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税理士への転職で評価される志望動機の書き方【経験別例文と面接対策の完全ガイド】

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2025年10月16日 ジャスネットキャリア編集部

税理士法人への転職において、志望動機は“入社初年度に何で貢献できるか”を具体に示す場です。抽象論は避け、担当業務・件数・納期・繁忙期運用など現場指標で語りましょう。

本記事では、採用担当が見る即戦力になるか・繁忙期耐性・チーム適応・顧客対応力とった本音に合わせて、足元の貢献→中長期の専門性強化までを一貫して伝える方法を、経験別テンプレと例文で示します。

目次

■なぜ税理士法人の転職では志望動機がこれほど重視されるのか

税理士法人の採用担当者が最も懸念するのは、入社後のミスマッチによる早期離職です。 即戦力になるか・繁忙期耐性・チーム適応・顧客対応力 を見極めようとしています。

  • 即戦力になるか:入力〜申告補助〜基本的な顧客連絡など、どこから任せられるか。
  • 繁忙期耐性:1〜3月・6月・決算集中月に納期と品質を落とさず回せるか。
  • チーム適応:現在のメンバー、所内ルール・チェックフローに素直に馴染めるか。
  • 顧客対応力:電話/メール/面談での言葉選び・初動スピード・約束厳守はできそうか。

さらに「なぜうちの法人か」を問われた際は、「共感1点主義」が有効です。求人票・HP・採用ページ・セミナー・SNSのいずれかから、 1点だけ深く共感した理由 を明確にしましょう。

また税理士業界では、クライアントとの信頼関係構築が業務の根幹を成します。 志望動機の語り方そのものが、コミュニケーション能力や誠実さを示すバロメーターとなる ため、採用担当者は志望動機の内容だけでなく、その伝え方にも注目しています。説得力のある志望動機を語れる人は、クライアントに対しても的確な提案ができる人材として評価されるのです。

■どのように自分の経験とスキルを棚卸しすべきか

効果的な志望動機を作成する第一歩は、徹底的な自己分析です。しかし単に「自分の強みは何か」と考えるだけでは不十分です。税理士法人が求める人材像と、自分の経験やスキルをどう結びつけるかという視点で、戦略的に棚卸しを行う必要があります。

(1)キャリアを具体的に書きだす

まず 自分のこれまでのキャリアを時系列で振り返り、それぞれの職務で何を学び、どのような成果を上げたかを具体的に書き出してください。 また 足元(0〜6か月)で任せてもらうことが可能な業務/中期(1〜3年)で強化する専門分野/繁忙期実績 の3点で整理しましょう。

(2)税理士業務以外のスキルにも目を向ける

次に、税理士業務に直接関連するスキルだけでなく、意外なところで役立つ経験にも目を向けましょう。たとえば営業職での顧客折衝経験は、クライアントとのコミュニケーション能力として評価されます。システム部門での経験があれば、DX化を進める税理士法人では貴重な人材となるでしょう。製造業での原価計算経験は、製造業クライアントを多く抱える法人では即戦力として期待されます。

(3)税理士試験の学習状況について整理する

さらに税理士試験の学習状況についても整理が必要です。科目合格の状況、学習にかけた期間、どのような工夫で学習を続けてきたかというストーリーは、継続力や問題解決能力を示す重要な要素となります。たとえ科目合格がなくても、働きながら学習を続けている事実そのものが、強い意志と時間管理能力の証明になるのです。

(4)税理士をめざしたきっかけを思い出す

忘れてはならないのが、なぜ税理士という職業に魅力を感じたのかという原体験の掘り起こしです。多くの場合、過去の何らかの経験が税理士を目指すきっかけとなっているはずです。中小企業の経営に携わって税務の重要性を実感した、家族が経営する会社の顧問税理士の仕事ぶりに感銘を受けた、など、その 原点を明確にすることで、志望動機に深みと真実味が生まれます。

■説得力のある志望動機の構成をどう組み立てるか

志望動機を作成する際、多くの人が陥りがちな失敗が、思いついたことを順不同に並べてしまうことです。効果的な志望動機には、読み手を引き込む明確な構成が必要です。
最も効果的な構成は、「結論→理由→具体例→未来」という流れ です。

①結論

まず冒頭で「貴法人への転職を強く希望する理由は〜」と結論から入り、採用担当者の注意を引きつけます。その上で、なぜそう考えるに至ったのかという理由を、自分の経験に基づいて説明します。

②具体的な理由

次に、その理由を裏付ける具体的なエピソードを挿入します。ここが志望動機に個性と説得力を与える最も重要な部分です。たとえば「クライアントの事業承継問題に深く関わりたい」という理由を述べるなら、「前職で担当していた企業が後継者不在で廃業を選択せざるを得なかった経験が、この分野への関心を強めた」といった具体的なストーリーが必要です。

③未来

そして最後に、入社後のビジョンを語ります。ここでは短期目標と中長期目標の両方を示すことで、計画性と継続的な成長意欲をアピールできます。「入社後3年間で税理士資格を取得し、その後は資産税部門のスペシャリストとして法人の収益に貢献したい」といった具体性のある表現が効果的です。

また文章全体を通じて意識すべきは、「もらう姿勢」ではなく「与える姿勢」です。「学ばせていただきたい」「成長させていただきたい」という受け身の表現ばかりでは、採用側に「教育コストがかかる人材」という印象を与えてしまいます。「自分のスキルをどう活かして貢献できるか」という視点を前面に出すことが、特に中途採用では重要になります。

■経験別の志望動機の書き方とそれぞれのポイント

税理士法人への転職者の背景は実に多様です。ここでは主要な5つのパターンについて、それぞれ効果的な志望動機の書き方を解説します。

(1)税理士資格保有者の場合

すでに税理士資格を持っている場合、志望動機のポイントは「なぜ今の環境から移るのか」と「なぜその法人を選んだのか」の二点を説得力をもって語ることです。

前向きな転職理由を述べることが重要で、現在の職場への不満を前面に出すのは避けるべきです。たとえば「個人事務所では対応が難しい大規模案件や専門性の高い案件に携わりたい」「チーム体制で多様な知見を共有しながら成長したい」といった、キャリアアップを志向する姿勢を示すことが効果的です。

【例文】
「承継・再編の実務機会を広げたく、貴法人を志望します。地域事務所で年間40件を担当。 初年度は既存フローを順守し、法人・資産税の補助を遅延ゼロで運用。 2年目以降は承継PJで 提案書作成〜実行支援 まで対応範囲を拡張し、横断的に貢献します。」

(2)税理士科目合格者の場合

科目合格者の志望動機では、資格取得への道筋と実務能力の両方をバランスよくアピールすることが重要です。

資格取得に対する具体的な計画を示すことで、計画性と本気度を伝えられます。同時に、すでに持っている実務スキルが即戦力として評価されるよう、具体的な業務経験を詳しく述べる必要があります。

【例文】
4科目合格(簿・財・法・消)、法人税法受験予定です。製造業経理で決算、税効果や監査対応に従事。入社直後は法人・消費税の申告補助、年末・法定調書から遅延なく対応し、製造業顧客で件数を積み上げます。 学習は平日21–23時、繁忙期は早朝へ切替えて継続します。

(3)会計事務所経験者の場合

すでに会計事務所での実務経験がある場合、なぜ転職するのかという理由が最も問われます。キャリアアップや専門性の向上を志向する前向きな理由を中心に構成しましょう。

【例文】
「個人・法人合わせて年間60件を担当。足元は月次〜年次、年末・法定調書・償却資産まで一人称で完遂。 2年目以降は資産税で評価資料作成〜遺産承継支援へ守備範囲を拡張し、レビュー基準に沿って品質を高めます。」

(4)経理職からの転職の場合

企業の経理部門から税理士法人への転職は、実は高く評価される経歴です。企業側の視点を理解している点が、クライアント対応で大きな強みとなるからです。

【例文】
「IT企業で決算統括・監査対応・税務申告補助を経験しました。初年度はIT/ベンチャー顧客の月次・消費税・年末を遅延ゼロで運用。 KPI連動の月次報告テンプレを整備し意思決定を早めます。中期はSaaS特有の税務論点を標準化し、所内ナレッジに落とし込みます。」

(5)完全未経験者の場合

税務経験がまったくない場合でも、志望動機次第で十分に評価される可能性があります。重要なのは、なぜ税理士という職業を選んだのかという動機の明確さと、学習意欲の高さを示すことです。

【例文】
「営業で年間100社対応。最初はまかされた業務から始め、6か月で法人・消費税の申告補助ができるまでに成長したいです。 初動スピードと約束厳守で顧客対応の信頼を獲得し、試験勉強は早朝学習で継続します。」

■こんな志望動機は評価されない:よくある失敗パターンと改善策

多くの応募者が陥りがちな志望動機の失敗パターンがいくつかあります。これらを理解し、避けることで、志望動機の質を大きく高められます。

(1)「福利厚生や労働環境だけを志望理由にする」パターン

最も多い失敗が、「福利厚生や労働環境だけを志望理由にする」パターンです。

たとえば「研修制度が充実しているから」「ワークライフバランスが取れそうだから」「大手で安定しているから」といった理由だけでは、採用担当者に「どこでもいいのでは」という印象を与えてしまいます。

改善策としては、 こうした条件面への言及は最小限に留め、その法人の業務内容や専門性、理念への共感を中心に据えること です。仮に研修制度に魅力を感じたのであれば、「貴法人の体系的な研修制度で学びながら、3年以内に国際税務の専門家として独り立ちし、海外進出を考えている中小企業のサポートに貢献したい」というように、学んだ先の貢献まで言及することで説得力が生まれます。

(2)「抽象的で具体性に欠ける志望動機」のパターン

次に多いのが、「抽象的で具体性に欠ける志望動機」です。「税理士として成長したい」「専門性を高めたい」「社会に貢献したい」といった一般論だけでは、あなたの個性が全く伝わりません。

改善策は、 必ず自分の具体的な経験やエピソードを織り込むこと です。たとえば「前職で担当していた企業が税務リスクで経営危機に陥った経験から、正確な税務アドバイスの重要性を痛感した」といった具体的なストーリーがあれば、志望動機に真実味と深みが生まれます。

(3)「ネガティブな転職理由を述べてしまう」パターン

三つ目の失敗パターンは、「ネガティブな転職理由を述べてしまう」ことです。「現在の職場の人間関係が悪い」「残業が多すぎる」「給与が低い」といった不満を志望動機に含めると、採用担当者は「うちに来ても同じ理由で辞めるのでは」と警戒します。

改善策としては、 どんな状況であっても、前向きな表現に言い換えること です。残業の多さが転職理由であれば、「効率的な業務体制の中で、より専門性の高い業務に集中できる環境を求めている」と表現できます。人間関係の問題であれば、「チーム体制で多様な専門家と協働しながら成長できる環境に魅力を感じた」と言い換えられます。

(4)「志望する法人の特徴を理解していない志望動機」のパターン

四つ目の失敗は、「志望する法人の特徴を理解していない志望動機」です。どの税理士法人にも当てはまるような内容では、「この人はリサーチをしていない」と判断され、本気度を疑われます。

改善策は、 その法人ならではの特徴を必ず盛り込むこと です。たとえば「貴法人が強みとしている医療業界への税務サービスに魅力を感じた。私自身、医療系企業での経理経験があり、医療業界特有の会計処理や診療報酬制度への理解があるため、即戦力として貢献できる」といった、その法人の専門分野と自分の経験を結びつける表現が効果的です。

■面接ではどのように志望動機を伝えるべきか

書類選考を通過したら、次は面接です。履歴書に書いた志望動機を、面接ではどう伝えるかによって、採用の可否が決まります。

(1)より対話的に感情を込めて語る

面接での志望動機は、履歴書の内容をそのまま読み上げるのではなく、より対話的に、感情を込めて語ることが重要です。面接官の目を見て、自分の言葉で、なぜこの法人で働きたいのかという思いを伝えましょう。

効果的な話し方の構造は、「結論→エピソード→未来像」という流れ です。
最初に「貴法人を志望する最大の理由は〜です」と結論から入り、次に「実はこういう経験がありまして」と具体的なストーリーを語り、最後に「だからこそ貴法人で〜を実現したいのです」と未来像で締めくくります。

(2)追加のエピソードや考えを用意しておく

面接で特に意識すべきは、一方的に話すのではなく、面接官との対話を心がけることです。志望動機を話した後、「この点について、もう少し詳しくお聞かせいただけますか」といった質問が来たら、それは面接官が興味を持っている証拠です。焦らず丁寧に、追加のエピソードや考えを述べましょう。

また面接では、 履歴書には書ききれなかった補足情報を加えることも効果的 です。たとえば「履歴書には書ききれなかったのですが、実は貴法人の〇〇先生が執筆された書籍を読んで、その考え方に深く共感したことも志望のきっかけとなりました」といった情報は、面接ならではの深みを与えてくれます。

(3)よく聞かれる質問に対しては準備しておく

面接でよく聞かれる質問に対する準備も欠かせません。「なぜ他の法人ではなく当法人なのか」という質問には、その法人の具体的な特徴を3つ程度挙げて説明できるよう準備しておきましょう。「5年後、10年後のキャリアビジョンは」という質問には、その法人で実現したい具体的な姿を語れるようにしておくことが重要です。

(4)逆質問も考えておく

また「当法人について何か質問はありますか」と逆質問の機会を与えられた時も、志望動機をさらに印象づけるチャンスです。「貴法人の〇〇という取り組みについて、具体的にどのように進められているのかお聞かせいただけますか」といった、その法人への関心の高さを示す質問をすることで、本気度が伝わります。

■転職エージェントをどう活用して志望動機を磨き上げるか

税理士法人への転職を考える際、転職エージェントの活用は非常に有効です。特に 会計・税務に特化したエージェントは、税理士業界の動向や各法人の内部事情に精通しており、志望動機のブラッシュアップにおいても貴重なアドバイスを提供してくれます。

(1)エージェント最大のメリットとは

エージェントの最大のメリットは、 その法人が実際にどのような人材を求めているかという生の情報を持っていること です。公開求人票には書かれていない、採用担当者が重視しているポイントや、過去に採用された人材の共通点などを教えてもらえるため、それに合わせて志望動機をカスタマイズできます。

たとえばある法人が「コミュニケーション能力を特に重視している」という情報を得られれば、志望動機の中でクライアント対応のエピソードを厚く書くべきだと判断できます。また「最近、若手の離職が続いているため、長期的に働く意思のある人材を求めている」という内部事情を知れば、志望動機に「長期的なキャリアビジョン」をより強調すべきだとわかります。

(2)エージェントとの面談

エージェントとの面談では、自分が作成した志望動機の下書きを持参し、添削を依頼することをお勧めします。ジャスネットをはじめ多くのエージェントは、税理士業界での採用経験や、複数の応募者の志望動機を見てきた経験があるため、「この表現は採用担当者に響きにくい」「ここをもっと具体的に書いた方がいい」といった実践的なアドバイスをしてくれます。

(3)エージェントとの面接対策

また面接対策においても、エージェントは強力なサポーターとなります。 模擬面接を実施してくれるエージェントも多く、志望動機を実際に口頭で説明する練習ができます。 面接官役のエージェントから「この部分の説明が分かりにくい」「もっと熱意を込めて話した方がいい」といったフィードバックを受けることで、本番での話し方を改善できます。

(4)複数の税理士法人を比較検討できる

さらにエージェントは、複数の税理士法人を紹介してくれるため、比較検討の材料が豊富に得られます。それぞれの法人の特徴を理解することで、「なぜこの法人を選んだのか」という志望動機の核心部分がより明確になります。A法人とB法人を比較した結果、B法人の方が自分のキャリアビジョンに合っていると判断したのであれば、その理由を志望動機に反映させることで、説得力が格段に増します。

ただしエージェント任せにしてはいけません。エージェントはあくまでサポート役であり、志望動機の主体はあなた自身です。エージェントのアドバイスを参考にしながらも、最終的には自分の言葉で、自分の思いを表現することが重要です。テンプレート的な志望動機は、経験豊富な採用担当者にはすぐに見抜かれてしまいます。

■まとめ:あなただけの説得力ある志望動機を完成させるために

税理士法人への転職において、志望動機は単なる形式的な書類ではなく、あなたの人生観やキャリアビジョン、そして熱意を伝える重要なツールです。本記事で解説してきた内容を踏まえ、最後に志望動機作成のエッセンスをまとめます。

効果的な志望動機の核心は、「その法人でなければならない理由」を明確に示すことです。税理士法人ならどこでも良いという印象を与える志望動機では、採用担当者の心を動かすことはできません。応募先の法人が持つ独自の強み、専門分野、企業文化を深く理解し、それが自分のキャリアビジョンやスキルとどう結びつくのかを、具体的なエピソードとともに語ることが重要です。

また志望動機は、一度書いたら終わりではありません。応募先の法人について新たな情報を得たら、それを反映させて更新する。面接の準備をしながら、より効果的な表現を見つけたら修正する。このような継続的なブラッシュアップが、説得力のある志望動機を生み出します。

転職は人生の大きな転機です。税理士法人という専門性の高い職場への転職を成功させるためには、周到な準備と明確な動機が必要です。本記事で紹介した方法を実践し、採用担当者の心に響く志望動機を完成させることで、新たなキャリアの扉を開いてください。あなたの転職活動が実り多いものとなることを心から願っています。

経理・会計専門の転職エージェント「ジャスネット」に転職相談

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執筆者プロフィール

ジャスネットキャリア編集部

WEBサイト『ジャスネットキャリア』に掲載する記事制作を行う。
会計士、税理士、経理パーソンを対象とした、コラム系読み物、転職事例、転職QAの制作など。

編集部メンバーは企業での経理経験者で構成され、「経理・会計分野で働く方々のキャリアに寄り添う」をテーマにしたコンテンツ作りを心がけていてる。

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