2016年8月8日
平成27年度の公認会計士修了考査の合格者が4月4日に発表されました。公認会計士として新たなスタートを切ることになる合格者の方々ですが、最近では減少傾向が話題になることが多くなっています。今年度の合格者の状況はどうなっているのでしょうか。考査の結果について、業界への影響も併せて考えてみたいと思います。
平成27年度の修了考査の受験者は1,811人、合格者1,301人という結果になりました。前年26年度の受験者2,030人、合格者1,438人と比べていずれも減っており、4年連続の減少。一方、合格率は前年度の70.8%から71.8%と上昇しています。
会計士業界では、近年、新規合格者の減少が取り沙汰されています。この減少傾向は、少子化や、いわゆる「資格離れ」「会計離れ」などといった要因のほか、政策的な影響が強いのはよく知られるところです。試験制度の変更等の影響で、平成23年度のピークまでは修了考査合格者が顕著に増加しましたが、平成24年度に受験者3468人から2593人、合格者2378人から1846人と大幅に減りました。現在は増加が始まる前(平成20年度)の水準に戻っていると言えます。
大きな増減が起こる時期は過ぎたと考えられますが、公認会計士試験の受験者数の状況を見ると、今後も修了考査の合格者、つまり新たに会計士として活動をスタートする人材の減少は避けられないものと考えられます。その状況は、言うまでもなく会計士の人材市場にも大きな影響をもたらすでしょう。
一時期の、会計士の増加による就職難、買い手市場の時代を経て、監査法人、コンサルティング・アドバイザリーを行う企業では、会計士人材の不足が危機感とともに語られるようになりました。監査法人や会計事務所のほか、一般企業においても公認会計士の評価が高まっている状況も、人材不足を後押ししているようです。また、現在は人材不足が顕在化していない法人でも、将来的な人材不足が予想されることから、減少した年代に合格した会計士の確保を意識的に行い、定着させる方策を打っています。
一般企業を含めて会計士の活躍の場が増え、キャリア形成の在り方が多様化する状況で、大手監査法人でみられる動きとして、会計士の希望に合わせ、グループ内での部署異動がしやすくなっていることがあります。監査を担当する会計士が、アドバイザリー部門へ異動したり、海外勤務を担当したり、個別の案件で部署横断的なアサインが行われたりと、個々人が会計士としての理想のキャリアプランを実現しやすい仕組みを作っているのです。若手会計士、またこれから会計士資格を得ようとされている方にとっては、そのような業界の状況はステップアップのチャンスといえるでしょう。