2014年6月26日
最近、システムトラブルをニュースでよく耳にします。現代社会では様々な点でシステムが使われています。
システムダウンしたため、銀行取引を行うことができない、鉄道が動かない、となれば、社会問題と化してしまいます。
社会問題とまではならなくても、システムダウンのため、仕事が一日潰れてしまった人は少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。
大きな商談や仕事上のトラブルの原因がシステムにあれば、社会的信用を失いかねません。
そのため最近ではシステムリスクに対して、統制を働かせようとする動きが出ています。
例えばシステムの事前チェックなどが挙げられます。システム稼働する前にシステムを使用するユーザーにチェックしてもらうのです。
このような統制をルール化している会社もあります。このルール化に大きく貢献したのがシステム監査です。
システム監査は主に2つの監査項目があります。
ひとつは、アプリケーション統制と呼ばれるものです。
例えば人が入力した、もしくは自動発注された売上がもれなく重複なく財務会計・帳簿に反映されているかどうかを監査するものです。
もうひとつはシステムのインフラ基盤が正しく整備されているかを確認する監査です。
例えば、監査法人のシステム監査が入っていない企業の場合、開発部門と運用部門が分離されておらず、開発担当者が直接顧客データにアクセスして不正を働くなど、
リスクが高まるケースが散見されます。
システム開発した人が権限を悪用して、不正をすることがないような統制になっているかという点を監査でチェックします。
システム監査は監査法人内でも歴史が浅いです。私が所属していた監査法人の場合、2000年頃にシステム監査が上場企業の中でも一部ではじまり、
2003年頃からシステム監査が義務化されました。
システム監査も当初は簡単なものでしたが、J-SOXが導入されてからは監査法人も企業側も負担が大きくなってきました。
今もシステム監査対応の支援・コンサルティングをしていますが、中にはシステム監査を通して、会社の内部統制をより良いものに変えようという動きがあります。
システム監査を経験するメリットとして、公認会計士が接点の少ないシステム開発担当者に会うことができる点などがあります。
またシステムの流れをひと通り俯瞰するので、業務全体の流れを理解するのに役立ちます。
公認会計士というと会計監査というイメージを持たれると思いますが、
公認会計士のキャリアを築く上で、システム監査に強いというひとつの特徴を出せるのではないかと考えます。
公認会計士 李 顕史