2015年11月12日
2015年1月に実施された平成26年度の公認会計士修了考査。合格者の方は、晴れて公認会計士としての第一歩を踏み出すことになります。今回は、新会計士の皆様、これから試験にチャレンジする皆様に向け、修了考査の結果や求人の状況から、会計士業界が現在どのような状況にあるのか、ということについて取り上げてみたいと思います。
平成26年度修了考査の合格者は1,438名。受験願書提出者は2,201名で、受験者は2,030名。合格率は、対願書提出者で65.3%、対受験者で70.8%となりました。前年の平成25年度の合格者は1,528名、願書提出者は2,468名、受験者は2,262名とそれぞれ減少しています。
一時、試験制度の変更によって大きく増えた受験者・合格者は、平成23年度をピークに減少しています。学生が受験することの多い資格だけに、「ブーム」が落ち着いた後の減少は、少子化による自然減といえ、この傾向は今後も続くことが予想されます。
試験制度の変更による会計士の増加は、人材市場に大きく影響したことがよく知られています。合格者の急増により、新人会計士の監査法人をはじめとした就職市場での苦境、またその影響は長く続いたのは事実です。
しかし、最近の景気回復傾向により、監査法人の求人数は増加。会計士の減少傾向が明らかになってきたことで、一転人材獲得競争が激化しています。
また、一時の会計士増加は、会計士の人材市場に意外な副産物を生みました。それは、それまで会計士有資格者の採用を現実的なものとして考えていなかった一般企業での有資格者募集の増加です。会計士増加に関する報道に加え、日本公認会計士協会による「企業内会計士」に関する情報提供、啓発も功を奏したと考えられます。
監査法人や会計事務所、コンサルティングファームだけではなく、財務の新たなポストを設置する大企業、中堅企業やベンチャー企業が、IPOやIFRSの会計基準適用等を念頭に有資格者を求めるなど、会計士を求める求人は多様なものとなりました。
受験者・合格者の減少により新たなフェーズに入った会計士人材市場。新人会計士の皆様にとっては、監査法人や会計事務所だけではないさまざまな勤務先、そして役職によって、業務内容や収入等も、また多様になってくることが予想されます。自らの「働き方」に関する可能性を、広い視野で見渡しながら、キャリア形成について考える視点が一層必要になると思われます。