2014年7月17日
企業にはその事業活動を管理する部門が必ず存在します。経理部、財務部や総務部、場合によっては経営企画部という名称の管理部門が設置されている企業もあるでしょう。
管理部門の業務は、その名のとおりさまざまなものを“管理する”ことです。
管理の対象は、その企業で働く人であったり、企業の業績であったり、資金であったり、設備など固定資産であったりします。
このうち、財務会計コンサルタントとしてクライアント企業にかかわる場合、企業の業績や資金の管理方法についてコンサルティングするケースが多いと思われます。
企業業績の管理の第一歩は、企業が目標とすべき数値を予算として設定することです。
企業業績の予算による管理プロセスは、予算の策定プロセスと予算による統制プロセスに分かれます。
今回は予算の策定プロセスについて説明します。
予算には、中長期的な予算と単年度予算があります。
中長期的な予算は経営者が主体となって大きな観点から「中長期事業計画」として策定します。
既存の事業だけでなく、例えば、経営者や企業が蓄積したノウハウを活用して新たな事業を立ち上げることを考えているのであれば、
これを盛り込んで策定することになります。
そして、単年度予算は、現在が中長期的な予算と整合させるように策定する必要がありますが、実際に達成可能なものである一方で、
ある程度ハードルが高い「努力目標」となりうるものでなくてはなりません。
以下、単年度予算を「予算」といいます。
この予算は事業年度が開始するまでに確定するように進める必要があります。
管理部門においては、製造部門、営業部門、人事部門などの部門ごとに作成した予算案を集約して会社としての予算を策定します。
しかし、各部門では必ずしもその活動が数値化しておらず予算案の策定が難しいかもしれません。
各部門での予算策定の前提として、公認会計士である財務会計コンサルタントは、各部門での活動の目標を数値化し、各部門に理解してもらうような努力が必要でしょう。
これらの各部門の予算案をベースに、対象としている事業年度が中長期事業計画のどこに位置付けられるのかを考え、
各部門と幾度も調整を重ねた上で予算を決定することになります。
この調整局面でも、会計数値で検討する必要があるため、公認会計士は重要な役割を果たします。
前述したとおり、予算は簡単に達成可能なものでなく、予算の達成により充実感が得られるような、
一定の努力を伴った上で達成可能な目標である必要があります。
企業の事業活動は景気の波に影響され、必ずしも計画どおりには進みません。場合によっては中長期事業計画に大幅な修正が必要となることもあるでしょう。
しかし、その都度、企業が経済環境に適合するように予算を策定し、これを着実に達成することで企業は継続して成長していくことが可能になります。
予算は策定して終了ではありません。
実績との比較により、必要な修正を加えながら実際の事業活動に落とし込んでいくことが必要です。
この際にも公認会計士が持つ会計の知識を有効活用できます。
公認会計士 石川理一