2016年3月31日
日本企業の資金調達は、間接金融から直接金融へとシフトしているといわれます。多様なファイナンス手法の中で、いわば間接金融と直接金融の中間に位置するのがメザニンファイナンスです。会社の財務戦略について助言する会計士にとって重要な選択肢になることも予想されます。
メザニンファイナンスは、形式的には株式や借入等でありながら、機能としては銀行借入や社債等の「デットファイナンス」と、株式発行等「エクイティファイナンス」双方の特徴をもつ資金調達手法。メザニンは英語で「中二階」を意味し、その中間的な性格が名称にも表れています。
メザニンファイナンスの種類として、まず金融機関からの借入で行われる劣後ローンや、社債の形をとる劣後債があります。これは、返済時の支払い順位、償還等が他のローンや債権よりも劣る代わりに、金利等で優遇されているもの。債権者にとっては通常よりも高いリターンが望めますが、リスクも高まります。
株式の形をとるものに優先株があります。特徴として、配当等で優先される代わりに、議決権等が制限されているものが多いようです。発行会社にとっては、議決権の希薄化を防ぎながら資本を増強でき、投資家も高いリターンが望めます。
メザニンファイナンスは、社債等では優先弁済権、株式では株主権というデットとエクイティの特徴である権利が制限され、継続して発生する金利や配当が増える仕組みであり、投資対象として、また企業にとっての資金調達方法としては、どちらも類似したものとなります。
資金調達、金融商品の多様化の流れの中、メザニンファイナンスは企業の財務戦略を柔軟に、また投資家の選択肢も増やす手法として、アメリカなどでは一般的です。日本での利用はまだ多くありませんが、メザニンファイナンスを支援する投資銀行やファンド会社は増えてきています。また、中小企業対象の融資で、劣後ローンが利用されることも増えてきました。
会計士業務としても、金融機関でメザニンファイナンスのスキーム作りなどの実務に携わる会計士が増えてくることも考えられます。また、財務戦略のコンサルティングを行う会計士、またCFOなど自社内で財務戦略に深くかかわるポジションに就く会計士は、資金調達、資本政策においてメザニンファイナンスが重要な選択肢となっていくことが考えられるため、確実に知識を得ておきたいところです。