2016年10月11日
公認会計士合格者数は2007年の4,041人をピークに15年の1,051人へと8年連続で減り続けており、2016年度も引き続き公認会計士業界の労働市場は、人手不足の状況、すなわち、売り手市場の状況が続いています。2016年度下期の公認会計士の転職市場も、景気が劇的に悪化しない限り上半期と同様な傾向が続くでしょう。
公認会計士の転職先としては、大きく分けて監査法人、税理士法人、コンサルティング会社、一般事業会社の4つが選択肢として考えられます。
多くの公認会計士の方が、最初は監査法人に就職することから監査法人から他への転職を前提に記載します。以下4つの転職先に分けて説明します。
就職氷河期に中小監査法人に入社された方は、現在では監査法人の転職は超売り手市場であり、転職は容易でしょう。ただし、中小監査法人から大手監査法人へ転職する場合は、監査法人内での階級を落とされて入社することになる場合が多いので出世の点では不利になります。
大手監査法人から中小監査法人へ転職を目指す方は、監査インチャージ経験やマネージャー経験があれば、大手監査法人の階級からステップアップでき、若くしてパートナーになるチャンスもあるでしょう。
リーマンショック後等就職氷河期においては、20代前半でないと大手監査法人に就職できず、大手監査法人は転職者を募集していない時期もありましたので、現在は40歳くらいまでは大手監査法人含め監査法人へ転職できますので転職を考えている人には絶好のチャンスといえます。
公認会計士で税務経験を積みたい方は、税理士法人や個人の公認会計士又は税理士事務所に転職したい方も多いでしょう。
現在、税理士法人や個人の公認会計士又は税理士事務所も監査法人同様に、売り手市場です。そのため、税理士法人や個人の公認会計士又は税理士事務所への転職は、給与水準が監査法人より低くなり、監査法人時代よりも階級が下がる可能性が高いですが、将来的な独立を考えている公認会計士や税務実務に興味がある公認会計士には絶好の転職のチャンスでしょう。
M&A税制や国際税務等難易度の高い税務を経験したい方や勤務税理士として安定した収入を得たい方は大手税理士法人に、将来的に独立を検討している方や中小企業の税務中心に経験したい方は、個人で経営している公認会計士又は税理士事務所への転職がおすすめです。
公認会計士のコンサルティング会社への転職は、監査法人内のアドバイザリー事業部や監査法人系のアドバイザリー会社への転職が大半であり、IFRS、M&A、IPO、内部統制、内部監査等が中心になります。
いずれにしても、監査法人での監査経験は活かしやすく、監査する側から、決算書の作成をする側、つまりは監査される側の立場に変わるのが特徴です。
一般的に、コンサルティング業務は、定型的な業務である監査に比べて、仕事がハードな傾向にあります。ただ、監査業務は顔の見えない投資家や債権者のために行うのに対し、クライアントのためにサービスを提供する業務のためやりがいは大きいです。
現在、好景気により、IFRS、M&A、IPO業務は劇的に増加しており、監査法人で監査経験のある公認会計士は転職しやすい傾向にあります。
上場企業の好景気が続いていることからのIFRSを導入する会社の増加、M&AやIPO等の増加により、公認会計士は一般事業会社の経理、財務、経営企画等中心に多数の転職機会があります。
また、監査法人でインチャージ、マネージャー経験ある方は、小規模の上場企業やIPOを目指す企業のマネージャー職やCFO候補等高ポジションでの転職をできる機会も多数あります。
監査法人に所属して監査に飽きた方、監査業務をやりつくした感がある方は、一般事業会社への転職により、会計、税務、財務等幅広い知識及び実務能力を身に着けることが可能です。
公認会計士として監査する側ではなく、実務担当者側で働きたい方、監査するだけでなく、事業計画書作成、決算書作成、銀行や監査法人との折衝等多様な能力を磨きたい方にとっては一般事業会社への転職も検討してみるチャンスでしょう。
公認会計士・税理士・米国公認会計士・米国税理士 福留 聡