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CHAPTER5 決算の業務

Section 03 決算整理

当期に計上すべき損益と決算日時点の資産などの残高を確定する作業が決算整理なんだ。

決算日における各勘定科目の残高を確定する

今月納品した商品の代金を来月回収する、あるいは固定資産を数年がかりで減価償却するといった具合に、会社の取引は一定期間にわたって行われます。しかし決算では、決算日における各勘定科目の残高を確定します。そこで行われるのが、「決算整理」。例えばどの取引を当期に計上するか、あるいは翌期以降の計上とするか、といった処理を行います。

社外への確認はスケジュールを立てて処理する

決算整理は項目が多岐にわたりますが、月次決算のたびに行っている場合は年次決算での作業はそう多くはありません。ただし社外への確認事項もあるため、そのスケジュールを事前に確保しておく必要があります。

主な決算整理の項目は、下記図の通り。例えば現金は現物と帳簿の残高が一致していない場合、期末の時点で帳簿を現物に合わせる形で処理。また預金は全ての取引銀行の残高と帳簿上の残高を突き合わせ、一致していない場合は銀行の残高に合わせます。売掛金・買掛金は、相手先と残高を確認し合った上で、締日から決算日までに発生した取引を締後分として計上。棚卸資産は実地棚卸によって確定させた在庫数から「期末商品棚卸高」を算出。これに基づいて売上原価も確定します。また固定資産は、耐用年数に応じて減価償却費を計算して期末帳簿価額を算出します。そのほか仕訳の漏れや誤りなども決算整理を通じて修正し、正確な決算を徹底するよう心がけます。

ポイント

  1. 決算整理では、多岐にわたる項目を処理する。
  2. 月次決算で行っている場合は、年次決算での作業はそう多くない。
  3. 仕訳の漏れや誤りなども決算整理を通じて修正する。

主な決算整理の例

現金・預金 現金実査を行った上で、帳簿の残高と突き合わせる。日常業務で残高確認をしていれば、差異は生じない。どうしても判明しない少額な誤差があれば、雑損失・雑収入で処理する。預金は銀行が発行する残高証明で、決算日の残高をチェック。
売掛金・買掛金 決算日時点で未回収の売掛金および支払っていない買掛金の残高を確定。いずれも相手先と相互に確認する。
売上高・仕入高 請求書を締めた後に発生した売上の有無をチェック。また仕入高は各部門の集計と突き合わせ、締日と決算日の調整が必要かどうかなどを確認する。
売上原価 実地棚卸で棚卸資産の額を確定。例えば販売業の場合は「期首商品棚卸高+当期仕入高-期末商品棚卸高」と計算して求める。
仮払金・仮受金 内容を確認した上で正しい勘定科目に振替え、残高がゼロになるよう処理する。
未払消費税 当期中に預かった消費税から支払った消費税を差し引いた金額を元に納付すべき消費税額を確定。未払消費税として計上する。
収益・費用の 見越・繰延 見越・繰延とは、複数の会計期間に及ぶ損益を適正な期間に区切って配分する仕訳のこと。未収収益・前受収益・未払費用・前払費用を計上し、当期の収益・費用を確定する。
引当金 貸倒引当金、賞与引当金、退職給付引当金などを計上する。損金となる貸倒引当金の計上額の計算については、税法において繰入限度額が定められている。
固定資産 有形固定資産は現物を確認する。耐用年数に応じて償却計算を行い、帳簿価額を確定する。また固定資産台帳の登録漏れや除却漏れがないかも確認する。
有価証券 売買目的の有価証券は、期末時点での時価を帳簿価額として差額を評価損益で計上する。
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