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CHAPTER1 経理業務の全体像

Section 12 社内の決裁ルール

どんな取引に誰の決裁が必要かを定めた社内ルールを、あらかじめ理解しておく必要があるんだ。

取引の規模や種類に応じて決裁者の役職が変わる

会社が取引を行う場合、決裁の権限を持った決裁者による承認が不可欠。どんな場合に誰の決裁が必要かは、会社ごとにルールが定められています。

例えば文房具など金額の小さな消耗品なら、課長の決裁で購入が認められることが多いでしょう。しかし10万円以上の固定資産の購入となると、部門長の決裁が必要といったルールを多くの会社が設けています。

さらに100万円までの決裁は役員レベル、1000万円超の支出は取締役会の決議が必要といったように、決裁できる契約の内容や規模に応じて決裁者の役職も変わります。また公私混同が起こりやすい交際費や寄付金の支出には特別な決裁が必要、といった社内ルールもよく見られます。

経理担当者はあらかじめ決裁権限規程を理解しておく

そのほか取引先からの注文を受けるかどうかは、「信用調査」(信用取引の相手にふさわしいかどうか)、「与信管理」(この企業とこの金額の取引をして本当に代金が回収できるかどうか)といった判断に基づく決裁が必要です。

こうした決裁権に関する社内のルールを、「決裁権限規程」といいます。経理担当者はこの規程をあらかじめ理解した上で、適正に承認された取引だけを経理処理していくことになります。

ポイント

  1. 会社が行う取引には常に決裁が必要。
  2. 会社ごとに、どんな取引に誰の決裁が必要か定められている。
  3. 経理担当者は適正に承認された取引だけを経理処理する。

決裁権限規程の例

各項目ごとに、その重要度にしたがって決裁権限を持つ役職が定められている。

株主総会・役員 株主総会の招集 / 代表取締役の選定・解職 / 取締役の報酬
●役職の例:取締役会
契約 業務提携など重要な契約締結 / 新規取引先の口座開設
●役職の例:部長 / 役員 / 取締役 / 取締役会 / 監査役
株式 株式の発行・分割、社債の発行 / 自己株式の取得・処分など
●役職の例:役員 / 取締役 / 取締役会 / 監査役
決算・計画 経営計画の策定 / 経営方針の決定・変更 / 会計監査人の選任 / 決算の承認 / 剰余処分金の決定
●役職の例:役員 / 取締役 / 取締役会 / 監査役
関係会社・新規事業 新規事業の開始・休止 / 子会社への投資・債務保証 / 子会社の経営に関する重要事項
●役職の例:役員 / 取締役 / 取締役会
一般経費 国外出張 / 国内出張 / 広告宣伝費 / 会議費・交際費
●役職の例:課長 / 部長
財務・資産 重要な固定資産の取得・処分 / 重要な借入枠の設定・変更 / 与信設定
●役職の例:部長 / 取締役 / 取締役会
組織・人事 機構再編 / 給与体系・労働条件の変更 / 本部長・部長などの任免
●役職の例:役員 / 取締役 / 取締役会 / 監査役
その他 諸規程の新設・廃止
●役職の例:役員 / 取締役 / 取締役会

重要な決裁事項ほど、高い役職でしかも複数の人の承認が必要とされるのが一般的。

MEMO

決裁に似た意思決定の方法に「稟議」がある。稟議は1人の決裁者の権限だけで決裁できない取引について、その内容を説明する「稟議書」を決定権を持つ上層部に回覧して承認を得る手続きを指す。

経理の仕事の流れとしくみがまるごとわかる
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