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CHAPTER4 税務の基礎

Section 03 消費税の仕組みと処理

消費税は一般的に会社の多くの取引に関わってくるので、経理担当者はその仕組みと処理について理解しておこう。

会社は取引を通じて預かった消費税を納める

日々私たちが目にしている製品は、原材料メーカーから小売業者までさまざまな会社を経て私たちの手元に届きます。消費税はその途中で経由する取引ごとに発生し、最終的に負担するのは消費者。生産や流通、販売などを行う会社は取引ごとに消費税を預かり、それぞれが消費者に代わって納付します。

会社は預かった消費税から支払った消費税を差し引いた差額を税務署に納付します(支払った消費税の一部のみ差し引くこともあり)。一般的に売上の計上時に消費税を預かり、原価や経費の発生時に消費税を支払うことがほとんどですので、経理担当者は消費税を常に意識して作業することになります。

消費税の処理には2種類の方法がある

売上や経費などを計上する際に消費税をどのように仕訳するのかについては、「税込経理方式」と「税抜経理方式」という2種類の方法があります。税込経理方式では、期中において消費税を含めた総額で売上・経費などを計上、期末に納付する消費税額を集計して「租税公課」で処理します。対して税抜経理方式は、期中の売上・経費などの計上の際、消費税の金額を「仮受消費税」「仮払消費税」という勘定科目で別に仕訳します。そして期末には預かった消費税=仮受消費税と支払った消費税=仮払消費税の差額を計算、「未払消費税」という勘定科目で計上してその金額を税務署に納付することになります。なお、一般的には税抜経理方式を採用している会社がほとんどです。

ポイント

  1. 消費税は最終的に消費者が負担するが、会社は代わりに納付する。
  2. 会社は預かった消費税から支払った消費税を差し引いた差額を納付する。
  3. 消費税の処理には「税込経理方式」と「税抜経理方式」の2種類がある。

消費税負担の流れ(消費税率10%の場合)

図「消費税負担の流れ」

税込経理方式と税抜経理方式(同じ取引の比較)

表「税務上の費用(損金)として認められる税金の種類」

MEMO

消費税の納付期限は、課税期間(事業年度)の末日の翌日から2カ月以内。ただし、税務署へ申請することで、納付期限を1カ月延長することができる。

Section 03-1 消費税がかかる・かからない取引

消費税がかかるかどうかについては、さまざまな項目が定められているんだ。

課税取引と不課税取引の違いに注意する

消費税の対象となる取引=「課税対象取引」は、次の4つを全て満たすことが要件となります。

①国内において行われるもの(国内取引)であること。
②事業者が事業として行うものであること。
③対価を得て行うものであること。
④資産の譲渡、資産の貸付、役務の提供であること。

また海外からの輸入も、一部を除いて課税対象となります。

これに対して消費税の対象とならない取引が、「課税対象外取引」=「不課税取引」。例えば給与や賃金の支払いは事業の対価ではないので、課税の対象になりません。また寄付金や見舞金、保険金や共済金、また株式の配当金なども、対価を得て行う取引にあてはまらず、いずれも不課税取引となります。

課税対象でも非課税または免税となる取引もある

課税対象取引に含まれるものの、政策上の目的などから消費税が課されない取引もあります。その1つが、国内取引における「非課税取引」。またこのほか輸入取引にも、4項目の非課税取引があります。

また課税対象取引のうち、消費税が免除される「免税取引」もあります。例えば商品の輸出や国際輸送、また輸出物品販売場(免税店)での外国人旅行者に対する免税対象物品の販売などがそうです。なお、免税取引の適用を受けるためには、「輸出許可書」などの保管が必要となります。

ポイント

  1. 消費税の課税対象となる取引には4つの要件がある。
  2. 不課税取引は、課税取引となる4つの要件を1つでも満たさない取引。
  3. 課税対象となる取引にも、非課税取引と免税取引がある。

課税対象取引と課税対象外取引の判定チャート

課税対象取引と課税対象外取引の判定チャート

出典:国税庁「消費税のあらまし 令和4年6月」

国内取引の非課税取引

政策的な理由などで課税されない取引として、以下の13の項目が定められている。

税の性格上、課税対象にはなじまない項目

①土地の譲渡及び貸付け
②有価証券等及び支払手段に類するものの譲渡
③利子を対価とする貸付金など
④郵便切手、印紙及び証紙の譲渡
⑤国などの手数料、外国為替業務など

社会政策的配慮に基づき、課税対象とならない項目

⑥公的な医療保障制度に係る医療の提供など
⑦介護サービスや社会福祉事業に関する資産の譲渡など
⑧助産に関する資産の譲渡など
⑨埋葬料または火葬料を対価とする役務の提供
⑩身体障害者用物品の譲渡や貸付けなど
⑪学校の授業料や入学金など
⑫教科用図書の譲渡
⑬住宅の貸付け

輸入取引の非課税取引(非課税となる外国貨物)

国内取引の非課税取引とバランスを取るため、以下の4つの項目が定められている。

  • 有価証券など
  • 郵便切手類、印紙、証紙、物品切手など
  • 身体障害者用物品
  • 教科用図書

MEMO

非課税売上のために行った仕入で支払った消費税は、原則として差し引いて納税することができない。それに対して免税売上では差し引くことができる。

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