2015年10月5日
企業会計基準委員会(ASBJ)は2015年6月30日、日本版IFRS(国際会計基準)、J-IFRSともいわれる「修正国際基準(JMIS)」を発表。日本会計基準、米国会計基準、ピュアIFRSに続く4つ目の会計基準として適用が可能になります。JMISは会計・監査業務にどのような影響を及ぼすのでしょうか。
ASBJは2013年にJMISの策定に向けた議論をスタートしました。そして2014年7月に草案を公開。2015年6月に議論を終え、発表しました。JMISは2016年3月期の連結財務諸表から適用可能になるとしています。
国際基準であるIFRS(ピュアIFRS)の適用企業は次第に増えています。日本取引所グループの調べによると、2015年8月現在でIFRSを任意適用している会社は67社、任意適用予定会社は24社となっています。日本独自のIFRSといえるJMISが策定されたことによる影響は予測できない部分もあります。
JMIS策定の理由は、日本基準とIFRSの差を埋めることを、業界から強く要望されたことだといわれています。たとえばのれんの償却。のれんはIFRSでは非償却ですが、日本基準では償却資産。JMISでは定額法により償却できます。
また、株式売却損益は、当期純損益にリサイクルする日本基準に対し、IFRSはリサイクルしません。これについてはJMISでは日本基準とつじつまを合わせ、リサイクルすることとなります。
IFRS適用に大きなネックがない場合にはJMISは適用しないものと考えられますが、IFRS適用を検討している企業では、JMISを検討する動きが起こってくることも予想されます。
公認会計士としては、適用業務のニーズが発生するか否かにかかわらず、日本基準、あるいはIFRSとの違いを中心に、JMISの理論体系について集中的に学び、新しい基準が策定された背景、何が企業から求められていたのかということを分析しておきたいところです。とくに、のれんについては、M&A業務に関わる会計士は必ず確認しておきましょう。
それぞれの基準で作成された決算書が、どのような科目で特徴となって表れるのかを整理することにより、自らの会計に関する知見が深まり、会計・監査業務に必ずプラスになるものと思われます。