2014年12月9日
会計士がコンサルティングを行う分野の一つに、事業再生(ターンアラウンド)があります。
過剰債務を抱える企業に、財務改善を策定、実行を支援する業務です。
そして、事業再生のコンサルティングは場合によって、再生企業に役員として入るCRO(チーフ・リストラクチャリング・オフィサー)の形を取ります。
存続の危機にある企業の状況は様々。
過剰債務の原因は売上の低迷、取引先の倒産等のほか、不採算事業、不要な不動産や機械設備等もあり、
事業再生は会社の実情に合わせて行う必要があります。
監査法人や会計事務所、コンサルティング会社で行うターンアラウンドマネージャー(TAM)業務では、
再生法にかかる債権者との交渉のサポート、不採算事業の分社化、資産売却やリースバックなどにより、
事業を継続しながら財務を改善する計画を立案します。
これらは、再編にかかる会計税務、事業キャッシュフローの計算等、会計士の知見が必要となる分野です。
しかし、必要な知識は会計だけではありません。不採算事業の切り離しは、民法上の詐害行為に当たらないか、
といった法律上デリケートな問題をはらみます。また、債権者との交渉に代理人として活動するためには弁護士資格が必要。
TAM業務を行う場合、弁護士との連携が必須となります。
ここで注目されるのが、TAMの業務を一歩すすめ、再生企業に対し役員派遣を行い、
会社の内部の人材としてリストラクチャリングを行うCRO。
事業再生コンサルティングを行う多くの企業は、CROの派遣も手がけています。
会計士がCROに就任することで、会計の専門家として再生をサポートするだけではなく、当事者として再生の最前線に立つことになります。
弁護士と連携して行っていた債権者交渉、法務などにかかる業務についても、少なくとも権限上は行うことができます。
当然、役員としての責任は重大です。会計の知識を武器としながら、必要とされる知識、経験は格段に幅広くなります。
CROに就任する人材のバックグラウンドとなる専門的知識は様々ですが、
会計士が就任する場合、業務的にCFOの特殊な一類型として位置づけることもできます。
CROは会社の危機を救い、新たなイノベーションを生み出す企業に生まれ変わらせるための重要な役割を担います。
産業構造の転換、再編が進む経済状況において、会計士の活躍の場として、注目が高まってくるのではないでしょうか。