2015年7月17日
現在、企業のガバナンスにおいて、社外役員の重要性が高まっています。日本公認会計士協会はこれらの動きをうけ「社外役員候補としての公認会計士紹介制度」をスタートしました。今回は、会計士の企業内での活躍に道を開く可能性を秘める同制度について、詳しく見ていきましょう。
平成26年の会社法改正では、大企業における社外取締役の設置義務化は見送られましたが、社外取締役が存在しない場合、社外取締役を置くことが相当でない理由を事業報告で説明するなどの規定が設けられました。
また、社外取締役の要件が厳格化され、より独立した立場が求められています。
その際、大きな存在となると考えられるのは公認会計士や弁護士等の士業者です。
日本公認会計士協会が創設したのは、社外役員に公認会計士の登用を検討する企業に対して、公認会計士を紹介する制度。
対象となるのは、金融商品取引法または会社法による監査を受けている企業です。
同制度では、まず公認会計士が社外役員候補として名簿への登載を行います。
その際、会計士の年齢、性別、事務所所在地、公認会計士以外の資格、職務経歴、自己PR等の情報を提供する必要があります。
そして、社外役員に公認会計士の登用を検討する企業は、自社の業種、資本金、適用監査の種類、募集役職、勤務地、希望年齢、希望する性別等を協会に申請。
協会は、希望に合致する公認会計士に対して、通知します。
当該会計士が就任を検討する場合、個人を特定しない形で、プロフィール等が企業に送付されます。そして、企業は面談等を希望する公認会計士を指定。直接連絡を取り合い、交渉を行うこととなります。
企業における会計士の役割として、CFO(最高財務責任者)という言葉が一般化しました。
日本公認会計士協会では以前から、企業内で活躍する会計士への支援を行っています。
企業へ会計士を紹介するルートが具体化したことは、その点で重要な意味を持っています。
「社外役員候補としての公認会計士紹介制度」の創設自体は、会社法改正等、法制度の変化が後押ししていることは間違いありません。
しかし、同制度により公認会計士が一般企業で顕著な実績を積むことができれば、会計士の役員就任が、法令への対応のためだけではない積極的な意味を持ち、今後も一層広がっていくことになるでしょう。
若手の会計士の皆様には、今のところ、「社外役員としての候補公認会計士紹介制度」への登録を検討する人はそれほど多くはないかもしれません。
しかし、将来的な働き方を考えるために、同制度がどのように運用されていくのか、動向を注視しておくことが有用なのではないでしょうか。
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