2014年6月20日
公認会計士の転職部門といえば、財務部か経理部が一般的です。
このイメージは間違っていません。
なぜなら、経理部は決算数値やIR資料の作成・管理会計などに携わっているからです。
企業側も元々専門性が高く即戦力となる公認会計士を採用する訳ですから、経理部・財務部部門に配属されるのは自然な流れです。
では、公認会計士が企業に転職したとしてずっと経理部または財務部のままで他部門に異動することはないのでしょうか?
答えはNoです。というのも、最初は経理部に配属され、たとえば決算作業などをしていても、そのうちどうしても他部門との連携が必要になる機会が生じてきます。
他部門から送付された数字の根拠が分からない、資料の見方が分からない、事前依頼資料にはないが追加で他部門に依頼する必要が生じた、などです。
公認会計士としてのキャリアスタート時に行う業務は数字を作る、監査をするということですが、年次や職階があがるにつれ、求められる能力も変わっていきます。
各部門との連携も求められる能力の一つでしょう。
そのうち、商品企画に呼ばれるケースもあるそうです。たとえば、新商品を開発するのにどの程度売れるのか? 管理会計や原価企画の面で公認会計士が会議に呼ばれるケースもあるのです。
公認会計士として必要なスキルはズバリ、コミュニケーション能力です。
コミュニケーション能力といっても、他部門の社員と会話して仕事を円滑に進める能力だけではありません。
プレゼンテーションの資料を作成して相手に分かりやすくかつ手短に伝える能力もその一つです。
ちょっとしたメモを分かりやすく作成するのもコミュニケーション能力の一つでしょう。
このような能力は、監査法人にいても高めることは可能です。
企業担当者に資料依頼する時に、分かりやすく説明することも大切な能力です。
たとえば、単に「●●の資料をお願いします。」というのではなく、「●●の資料をお願いします。なぜなら、▲▲ということを確かめたいからです」と一言添えるとか、依頼資料を分かりやすくメモ書きで渡すなど、ほんの一工夫で良いのです。
伝え方一つで対応する企業担当者の気持ちも変わります。
自分の仕事を円滑に進めるためにも、ちょっとしたコミュニケーションに気を配る。こういった能力を持つ会計士への潜在的な需要はかなり高いと考えています。
公認会計士 李 顕史