2014年3月19日
今までハードルが高かったIFRS(国際会計基準)。2013年10月にIFRS(国際会計基準)の任意適用要件が緩和され、 IFRSを任意適用するために求められていた2つの大きな要件が撤廃されました。
撤廃された2つの大きな要件は以下の2点です。
(1)上場企業であること、および国際的な財務活動・事業活動を行っている企業
(2)外国に20億円以上の資本金を持つ連結子会社を保有していること
撤廃された結果、今までIFRSを適用できなかった非上場企業もIFRS適用の機会が増えました。
非上場企業がIFRSを適用すると、どのようなことが起きるのでしょうか?
まず、非上場企業がIFRS任意適用し、社債を発行します。そして海外の投資家に自社の社債を購入してもらいたい、というケースが発生すると考えられます。
日本基準で作成された財務諸表は、外国人の投資家にとって分かりにくい、またはリスクのある財務諸表と映る可能性があります。
なぜなら、外国人投資家が外国籍企業の財務諸表を比較するとき、IFRS基準で作成した財務諸表と日本基準で作成された財務諸表では比較を困難にしてしまうからです。
したがって、日本の非上場企業がIFRSを適用することは理論的にあり得ます。
つまり、今までの日本基準のまま開示していたものよりも、IFRS基準で開示した方が、外国人投資家の目に止まりやすく、
非上場企業にとって資金調達の大きなチャンスになるということです。
そのため、今後はIFRS基準を採用する日本企業は増えていくと思われます。
以前は、IFRS基準と日本基準の会計基準の差はたくさんありました。 しかし今では、双方の基準間で差異がなくなってきました。違いがあるのは、 たとえば連結ののれんの償却方法などの差異にとどまっています。 その意味では、IFRSを任意適用する企業が増えてきても不思議ではありません。 しかし、IFRSを任意適用する企業が爆発的に増えないのはなぜでしょうか。 考えられる理由としては、有価証券報告書の開示を作成するのに時間と労力がかかり、大変だからでしょう。
財務諸表をIFRS基準で作成することは日本基準と大差ないのですが、 実務に携わる身として大きく感じることは、有価証券報告書の開示(注記)の作成に時間と労力がかかる企業が多いということです。 IFRS基準での開示は決して低くないハードルですが、財務諸表の国際比較の観点から、 今後の日本の発展のためにもIFRSを任意適用する企業が増えていくことを願っています。