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税理士資格取得を諦めたあとは?試験撤退後の最適なキャリアとは

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簿記講師 鯖江悠平

難関資格のため合格まで長期化する場合もある税理士試験。どうしても試験に合格することができず、志半ばで諦める方も実際には多くいらっしゃいます。

しかし資格が取得できなくとも、それまでの勉強で得た知識は決して無駄にはなりません。

ここでは長年、会計専門学校で簿記講師を務める鯖江悠平先生に「税理士試験を諦めた場合のその後のキャリアについて」お話をお伺いしました。

どうしても合格できないとお悩みの方、その努力は必ずプラスになりますので、ぜひ参考になさってください

目次

■ 税理士試験を諦める場合の目安

■ 税理士試験を諦めても残る3つのもの

■ 税理士試験を諦めた場合のキャリア戦略

■ 税理士試験撤退後の転職面接での受け答え

■ 税理士試験を諦める場合の目安

(1)なぜ税理士になりたいのか?

わたし自身は、税理士の資格取得を諦めるというより、勉強をはじめる前に必ずあったはずの「そもそもなぜ税理士資格を取得したいのか」に今一度、立ち返ることが必要ではないかと思っています。

正直なところ、独立開業したいという目標がないのであれば、税理士資格は必ずしも必要ではありません。しかし最終的に自分の事務所を開業したいと思っているのであれば税理士資格は必須となります。そのためには、何年かかろうとも税理士試験に挑戦し続けるべきだと思います。

わたしの知人ですが、法人税法や相続税法の試験を10年近く受験し続けて合格したという人も数名います。あきらめずに受験を続ければ、いつか受かる可能性は十分にあります。

また、会計事務所で働きながら受験を続けている場合には、実務経験が大きなプラスとなり、合格へつながることもあります。なので、いつ諦めればいいかというタイミングは、一概には言えません

やはり取得する目的を、今一度、明確にする必要があるかと思います。

(2)税理士試験への適性があるかどうかの見極めのポイント

とはいっても、最初からまったく税理士試験への適性がない場合は、早めに切り上げた方がよいのは確かです。

わたしの知る限りでは、社会人になってから勉強を始め、すべての税理士試験科目に合格した方は、会計科目(簿記論・財務諸表論)に関しては受験初年度、または翌年には合格していました。

もし2度の受験に挑戦し、必須である会計科目のどちらにも合格できない場合は、改めて適性を考え直すタイミングではないでしょうか。

■ 税理士試験を諦めても残る3つのもの

(1)受かった税理士試験科目

まずは、1つは税理士試験は科目合格制なので、一度受かった科目は生涯有効となります。

(2)税理士試験科目の学習を通じて得た知識

また税理士資格の取得を途中で諦めたとしても、「これまで学習して得た知識」は必ず実務で役に立ちます。これが2つめです。

しかし、ここで重要なのは、合格することだけ(学習ボリュームが比較的少ない科目)を考えた科目選択なのか、あるいは実務を意識した科目選択なのかによって実務での需要が異なるということです。

そのため、特に税法科目ではどの科目を選択して学習するかが非常に重要だと思っています。

(3)転職活動の際にアピールになる

3つめとして、1科目でも合格していれば、それにより転職活動で評価の対象になるということです。合格している科目に関しては、面接で自信を持ってアピールすることもできるでしょう。

これにプラスして試験勉強に充てていた時間などがなくなるので、時間的・精神的余裕も得ることができます。

■ 税理士試験を諦めた場合のキャリア戦略

会計事務所、一般企業、どちらに就職するにせよ、学習して得た知識をどう生かすかを考えなくてはいけません。

そういう意味で前述のとおり、科目選択を行う際に、どのようなキャリア戦略を描いているのかを考え、学習計画を組むことが必要だと思います。もちろん、科目選択時に描いていたキャリアと異なっていても、学習して得た知識を糧に考え直すことができるので、問題ありません。

科目選択と直結している業務は次のように考えられます。

日常業務において、企業の経理部門であれば、法人税法、消費税法の知識を使うことができます。会計事務所であれば主に法人税法、所得税法、消費税法、相続税法などの知識を使うことができます。

以下に今後のキャリアとして可能性があるものを紹介いたします。

(1)一般事業会社の経理部門

一般事業会社の経理では、日商簿記2級レベルの知識があれば評価されます。

もし簿記論・財務諸表論の会計2科目に合格していれば、さらに専門性があると高い評価を得ることができるでしょう。しかし、企業規模によってはオーバースペックとされる場合もあるかもしれません。

(2)会計事務所

会計事務所には、ある分野に特化した専門性の高い事務所もあるため、学習した科目によっては重宝されます。また、会計事務所で働く場合であっても、必ずしも税理士を目指している人ばかりではありません。ただし、科目合格しているかどうかなどが給料の差として現れている場合が多いようです。

(3)簿記資格学校の講師など

勉強を通して得られた知識を活かすために、簿記資格学校の講師になるという選択肢もあります。自分が勉強してきた経験からどのような部分でつまずきやすいのか、また受験生の気持ちなども分かると思いますので、生徒に寄り添った講義や資料作成を行うことができるのではないでしょうか。

(4)経理・会計に特化した転職エージェント

税務、会計の知識があることで、経理・会計分野に特化した転職エージェントのような全く違う職種への可能性もあります。

業界のことや会計の専門的な知識があってこそ、転職希望者の希望を汲んだ転職の提案ができます。税理士試験の勉強経験があり、会計事務所での業務経験のある方は、それだけで大きなアドバンテージです。興味のある方は検討してみてもよいかもしれません。

上記に挙げたキャリア以外にも様々な活かし方はあります。ご自身に合ったキャリア選択を考えてください。

■ 税理士試験撤退後の転職面接での受け答え

もし税理士試験を諦めることになっても、それまでの学習は無駄にはならず、あなたにとってプラスになることがご理解いただけましたでしょうか。

(1)転職活動の際に撤退の理由は聞かれる?

さらに転職活動をする際には「どうして学習を諦めたのですか?」「今後は試験を受けないのでしょうか?」といった質問もされることが想定されます。

そうした時に「試験に合格できないので、就職しようと思いました」というような後ろ向きな回答をするのではなく、自分が学習して得たものに自信を持ち、それを前向きにアピールした方がよいでしょう。

(2)撤退したことをプラスに転換する回答例

「勉強をしたことで〇〇のような知識が身につき、それを活かせる職場で働きたいと思いました」

「学習して得た知識を活かして御社で××のような貢献をしたいと思っています」

このように前向きな回答をすれば、あなたの知識や勉強時間が相手にも評価されるのではないでしょうか。

最初から試験を諦めようと思って勉強を始める方はいません。

しかし次のステップに進もうと決意した場合は、ぜひ今までの経験を無駄にはしないように前向きな気持ちでキャリア戦略を描き、試験へ向けた日々を上手にアピールして欲しいと思います。

執筆者プロフィール

鯖江 悠平(さばえ ゆうへい)
簿記講師

簿記専門学校卒業後、専門学校の簿記会計講師を担当。

これまで簿記会計の授業だけではなく、テキストや問題集等の教材開発、学生の就職相談や卒業生の転職相談など幅広く業務に携わっている。

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