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CHAPTER5 決算の業務

Section 11 法人税申告書と消費税申告書

納税額が確定する申告書の提出は、非常に重要な手続きなんだ。

申告書の提出により納税額が確定する

会社は決算を通じて当期の税金を計算し、決算日から2カ月以内(延長申請している場合は3カ月以内)に「法人税申告書」と「消費税申告書」を税務署に提出しなくてはいけません。また会社の事業所がある都道府県、市町村には同様に「法人事業税・住民税申告書」を提出します。これらの書類を提出することで納税額が確定するため、申告書の提出は非常に重要な手続きとなります。

法人税申告書は、「別表」と呼ばれる複数の書類で構成されています。そのうち別表1が正式な法人税申告書であり、それ以外は納税額が適切であることを証明するために添付される明細書という位置づけです。また申告書には、「決算報告書」「勘定科目内訳明細書」「法人事業概況説明書」などを添付書類としてあわせて提出します。

消費税申告書には「一般用」と「簡易課税用」の2種類がある

消費税の申告は、基準期間(前々事業年度)の課税売上高によって異なる場合があります。まず基準期間の課税売上高が1000万円以下の場合、「免税事業者」となり消費税の申告・納付が免除されます。また基準期間の課税売上高が5000万円以下の会社は、納付する消費税額の計算が簡便な「簡易課税制度」を選択して「簡易課税用」の申告書を提出することができます。これら以外の会社については「一般用」の消費税申告書を提出します。

ポイント

  1. 原則として決算日から2カ月以内に、法人税申告書を税務署に提出する。
  2. 法人税申告書は、「別表」という複数の書類で構成されている。
  3. 消費税の申告書は、基準期間の課税売上高によって異なることがある。

法人税申告書の主な別表

別表一 各事業年度の所得に係る申告書
別表二 同族会社等の判定に関する明細書
別表四 所得の金額の計算に関する明細書
別表五(1) 利益積立金額及び資本金等の額の計算に関する明細書
別表五(2) 租税公課の納付状況等に関する明細書
別表六(1) 所得税額の控除に関する明細書
別表七(1) 欠損金又は災害損失金の損金算入等に関する明細書
別表八(1) 受取配当等の益金不算入に関する明細書
別表十一(1) 個別評価金銭債権に係る貸倒引当金の損金算入に関する明細書
別表十一(1の2) 一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の損金算入に関する明細書
別表十四(2) 寄附金の損金算入に関する明細書
別表十五 交際費等の損金算入に関する明細書
別表十六(1) 旧定額法又は定額法による減価償却資産の償却額の計算に関する明細書
別表十六(2) 旧定率法又は定率法による減価償却資産の償却額の計算に関する明細書
別表十六(6) 繰延資産の償却額の計算に関する明細書
別表十六(7) 少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例に関する明細書
別表十六(8) 一括償却資産の損金算入に関する明細書
別表二十 退職年金等積立金に係る申告書-退職年金業務等を行う法人の分

出典:国税庁ウェブサイト「令和4年4月以降に提供した法人税等各種別表関係(令和4年4月1日以後終了事業年度等又は連結事業年度等分) 」


法人税申告書は20の別表(令和4年現在)と付表からなるが、全てを必ず提出しなくてはいけないわけではない。提出すべき書類は、それぞれの会社の決算内容によって変わってくる。どの法人でも必ず提出が必要となるのは、以下の5つ。

①別表一:各事業年度の所得に係る申告書
②別表二:同族会社等の判定に関する明細書
③別表四:所得の金額の計算に関する明細書
④別表五(1):利益積立金額及び資本金等の額の計算に関する明細書
⑤別表五(2):租税公課の納付状況等に関する明細書

MEMO

法人税は申告期限を過ぎても申告をしなかった、また申告期限を過ぎてから申告した場合、期限後申告と見なされて無申告加算税、重加算税、延滞税などを課せられる場合がある。

法人税申告書(別表一)

法人税申告書(別表一)
法人税申告書(別表1)のポイント

①令和3年4月1日以後に提出する申告書については、代表者及び税理士の押印は不要となった。
②納付する税額は、法人税が15欄に、地方法人税が41欄に記載される。
③翌期へ繰越す欠損金額は28欄に記載される。
④納付と申告書の提出は、期限内であればどちらが先でもかまわない。

消費税申告書(一般用)

消費税申告書(一般用)

「国税」と地方勢の内訳は、標準税率10%では国税7.8%、地方税2.2%で、軽減税率8%では国税6.24%、地方税1.76%なんだ。

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