2015年8月24日
日本企業において、経理・財務部門に、経理業務以上の積極的な役割を期待する機運が高まっています。その象徴がCFOです。
経営の中枢に入る財務専門家の存在が重視されてきています。経済産業省が発表した有識者会議で取りまとめられた「伊藤レポート」から、CFOに関する部分を紹介します。
伊藤レポートは、2013年に立ち上げられた「持続的成長への競争力とインセンティブ~企業と投資家の望ましい関係構築~」プロジェクト(座長:伊藤邦雄 一橋大学大学院商学研究科教授)の議論を取りまとめたもの。2014年8月に最終報告が行われました。
レポートの目的は、企業が投資家との対話を通じ、持続的成長に向けた資金を獲得し、企業価値を高めていくための課題を分析、提言することです。
レポートでは、日本経済の現状認識として、マクロ経済状況の改善がみられるとしながら、継続的な成長軌道に乗せていくためには、ミクロ、つまり個々の企業の競争力、収益力を高めていくことが急務であるとしています。
レポートでは、その実現のため、資本効率を意識した経営改革、経営者と投資家の双方向の対話が必要であることを強調。資本コストやROE(自己資本利益率)等の資本規律を中長期的な経営指標として組み込んでいくこと、ビジネスモデルやマネジメントシステム、インセンティブ構造等を変革し、精度の高いリスク・マネジメントを行いつつ、適切にリスクを取ることで、イノベーションを促すことを提言しています。
長期的な発展を目指した投資を促すために、財務情報が重要であることは論を待ちません。
そこで掲げられる重要な存在がCFOです。
レポートでは「CEOが思い切った経営執行する前提条件として、経営者と二人三脚で企業経営を行うべき『経営者としての財務最高責任者(CFO)』の存在が重要である」と言及。
「CFO人材のプールを拡充すべく、その育成・強化に注力していくこと」を提言しています。
CFOへの注目は、とりもなおさず、公認会計士や税理士といった会計専門家の企業内における活躍への期待を示しています。
レポートで示されるCFOの「強化・育成」が、政府あるいは個々の企業において、どのような施策、取り組みにつながっていくのか、注目が集まるところです。レポートで示された認識は、現在監査法人や会計事務所、コンサルティングファームに勤務する会計士の将来のキャリアプランにも、一定の影響を及ぼすことになるのではないでしょうか。
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