2015年8月20日
会計は、営利・非営利を問わず、すべての事業体に必要な業務です。事業会社以外を対象とした会計・監査業務として、大小さまざまな監査法人、会計事務所が手がける分野の一つに、幼稚園、小・中学校、高等学校、専門学校、大学等に対する法定監査、税務、コンサルティング、内部監査等があります。
学校会計業務を行うために必要となる専門知識として、学校法人会計基準があります。
学校法人会計は、公共性の高さから、企業会計とは異なる独自性をもっています。
企業会計との違いが端的に示されるのが、財務諸表の種類です。主な書類として、貸借対照表のほか、企業の損益計算書に近い「事業活動収支計算書」、活動に伴うすべての収入・支出の内容を、現金残高を重視して表示する「資金収支計算書」があります。
なお、平成27年度以降は、資金収支計算書に、活動区分ごとの資金の流れがわかる「活動区分資金収支計算書」を作成することとされています。
学校会計で特に重視されるのは、収益性よりも永続性です。
校舎や土地、学校設備など、基本財産として処分が制約される財産を組み入れる「基本金」の勘定科目があることなどに、永続性の重視が示されています。
学校監査は、法定されているものとしては、国や自治体から補助金を受けている私立学校が受けることが義務付けられる、私学振興助成法に基づく監査があります。
監査では、学校会計基準に基づいて適切に作成しているかについて監査意見、報告書を作成します。
学校を取り巻く環境は変わっています。少子化により存続が危ぶまれる大学の存在、また会計不正、研究費不正取得などの発生のニュースも頻繁に耳にするところです。
学校の適正な運営のためには、適正な組織運営のためのガバナンスの確立が必要です。
監査法人では、法定監査だけではなく、学校組織のガバナンス確立のための内部監査、内部統制に関するコンサルティングなども広く行われています。
中小監査法人、公認会計士事務所が関与することが多いことも特徴です。
学校のガバナンスに関する厳しい声が聞かれている現状、会計業務への需要も高まるものと思われます。会計士の皆様も、勤務先で学校監査に関する知識と技術が必要とされる業務に就くことは決して少なくはないでしょう。
学校会計の確実なスキルを身につけておきたいところです。