2015年2月19日
監査法人が行う業務として、大企業の法定監査の他、非上場の中堅企業などからの依頼で任意監査を行う業務があります。
財務諸表の信頼性を高めることによるメリットはすべての会社にあるため、会計士が任意監査に関わることは、企業のためにも会計士のためにもステップアップの大きなきっかけとなります。
監査は本来的に、財務諸表に対する社会的信頼性を高めるという役割があります。
この機能は、義務的な法定監査であろうと、任意監査であろうと同様です。公認会計士が保証した信頼性の高い財務諸表は、
株主や金融機関等の債権者にとって有用であることは言うまでもありません。
中小企業では、ほかにも会計参与や税法上の書面添付等、会計士・税理士が財務諸表の適正さを担保する制度がいくつかありますが、
法定監査と同様の手法で監査を行った財務諸表に対する利害関係者の信頼は、高いものが期待できるでしょう。
そして、最もメリットを享受できるのが、近い将来に規模拡大により監査を受ける義務が生じる可能性がある企業、あるいは新規上場を検討している企業です。
監査は現実的に大きなコストとなるため、任意監査の結果を踏まえて増資や上場の意思決定を行うことも考えられます。
もうひとつのメリットは内部統制です。企業経営の様々なリスクに手当することもまた、企業規模の大小を問わず重要なポイントです。
会計士が内部統制の状況を評価し、リスク統制上の不備を指摘していくことにより、企業の基盤が強化され、財務・経理部門のスキルアップにもつながります。
子会社等の関連会社に、親会社の意向で任意監査を受けるケースもあります。
監査義務のない企業に対して任意監査を行った場合、財務コンサルティング、監査結果に基づくITシステム導入による内部統制の構築、
内部監査に関するコンサルティングなどの業務を引き続き請けることもあるでしょう。
任意監査は、対象とする企業規模が様々であることから、監査の主体も多様です。
税務を中心に行う小規模の公認会計士事務所でコンサルティングを含めて手がけられることもあります。
そのような事務所の求人においては、法定監査の経験者が高い評価を受けることになることは間違いありません。
大企業の法定監査を行っていた会計士のスキルが、最も発揮できる分野であるといえるでしょう。