2017年10月11日
金融とIT技術が融合した「フィンテック」のサービスの一つとして、ビットコイン等の技術による仮想通貨の注目が高まり、今や経済全体に影響を与える存在になっています。一方、急激に拡大する仮想通貨市場に、会計・税務の対応も急務となっており、会計専門家もスキルの習得を迫られています。
仮想通貨は、ポイントカードのような副次的なサービスではなく、またネットゲーム内の通貨のように、用途がシステム内に限られるものでもなく、あらゆる商品サービスへの決済手段として使われつつあります。また、各国通貨と同様、投資対象としての注目も高まり、取引所で盛んに売買されるようになりました。
しかし、最近ビットコイン運営会社の破たんが問題になったことは記憶に新しいところ。マネーロンダリングへの利用の懸念などもあると指摘されています。中央銀行等、通貨の管理者を持たない通貨として機能しているだけに、仮想通貨の法的な位置づけを明確にし、利用者を保護する法令などの整備が急務となっている状況です。
金融庁は、ビットコイン等仮想通貨の適正な市場構築のため、資金決済法を改正。改正法は、仮想通貨取引所の開設を登録制にするほか、監査法人監査を義務付けることが柱となっています。
決済手段として存在感が高まれば、会計基準の議論も必須。企業会計基準委員会(ASBJ)は4月、仮想通貨を「支払い手段」とすることを前提に、会計上の取り扱いを検討するよう提言、審議を進めています。また、平成29年度税制改正では、ビットコインを購入した際の消費税の扱いについて、非課税取引とするなどの改正を行っています。これも、支払い手段としての仮想通貨の実情に合わせた改正といえるでしょう。
上で紹介した仮想通貨に関する制度整備は、すべて会計士業務にかかわることといってよいでしょう。今後、確実に会計士が仮想通貨に触れる機会は増えていくと考えられます。
まず仮想通貨運営会社の監査は、いうまでもなく会計士がかかわる部分。そして、あらゆる商品・サービスの決済手段として仮想通貨が広がれば、企業の決済・会計システムで対応が必要となり、決済・会計システムコンサルティングへの需要が高まり、税務での対応も必要になります。仮想通貨の健全な市場創出は、とりもなおさず会計士業務の創出でもあるのです。