2017年04月17日
平成28年11月11日に、平成28年公認会計士試験の合格発表がありました。平成28年の公認会計士試験は、前年より受験者が増えたことも業界内で話題になりましたが、合格者も増加するなど、業界の変化を感じさせる注目の結果となっています。試験結果による業界動向も併せ結果を見ていきましょう。
まず、平成28年の論文式試験合格者は1,108人。前年より57人、5.4%増となりました。最終合格者が増加したのは、平成19年以来、なんと9年ぶりです。今回は、受験者も前年より0.7%増えましたが、合格率も前年の10.3%から10.8%と、0.5%アップしています。
合格者の平均年齢は 26.2 歳で、最高年齢は 67 歳、最低年齢は 19 歳でした。そして、とくに注目したいのが男女比です。合格者の性別は男性 872 人、女性 236 人で女性の比率は 21.3%。前年は、男性844人、女性207人で、女性比は19.7%。女性の比率アップは、近年顕著になっており、時代の変化が確実に感じられます。
さて、近年の公認会計士試験では、試験制度の変化により合格者数が急に増えた結果、新人会計士たちが監査法人等に就職できない事態になったことが記憶に新しいところです。そして、その後反動的に合格者が急減したのですが、今回の試験結果は、再び反転のトレンドに入ったとみることができます。
合格者の減少期には、リーマンショック等による不況からの緩やかな回復傾向となっていることも相まって、会計人材不足が顕在化し、最近では人材の「売り手市場」という言葉もよく聞かれるようになりました。今回、合格者が増加に転じたことで、会計人不足が緩和する方向に進むと期待されます。
会計士の皆さまからみると、合格者の増加により再び就職難が訪れるという不安もあるかもしれませんが、長期的な人材不足状況や、関連資格の受験者の減少なども勘案すると、人材が余る事態は考えにくいでしょう。逆に、人気を取り戻した会計士の注目度、存在感が増す方向に働くのではないでしょうか。
最近の監査法人、その他会計人の採用においては、企業内会計士やコンサル、IPO、IFRSの適用支援など、監査だけではなく、幅広い会計士需要があります。そして政府の後押しもあり、女性の採用についても積極的な印象です。合格者の皆さま、また合格を目指す方々は、多くの業界から会計人への高い期待があることを認識し、自信を持ってキャリアへの第一歩を踏み出していってほしいと思います。