2017年10月3日
IT技術を利用し、事業や商品を支援する、多数の人から資金提供を受けるクラウドファンディングが、新しい資金調達の形として注目を浴びています。認知度や技術の向上、法整備により、リスクマネーの調達方法としてより定着することが期待されます。会計士が行う、クラウドファンディングに関する支援業務について考えてみましょう。
クラウドファンディングには、様々なスキームがあります。大きく分けると、リターンのない「寄付型」、物品やサービスを買う形になる「購入型」、そして株式やファンドなどの金融商品を買い、配当を受ける「投資型」があります。
中でも、調達金額等で大きな可能性を秘めるのが、非上場株式を発行するなどの方法で資金を募る投資型クラウドファンディング。2014年、投資型クラウドファンディングの規制を緩和する金融商品取引法改正が行われ、参入がしやすくなりました。
具体的には、金商法上の区分として、少額の資金集めの代理を行う「第一種電子募集取扱業者」「第二種電子募集取扱業者」を新設。資金調達できる額や投資額の要件などを決め、法的な位置づけを明確化、また投資者保護のため、募集や勧誘等に関する義務、自主機関を通した規制などについても定めています。
現在のところ、話題性の高い事業がニュースにはなっていますが、一般企業の資金調達手段として、クラウドファンディングが広く普及しているとは言えないでしょう。しかし、クラウドファンディングの仕組み自体は、業種に限らず利用できるものであり、今後に大きく期待できます。
法整備にともなう専門業者、コンサルティング会社の発展、スキームの定着、ノウハウの蓄積により、あらゆる企業で、事業ベースのマネー供給に広く行われる可能性を秘めています。
そして、ファイナンスのコンサルティングは会計士の専門分野。クラウドファンディングでは、法人や匿名組合などの会計、会計システム整備、ビークル税務など、多くの業務が発生します。
また、株式の発行や組合契約などの法務についても、弁護士らと連携して行う必要があります。そして、投資家保護についても、会計士の専門分野。ファンドの財務情報公開、モニタリングのサポート、内部監査の需要も高まると考えられます。
とくにSPCコンサルティングを手掛けた経験のある会計士等は、自身のスキルを活かす道としてクラウドファンディングの仕組みについても研究しておくとよいでしょう。