばいずれ副業ではなく、税理士を本業とすることも視野に入ってくるでしょう。定年退職もなく、自分のペースで仕事ができることも、開業税理士のメリットです。

(2)デメリット

デメリットと感じることはあまりありませんが、そもそも税理士資格は難関国家資格のため、取得すること自体が大変です。

加えて税理士登録には2年間の実務経験が必要なのですが、一般事業会社の経理部であれば業務内容によっては実務経験と認められないこともあります。そのような場合は、会計事務所などで実務経験を積む必要があることに注意しましょう。

また副業として税理士業を行う場合でも、いうまでもなく税務申告には責任が生じます。 あくまでもプロフェッショナルとして、取り組むことが重要です。

■まとめ

税理士になるには、「資格取得と実務経験2年」というハードルを越えなくてはなりません。それでも、自由度の高い開業税理士は、働き方の多様化がすすむ昨今では、副業として魅力的な選択肢だと思います。

また、「税理士を副業とすること」は、1つの仕事にこだわらず、「税理士×〇〇〇」と掛けあわせることにもなりますので、開業税理士としてのアピールや強みになるでしょう。

この記事が、いま副業を考えている方にとって、少しでもヒントになればうれしいです。

執筆者プロフィール

定岡 佳代(さだおか かよ)
税理士

兵庫県出身。1980年生まれ。神戸大学工学部建設学科、神戸大学大学院自然科学研究科(土木工学)修了。

関西で技術職に就くも、結婚・出産・上京を機に専業主婦に。次男の妊娠中に簿記の勉強を始め、日商簿記3級・2級に独学で合格。そこから税理士試験に挑戦し、パート勤務、大学院通学と並行しながら3科目合格。立教大学大学院経済学研究科を2020年3月に修了。2021年4月、税理士登録。

硬式野球男子2人の母。「税理士を目指すママ」コミュニティで知り合った友人のママ税理士4人で、セミナーや対談など活動をしている。都内の税理士事務所、税理士法人で約10年の修行を経て、2023年8月に独立開業。

「お客様はピッチャー、私はキャッチャー。どんな球でも受け止める。」をモットーに、お客様との対話を大切にしている。

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