2014年6月23日
格付けとは、企業の信用度です。有名な格付会社はいくつかあります。格付会社は時に企業に資本市場からの退場宣告をすることもあります。
いわゆるデフォルト(債務不履行)です。格付会社が会社の格付けを投資不適格と呼ばれる階級までさげることによって、資本市場から退場宣告させるのです。
ここでは、銀行の格付けをとりあげます。例えば三菱東京UFJ銀行の2013年3月期のディスクロージャー誌によれば、すべての企業が15段階で格付けされています。
格付けには、様々な財務指標また非財務指標が用いられます。財務指標は、自己資本比率、非財務指標は経営者の年齢や後継者の有無などがあげられます。
企業の貸借対照表・損益計算書およびキャッシュ・フロー計算書を用いて財務分析をすれば、企業の弱点や信用度も分かるものです。
銀行には様々な会社の財務データが集まります。同業他社と比較して利益がでているか?売上高は増加傾向にあるか?
などを用いて、財務分析を行います。
いわゆる自己査定と呼ばれるものです。格付けが良いと銀行が評価してくれている証拠です。
優良企業となると、貸倒の可能性が小さいことから、銀行としては融資を伸ばそうと営業をかけ、企業にとって有利な条件の融資を提案することもあります。
例えば無担保での設備投資融資、さらに低金利での提案をすることもあります。その上取引先を紹介してくれる場合もあるのです。
では、銀行から有利な条件を引き出すのに役立つ格付けを上げるためには、どのようにしたら良いでしょうか?
企業の財務諸表を短期的により良いものに改善する方法は残念ながらほとんどありません。
中長期的に売上を伸ばすことや売上高に対する利益率を伸ばす、利益額の絶対額を大きくするなど地道な努力が必要です。
ただ、中には短期で改善できる評価項目もあります。それは、技術力・販売力や経営者の資質などです。
これらは金融検査マニュアル別冊(中小企業融資編)に記載されています。
例えば、金融検査マニュアル別冊(中小企業融資編)の冒頭に次の通り記載されています。
「 金融機関が、
(1) 継続的な企業訪問等を通じて企業の技術力・販売力や経営者の資質といった定性的な情報を含む経営実態の十分な把握と債権管理に努めているか。
(2) きめ細かな経営相談、経営指導等を通じて積極的に企業・事業再生に取り組んでいるか。
といった、いわば金融機関による『債務者への働きかけ』の度合いを重視し、債務者区分の判断等においてもこの点を十分勘案することとしている。」
(出典:金融検査マニュアル別冊(中小企業融資編))
技術力については外部から調達する、販売力は営業方針を変えるなども評価対象となるようです。
ただ、経営者が変わらなければ何も始まりません。
このような銀行格付けと格付け根拠を元に、経営者に格付けアップの提案をすることも公認会計士の役割ではないでしょうか?
公認会計士 李 顕史