2016年6月27日
会社法の改正、コーポレートガバナンスコードなどでの言及で注目が高まる社外取締役。上場企業への義務化は見送られましたが、公認会計士の就任増加により一般企業での活躍の場が広がることが期待されます。ここで確認しておきたいのが、社外取締役の設置が必要な会社形態です。現在義務的に設置が必要となる組織等について確認しておきましょう。
社外取締役が必要となる会社として、まず「特別取締役」を設置している企業があります。特別取締役は、6人以上の取締役がいる会社が、その中の3人以上で、重要財産の処分及び譲り受けと多額の借財といった重要な事項を決められるというもの。6人の取締役のうち1人以上の社外取締役を置く必要があります。
次に、指名委員会等設置会社(旧「委員会設置会社」)。取締役で構成される指名委員会、報酬委員会、監査委員会を置く形態の会社です。各委員会のメンバーの過半数は社外取締役で構成され、独立性の高い役員によるガバナンスとしています。
そして、あらたに登場したのが、26年施行された改正会社法で導入された監査等委員会設置会社があります。監査役を置かず、3人以上の取締役により監査等委員会を構成し職務執行に対する監査を行う形態で、監査等委員の過半数は社外取締役でなければならないとされています。
社外取締役の選任で注意したいことに、社外取締役となるための条件、いわゆる「社外要件」があります。こちらも会社法改正による変更があったため確認しておきましょう。
就任前の10年間で、就任予定の会社や子会社の業務執行取締役等に就任したことがないこと。その間、取締役、会計参与、監査役に就任したことがある場合、就任する前10年間に、その会社や子会社の業務執行取締役等であったことがないこと。
また、その会社の支配株主、親会社の取締役、執行役員、支配人その他の使用人でないこと。親会社を同じくする兄弟会社の業務執行取締役等でないこと、その会社の取締役、執行役や支配人その他の重要な使用人、支配株主の配偶者、二親等内の親族でないことなどとなっています。
改正会社法では、監査役会設置会社、公開会社かつ大会社で有価証券報告書の提出義務がある会社が社外取締役を置いていない場合に説明の義務化がありました。また、証券取引所の行動規範などでも独自の基準が設けられています。そのため最近では、適正な企業統治を担保する観点から、社外取締役が必要とされていない企業でも設置する例が多くなってきました。会計士が社外取締役に就任する動きも盛んになっているだけに、社外取締役の設置に関する法制と現状について整理して理解しておきたいところです。