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転職のミスマッチ回避!
税理士(会計事務所経験者) が一般企業の経理部に転職する際のメリット、デメリット3選

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ジャスネットコミュニケーションズ株式会社 エグゼクティブエージェント
税理士 山中 宏

税理士を目指して勉強している科目合格者の方、また税理士資格をお持ちの方が勤務先として選ぶのは、やはり会計事務所が多いと思います。

しかし、転職先として「一般企業の経理部」という選択肢もあることをご存じでしょうか。

ここでは実際に大手上場企業の経理部で働いた後、現在は税理士事務所を開業していらっしゃる山中宏先生にお話をお伺いいたしました。業務内容の違いや、メリット・デメリットについても教えていただきましたので、ぜひ参考にしてください。

目次

■ 会計事務所と一般企業経理部の違い3つ

■ 会計事務所から経理部に転職する“3つのメリット”

■ 会計事務所から経理部に転職する“3つのデメリット”

■ まとめ

■ 会計事務所と一般企業経理部の違い3つ

(1)会計事務所と一般企業経理部で必要とされる知識の違い

① 求められる知識が違う

税理士試験のための勉強や会計事務所での業務は、主に税法(特に所得税、法人税など)に特化しています。一方で一般企業の経理部に必要なのは、税法では法人税が中心です。それに加えて「財務会計」「管理会計」「企業会計基準」「内部統制」などについても幅広い知識が必要とされます

会計事務所での業務は税務申告業務やそれに関わる手続きが中心になっていますが、一般企業の経理部の業務では深い商流とそれに関係する会計と税務の知識が中心、というのが大きな違いになります。

② 一般企業で着目されるのは「売上と利益」

さらに実際に一般企業で働いてみると分かるのですが、経営者が最も重視しているのは株価、および利益が〇%アップしたという部分です。

様々な企業の税務申告を担当し、少しでもクライアントのために納税額を少なくできないかという視点で仕事をしている会計事務所とは、着目している部分が大きく違うということを理解しましょう。

一般企業では「売上と利益」が重要視されており、納税額はその結果計算されるものという認識です。

(2)会計事務所と一般企業経理部の業務の違い

① 会計事務所の業務は「こつこつ一人で業務」が多い

税理士試験の勉強をした方ならお分かりになると思うのですが、その内容は理論や申告の知識が中心になっています。

また会計事務所での主な業務というのは、法人税や所得税の申告、まれに相続税の申告、それに伴う書類作成などでしょうか。業務は一人で担当し、こつこつと正確に数字を積み上げていくことが多いと思います。

② 企業経理部の業務は調整業務が多い

一方、一般企業の経理部で行う業務は、実際の数字管理です。

わたしのいた部門 では、来期の予測を出すために各部署の予測を立て、到達しない場合には修正を加えるなどして、数字を積み重ねていました。この作業が非常に重要になってきますので、取引先や社内各部署との調整業務がメインだといっても過言ではないかもしれません。そのため、非常に高いコミュニケーション能力が必要とされます。

③ 企業経理部で必要とされる

わたしが経験した一例をあげます。

海外の移転価格税制において実際に会社の窓口となるのは海外営業の方なのですが、税に関することなので「経理の仕事ではないの?」と言われてしまったりすることもあります。

しかし現地の国税局とのやり取り、現場の細かい内容などを知っているのは海外営業の方なので、こちらとしては窓口になっていただかないと困る…という場合もあるでしょう。気持ちよく仕事を進めてもらうためにうまく折衝するのが、経理部になります。

数字に関することですから、もちろん細々と正確に要求を通しつつ、相手からも信頼されるような関係性を社内で作る能力が求められていました。

(3)会計事務所と一般企業経理部のスキルの違い

会計事務所の業務では、正確に黙々と資料などを処理していくスキルが必要とされます。

一般企業の経理部では前述したコミュニケーション能力に加え、ITスキル(Excel、社内で使用している会計ソフトなど)が必要です。大きい会社ではERP(会社全体を取りまとめている会計システム)などの知識も求められるかもしれません。

非常に日本的だと思いますが、わたしのいた経理部では、社内で承認を取るための資料作りにもかなり時間がかかりました。最終的に承認した方が責任を取るようになっているため詳細に質問されることもあり、作りこむためのパソコンスキルも必須でした。

■ 会計事務所から経理部に転職する“3つのメリット”

(1)実務経験が得られる

わたしの場合、一般企業の経理部では財務諸表を実務ベースで作成するスキルを得ることができました

(2)キャリアの選択肢が広がる

会計事務所で働いている場合だと、将来的には独立するか、別の会計事務所に転職するか、といった選択が多いのではないでしょうか。

しかし一般企業での経理経験があれば、将来的に会社内で管理職になることやCFOなどへのキャリアアップも視野に入ります

(3)安定した職場環境を得られる

規模が大きい企業の場合、比較的ホワイトな職場が多く、給与や生活の安定が得られると思います。福利厚生が充実しているのも魅力です。

■ 会計事務所から経理部に転職する“3つのデメリット”

(1)さらなる猛勉強が必要

税理士試験で学んだ知識は基礎に過ぎず、企業会計基準や内部統制、業務フローを新たに学ぶ必要があります。そのために夜や土日にも実務の勉強が必要でした。

休日に税理士試験の勉強をしに行った自習室で、上場企業にしか適応されない会計基準を、気がつけば一日勉強していたなんてこともありました。

(2)高いコミュニケーション能力が求められる

部署間調整や取引先対応など、対人スキルが非常に重要になります。税理士試験勉強の知識だけでは解決できない実務的な課題が多かったです。

実際に問題が起こった際は、それまでの事例を勉強したり、先輩にお願いしたり、企業を担当している税理士法人の方に教えていただいたりなど、周りに頼りながら解決する必要がありました。

(3)地味な作業も多い

税理士試験で勉強したことは、もちろん武器になります。しかし、経理部内で必ずしも税務の仕事につくとは限りません。初期業務として固定資産管理、原価計算、予実算管理などのルーチン作業が中心になる場合もあります。

大きな企業になるほど経理部の業務も細分化されているため、自分が希望する業務を担当できるかどうかはわからないと思っていた方がいいと思います。

■ まとめ

会計事務所から一般企業の経理部へ転職を検討する際には、ここまで述べたポイントを踏まえ、業務内容や求められるスキルの違いを理解し、自分のキャリアプランに合致しているかを慎重に判断することが重要です。

転職をお考えのみなさんの参考になれば幸いです。

執筆者プロフィール

山中 宏(やまなか ひろし)
税理士/山中宏税理士事務所

1995年中小企業診断士取得、2014年税理士登録、2020年ウェブ解析士取得。2021年6月山中宏税理士・中小企業診断士事務所開業。

会計事務所、大手自動車メーカー他実務経験が豊富。管理職経験が長く会社間や人とのコミュニケーション能力が高い。

現在では税理士として決算、税務相談、確定申告を行うだけでなく、中小企業診断士・ウェブ解析士として実地のコンサルティング、ウェブ集客・SNS集客を通して売上拡大、集客拡大の支援を行う。

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山中宏税理士・診断士事務所

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