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CHAPTER5 決算の業務

Section 12 剰余金の処分

会社の利益の使い道を決めることを、剰余金の処分というんだ。

株主総会での承認を経て剰余金の処分が決定する

会社が決算を経て確定した利益の使い道を決めることを、「剰余金の処分」といいます。決算日の翌日から3カ月以内に開催されることが多い株主総会で取締役会が計算書類を提案し、これが承認を受けて初めて剰余金の処分が決まります。

剰余金の処分には、株主配当金として株主に利益を分配する=「剰余金の配当」、利益準備金や任意積立金として社内に留保する=「内部留保」の2通りがあります。前者は社外に現金が流出するのに対し、後者は現金が社内にとどまることになります。

株主総会での決定を受けて利益をそれぞれの勘定に振替える

剰余金の処分の流れは、次の通りです。まず決算で確定した当期純利益は、純資産の部の「繰越利益剰余金」に振替えられて管理されます。次に株主総会での決定を受けて、株主への配当金は「未払配当金」(負債)、社内留保分は「利益準備金」(純資産)や「任意積立金」(同)など、それぞれの勘定科目に振替えます。

現金が社外に流出する配当は、会社の財産が減少することになります。そのため会社債権者などの保護を図る意味で、配当額の10分の1を利益準備金に積み立てる、また配当の金額に上限を設ける=「分配可能額」などが会社法で定められています。

ポイント

  1. 決算で確定した利益の使い道を決めることを剰余金の処分という。
  2. 剰余金の処分には、株主への配当と社内留保の2通りがある。
  3. 配当には、会社債権者などの保護を図るための制限が設けられている。

剰余金の処分の流れ

決算

株主総会で剰余金の処分が決定するまで、当期純利益を「繰越利益剰余金」の勘定科目で計上しておく。

表「剰余金の処分の流れ」1
剰余金の処分が決定
各々の勘定科目に振替え

剰余金の処分が株主総会で承認されたことを受け、「繰越利益剰余金」を「未払配当金」(配当)、「利益準備金」や「任意積立金」(社内留保)などの科目に振替える。

表「剰余金の処分の流れ」2
配当

株主への配当金支払いにあたり、その額に応じて負債である「未払配当金」を減少させる。

表「剰余金の処分の流れ」3

企業会計原則では、まず資本金と剰余金とを区別し、さらに剰余金を資本準備金、利益準備金、その他の剰余金に分類している。これに対して会社法は分類が異なり、株主資本を資本金、資本剰余金、利益剰余金に区分する。それぞれ定義が少し異なる点にも留意が必要だ。

会社法の剰余金の配当に関する定め

会社法第453条
株式会社は、その株主(当該株式会社を除く。)に対し、剰余金の配当をすることができる。

MEMO

利益が出ていて計算上は分配可能額が存在している場合でも、純資産が300万円を下回る場合には配当を行うことが認められない。これも債権者保護を目的とした措置。

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