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会計事務所スタッフが転職を考えるべき「よいタイミング」とは?
~その理由・目的・主な転職先を解説

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2025年12月25日 ジャスネットキャリア編集部

いざ踏み込んだ税務会計の世界。会計事務所や税理士法人といった職場で一通りの業務を経験した「あなた」は、日々の仕事の先に将来を見据えるようになっていくでしょう。「もしかして、今が転職のタイミング?」将来を真剣に考えるからこそ、そんな風に感じる瞬間が来るかもしれません。

その一方で、慣れ親しんだ職場や環境から飛び出ていくことは不安も伴うものです。他の人たちは、どんなタイミングで転職を決意するのか。その時、どんな条件や環境を転職先に望むのか。そして、転職先それぞれの特徴は?その実態について、税務会計業界の就職・転職支援に20年以上携わってきた、エージェントがお応えします。

目次

■ 税務会計の業界で、転職をするタイミングとは?

自分に任された仕事の内容や量、それを期日通りに仕上げるためのペース。守らなくてはならないルールやフロー。上司や同僚との人間関係など。日々の積み重ねから得られた環境や安心・安定は、それ自体が一つの財産になるでしょう。それでも、転職による環境の変化を求めるとき、そこにはどんな機会やタイミングがあるのでしょうか。

(1)一定の業務経験を得て、レベルアップをしたいと感じたとき

◆所内における補助業務全般を経験し、ひとりで対応できるようになった
(しかし、お客様担当の業務は資格者しか任せてもらえない…)
→担当を持って、お客様の相談相手としてキャリアを伸ばしたい!

◆担当として、年間を通じてお客様対応することができた
(毎月毎年の、業務ルーティンができてしまっている…)
→もっと違う業種・大きな規模の顧問先も担当してみたい!

◆税理士試験の勉強などを通じて、税法の知識を増やせた
(せっかく勉強した知識を、生かせる場面に出会えない…)
→付加価値や専門性の高い業務に挑戦する機会がほしい!

経験した業務を踏まえ、いっそう活躍の場を広げたい。こうした前向きな意欲が原動力となっており、採用サイドからも好意的にみられることが多いです。 職場を変えることでしか、仕事内容を変えがたい…。そう感じたときに、手段として転職が選ばれています。

(2)資格勉強との両立に困難を感じたとき

本気で税務会計の世界で働き続け、将来のキャリアを考えるからこそ税理士資格の取得を目指す。そう考える方も少なくありません。この場合、 現在の職場で「仕事と勉強の両立」が可能か が、転職の一要因となりえます。

IT化やAI導入が進む税務会計業界でも、業務の効率化とそれに伴う残業の削減は進んでいます。しかし、確定申告や決算期などの繁忙期が解消されていないと、その時期の勉強時間の捻出が困難になるケースも。また周囲の先輩や上司が後輩・同僚の資格取得に、協力的かどうかも転職のきっかけとなることがあるようです。

(3)職場の将来性に不安を感じたとき

◆顧問先が減り続け、新規顧問先が増えない
◆所内の高齢化が進み、法人化などの対策も見られない
◆IT化などの対策が進まず、業務の効率化が進まない
◆所内の人間関係が良くなく、連携や協力ができない
◆評価基準が明確でなく、給与や待遇が良くならない

こうした 不安や疑問、不満が蓄積する ことで転職を決意する方も少なくありません。組織の今現在はもちろん、将来に向けた明るい展望が見えないと、そこで働き続けることへの不安が高まり、転職というアクションが生まれやすくなります。

(4)自身のキャリアビジョンを変えたいと考えたとき

例えば、会計事務所でさまざまな企業を見る働き方から、 一社に所属して深くその会社に関わる働き方へシフトする 方もいるでしょう。よりコンサルティングや提案型の業務に挑戦する方。相続など専門性の高い業務に集中したいと考える方。逆に大手から、より経営者を身近に感じて支援できる中小・中堅事務所へ転職する方、など。

今の職場とは違うキャリアビジョンを実現できる職場を探し、移るという選択肢です。

転職先に何を望む?転職の目的を明確にする!

「転職のタイミング」とは即ち「転職の理由」であり、「転職の目的」につながります。 なぜ、自分は転職をするのか。転職を通じて、何を実現したいのか。ここがズレたまま転職活動を進めてしまうと、「転職先でまた転職を考える」…といったことになりがちです。転職先に望むことを、まずは明確にしましょう。

(1)長く、満足度高く働ける制度や環境

例えば 「残業が少ない」「有休を取得しやすい」「在宅勤務制度や短時間正社員制度が整備されている」「各種制度や退職金制度など福利厚生が充実」 など。ワークライフバランスや就業環境の良さを求めることで、「長く安心して働けるワークライフ」を手に入れることができるでしょう。

就業環境に高い満足度が得られることで、長い目で自身のキャリアビジョンを描くことにもつながり、落ち着いてキャリアアップを目指すことが可能です。

(2)理想とする成長を実現できる仕事内容

例えば成長企業が多い職場であれば、顧問先の成長に応じて期待される専門サービスも変化。 顧問先の成長と連動するように、スタッフ自身も専門性を高めていく機会に恵まれやすくなります。 また、規模の大きな企業や歴史ある老舗が顧問先にあれば、将来の承継や大きな展開に向けて専門家として支援できる場面も出てくるでしょう。

ルーティン業務を土台として、その先にある「顧問先の課題解決」に力を発揮できる仕事。そんな業務に挑戦することで、「作業者」ではなく「専門家」としてキャリアを築いていくことができるでしょう。

(3)安心して働ける人間関係や評価体制

共に働く代表や上司、同僚との人間関係は職場の基本です。毎日のことだからこそ、 気軽に相談しあったり、協力し合える関係が築けるかどうかは大切 になってくるでしょう。

また、自身の頑張りや成果を正当に評価し、給与や待遇で還元される環境は魅力的なものです。業務量に見合った給与が支払われ、挑戦や成果が手当やインセンティブという形で支給されればモチベーションも高まるものです。マネジメント職への昇進や独立開業など、中長期的な視野に立ってキャリアを考える方にとっても、魅力的に映るでしょう。

主な転職先ごとの特徴

これまでに培ってきた業務経験や知識、スキル。それらを生かす「次の場所」として、どんな選択肢があるのでしょうか。ここでは、一般的な会計事務所や税理士法人で勤務された方が選ぶ、代表的な転職先について特徴をお伝えします。

(1)提案型事務所

IT化やAI化が進む税務会計業界において、最も注目度が高い事務所の在り方と言えるかもしれません。企業が日々の経営を続ける中で、経営者は多くの課題に直面します。その最も近い相談相手として選ばれることが多いのが税理士ですが、提案型事務所では特にこの 「課題解決支援」に力を入れています

顧問担当者として日常の数値を把握し、コミュニケーションを通じて企業や経営者の考えを理解する。その上で、時には「経営者がまだ気づいていない課題」まで察知し、その課題解決に役立つ選択肢や制度、知識を提案・提供する働き方が可能です。税法や各種制度、国の施策など広く学ぶ必要が出てきますが、経営者のパートナーとして活躍の場をどこまでも広げることができるでしょう。

(2)専門特化型事務所

特定の業務やサービスに強みを持った事務所のことを指します。例えば、 医療分野や飲食業、不動産業など「特定の業種に特化」した事務所。あるいは相続や事業承継、国際税務にスタートアップ支援など「特定のサービスに特化」した事務所など があります。

専門特化することで、その分野に関するケーススタディにも広く精通し、専門性を深めながら働けるのが特徴。また顧問先のニーズへ深く応えることができるようになるため、高単価の案件が増えることも多いです。特定分野に知識やスキルを高め、プロフェッショナルとして働きたい方に適した職場と言えるでしょう。

3)事業会社

ひとつの企業の一員として、内部に入って自社のために尽くす。さまざまな企業を担当する会計事務所とは、また異なる業務になります。より経営に近いポジションで頼りにされることが増え、税務リスクの回避や税務と経営をリンクさせた意見が求められることも。 社内で頼りにされながら働き、実績を挙げることで上のポジションを目指すことも可能 です。

また、一般的に事業会社は給与や待遇、働きやすさの面でも会計事務所に比べて制度や体制が整備されていることが多いようです。安定性・成長性に富んだ企業に勤めることで、長く安心して働き続けることもできるでしょう。

まとめ

転職は新しい職場や人、仕事との出会いを生み出し、今とはまったく異なる可能性を広げてくれる機会となり得ます。しかし同時に、慣れ親しんだ環境から離れ、意図しなかった環境に放り込まれてしまうリスクもゼロではありません。そのリスクを最大限減らすためにも、「今が転職のタイミングとして適しているのか」「転職という機会に、自分が何を求めているのか」をしっかりと理解することが肝要です。

またタイミングの面で言えば、周囲の同僚に迷惑をかけない時期の見定めも欠かせないでしょう。繁忙期の真っただ中や、繁忙期直前に突然の退職を宣言することは、好意的には受け取られないはずです。仕事を通じて、どこで自らの評判がどのように巡っていくかはわからないもの。立つ鳥跡を濁さずのマインドで、周囲から理解され、応援されるような転職タイミングを見定めたいものです。

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執筆者プロフィール

ジャスネットキャリア編集部

WEBサイト『ジャスネットキャリア』に掲載する記事制作を行う。
会計士、税理士、経理パーソンを対象とした、コラム系読み物、転職事例、転職QAの制作など。

編集部メンバーは企業での経理経験者で構成され、「経理・会計分野で働く方々のキャリアに寄り添う」をテーマにしたコンテンツ作りを心がけていてる。

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