Section 01 簿記の基本―複式簿記と5つのグループ
経理業務の基本は簿記。簿記によって日々の取引が集計され、年次決算としてまとめられるのだ。
簿記は取引を5つのグループに大別する
「原材料を仕入れた」「商品を納入した」「備品を購入した」など、会社の活動にはお金やモノの出入り=取引がともないます。簿記とは、こうした取引を記録していくための手法のこと。会社の日々の活動は簿記を通じて集計され、その1年間の集大成として年次決算にまとめられます。
簿記では取引を「資産」「負債」「純資産」「費用」「収益」の5グループに大別します。このうち「資産」「負債」「純資産」は貸借対照表を、「費用」「収益」は損益計算書を構成します。さらにこの5グループは、それぞれがSection05-2「基本の財務2表―貸借対照表」で見るような多様な勘定科目に細かく分けられます。
複式簿記によって取引を記録する
取引の記録は、「複式簿記」によって行われます。複式簿記とは、取引を「原因」と「結果」という2つの側面から記録する方法。これによって現金が○○円増加した(結果)のであれば、それがどのような「原因」によるものであるかについても把握できます。
例えば銀行から1000万円借り入れた場合、帳簿の左側に「1000万円の現金(資産)が増えた」(結果)、右側に「1000万円の借入金(負債)が増えた」(原因)ことを記録します。このように1つの取引を2つに分解し、勘定科目とともに記録することを、「仕訳」といいます。
ポイント
- 経理は会社の日々の取引を簿記によって記録する。
- 簿記では取引を5グループに大別する。
- 取引の記録にあたって、複式簿記という方法が用いられる。
簿記の5グループ
貸借対照表を構成する項目
損益計算書を構成する項目
複式簿記の例
MEMO
経理でいう取引は、実際にお金やモノが動いた時点で初めて成立する。現金が盗難にあった、商品が火事で焼失したといった場合も、経理では取引として計上する。ただ契約を交わしただけでは取引とはならない。