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CHAPTER5 決算の業務

Section 04 さまざまな残高の確認

期末の残高をチェックするのも決算の重要な作業なんだ。

預金や借入金は金融機関から残高証明書を取り寄せ確認する

決算にあたって、さまざまな残高の確認を行います。まず在庫の残高確認として実施されるのが「棚卸」。月次では帳簿上で確認する帳簿棚卸で済ませることも一般的ですが、期末には現物をチェックする実地棚卸が行われます。

現金は、現物と帳簿を照合。預金は、金融機関から残高証明書を取り寄せて帳簿の残高と突き合わせます。借入金も同様に、残高証明書で期末時点の残高を確認。元利均等で返済している場合は毎月の元本の返済額が異なるため、残高の確認が特に大切です。

売掛金、買掛金は取引先に残高確認書を送付する

売掛金・買掛金の残高は、自社の記録だけでは正しいとは限りません。そこで会計士による監査が入る会社などでは仕入先や得意先に決算日時点の売掛金、買掛金の残高を書面(残高確認書)で問い合わせ、双方の認識が一致しているかどうか確認します。全ての取引先に確認を行うのが理想ですが、数が多い場合は残高が一定額以上の取引先は全件、それ以下のものは無作為抽出した企業に送付します。

問い合わせた結果が自社の記録と異なることも、珍しくありません。主な原因としては、取引先との計上基準(CHAPTER2 Section13-1「売掛金の管理―売上の計上基準」参照)の違いがあります。そのほか締め日のズレ、消費税の端数処理の方法が異なる、計上している科目が異なるなどがよくある原因といえます。

ポイント

  1. 借入金も残高証明書で期末時点の残高を確認する。
  2. 売掛金・買掛金は取引先との認識が一致しているかどうか確かめる。
  3. 一致しない場合、計上基準の違いや締め日のズレなどがあることが多い。

決算に際しての残高確認

決算では、「在庫」「現金」「預金」などさまざまな項目の残高をチェックする必要がある。

在庫 商品、製品、原材料などを対象に、実地棚卸を行う。
現金 現物と帳簿上の残高を照合する。
預金 金融機関から取り寄せた残高証明書を帳簿と照合する。
借入金 金融機関から取り寄せた残高証明書を帳簿と照合する。
売掛金・買掛金 取引先ごとに書面で確認を行い、取引先別売掛金管理表・取引先別買掛金管理表の残高と一致しているか確認する。
固定資産 総勘定元帳の固定資産の金額と固定資産台帳の金額を照合する。
貯蔵品 切手・収入印紙などの期末未使用分を確認し、流動資産に計上する。

取引先と認識が異なる場合

取引先に売掛金・買掛金の残高確認書を送付して問い合わせた結果が自社の帳簿と異なる場合、以下のような原因が考えられる。

処理の漏れ・誤り 単純な処理のミスの他、値引きや返品の未処理などもある。
端数処理 消費税の端数処理の方法が異なることから、数円~数十円の差額が生じる場合がある。
債権・債務の認識時期 例えば自社の売上の計上時期が出荷基準、取引先の仕入の計上時期が検収基準だった場合、月末近くの取引の計上に差異が生じる場合がある。
締日 例えば自社が25日締め、取引先が月末締めといった場合、残高に差が生じ得る。

MEMO

会計士の監査が入る会社の場合、取引先と残高が一致しているかどうかが監査上の重要な項目とされる。監査法人が直接取引先へ残高確認書を送付することも多い。

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