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CHAPTER6 ステップアップ

Section 03 損益分岐点

会社の成長には、売上を伸ばすだけでなく、利益を出すことが重要。そのために損益分岐点の把握が必要になるんだ。

費用を変動費と固定費に分けて考える

損益分岐点(BEP: break-even point)」は損失と利益の分岐点、つまり利益がプラスマイナスゼロとなるポイントのこと。売上高がその金額を上回れば利益がプラスとなり、下回ればマイナス=損失となります。

利益は、売上高から費用を差し引くことで求められます。損益分岐点を求めるには、まずこの費用を「変動費」と「固定費」の2つに分けて考えます。変動費は、売上の多い少ないに比例して増減する費用。メーカーの原材料費や小売業の商品仕入、そのほか外注費や販売手数料などが該当します。そして固定費は、売上の多い少ないに関係なく常に一定額で発生する費用。会社の地代家賃、人件費などが該当します。

損益分岐点売上高を用いて経営分析する

固定費は売上がゼロでも発生します。この固定費を回収するのが「限界利益」で、売上高から変動費を差し引いて求めます。そこから売上が伸びて限界利益と固定費の等しくなる点が、損益分岐点です。また、損益分岐点では、売上高が固定費と変動費の合計と等しくなります。

損益分岐点による経営分析では、損益分岐点における売上高である損益分岐点売上高を用います。また損益分岐点売上高が実際の売上高に占める割合=「損益分岐点比率」を分析に使うこともあります。損益分岐点比率は、値が低いほど収益性、採算性が高いと評価することができます。

ポイント

  1. 変動費は売上の増減に比例して増減する。
  2. 固定費は売上の増減に関係なく一定額が発生する。
  3. 売上高が固定費と変動費の合計と等しくなる点が損益分岐点。

損益分岐点の仕組み

図「損益分岐点の仕組み」
変動費

売上の多い少ないに比例して増減する費用
原材料費、商品仕入、外注費、荷造運賃、販売手数料など

固定費

売上の多い少ないに関係なく一定額が発生する費用
地代家賃、人件費、水道光熱費、固定資産税、広告宣伝費など

そのほかの指標

損益分岐点比率

損益分岐点比率(%) = 損益分岐点売上高 ÷ 実際売上高 × 100

実際の売上高と損益分岐点売上高の比率。業態や会社の規模によっても事情は異なるが、おおむね以下のような目安で評価される。

~60% → 超優良  60~80% → 優良  81~90% → 普通  91~100% → 要注意  101%~ → 赤字

安全余裕率

安全余裕率 (%)=(実際売上高-損益分岐点売上高)÷ 実際売上高 × 100

経営の安全性を評価する指標。実際の売上高から損益分岐点売上高を差し引いた額を、実際の売上高で割って求める。損益分岐点比率と安全余裕率をプラスすると100%になる。安全余裕率は高ければ高いほど赤字転落のリスクが低く、安全な経営と見なされる。

MEMO

実際の売上高と損益分岐点が等しい=損益分岐点比率が100%の場合はプラスマイナスゼロだが、売上を高めるための改善活動に投じるコストが捻出できないため、常に一定の利益を確保する経営が求められる。

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