2014年12月11日
会計システム等から大容量のデジタルデータを抽出し、監査ツールを使って不正の有無等を検証する技法がCAAT(Computer Assisted Audit Techniques) 。
企業の内部監査手法としての発展が期待されており、監査法人が導入へ向けたコンサルティングを行う事例が増えているようです。
J-SOX法のスタートもあり、内部統制、内部監査への注目が高まっています。
しかし、企業にとって「コスト要因」として見られることも多く、内部監査部門の担当者はリソースが限定される中で全社的、効率的な監査手法を探し求めています。
その点で、デジタルデータに注視したCAATの手法は、勘定残高のチェックや異常データの抽出など、手作業によるサンプルを利用した監査に比べ運用は効率的です。
デジタルデータの特性を活かして、業務全般を検証対象とすることにも特徴があります。検証を継続的に行うことで、普段の取引のモニタリングも自動化できるのも強みです。
内部統制に関する法令遵守の観点だけではなく、業務全体の効率化、企業価値の向上にも資するCAATですが、
一般企業への認知度は上がっているものの、導入企業は未だ少ない状態にあります。
導入コスト、運用コストは低減の流れにありますが、全社的なシステムの見直しを伴うこと、
社内外にCAATに関して知識を持つ人材、機関が少ないことが原因としてあげられます。
そこで重要な役割を示すのはやはり監査法人です。各監査法人では、CAATに関する知識を提供し、企業に対して導入、
そしてツールを活用した内部監査手法についてのコンサルティングを行っています。
IT技術の向上は、会計士の仕事も大きく変えました。CAATへの注目の高まりも、PCの処理能力の向上、
ハードディスクのデータ容量の増加、クラウドの発展が大きく後押ししたことは間違いありません。
会計士のITスキルも今後さらに問われることになるでしょう。企業内会計士として内部監査を行うスキル、
監査法人やコンサルティングファームのCAAT導入支援業務に対応するスキルへの注目が高まることが予想されます。
キャリアアップを目指す会計士の皆様は、IDEAやACL 等、CAAT監査ツールについての情報を収集し、
日進月歩のIT技術による監査手法への影響に常に注目しておく必要があります。
その知識が、CAAT導入によるメリットとともに、ITによる監査の限界を見極め、会計の専門家が補完しなくてはならない部分も浮かびあがらせます。
会計士には、ITの発展を前提とした監査技法を不断にブラッシュアップさせることが求められるでしょう。