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CHAPTER3 給与計算と年末調整

Section 06 退職金に関する税金の手続き

退職金にも所得税と住民税がかかる。ただし給与と計算方法が異なることを知っておこう。

計算基準や支給方法について社内の規定をよく把握しておく

退職金は給与と異なり、法律で支払いが義務づけられているわけではありません。ただし多くの会社では、就業規則退職金規程に基づいて支払いが行われています。計算基準や支給方法について、社内の規定をあらかじめよく把握しておかなくてはいけません。

退職金は給与と同様に所得税住民税が課税されます。ただし社会保険料はかかりません。退職金は税制上ほかの所得に比べて優遇されており、税額の計算方法も給与とは異なります。

退職所得控除額を計算し、課税対象となる退職所得を算出

処理にあたってはまず、退職金の支払いを受ける従業員から「退職所得の受給に関する申告書」を提出してもらいます。そして所得税・住民税の税額を求めるため、勤続年数を基準に退職所得控除額を計算、続いて以下の式で課税対象となる退職所得を算出します。

(退職金の額 - 退職所得控除額)× 1 / 2 = 退職所得(課税対象額)

この退職所得の額に所定の税率をあてはめて、所得税・住民税を求めます。また退職金を支給したら「退職所得の源泉徴収票・特別徴収票」を作成し、退職日以後1カ月以内に本人へ送付します。

ポイント

  1. 退職金も給与と同様に所得税と住民税が課税されるが、税額の計算方法は異なる。
  2. 従業員からは「退職所得の受給に関する申告書」の提出を受ける。
  3. 退職金支給後、「退職所得の源泉徴収票・特別徴収票」を作成・送付。

退職所得の受給に関する申告書

退職所得の受給に関する申告書

MEMO

退職所得の受給に関する申告書の提出がない場合、退職金額×20.42%が源泉所得税額となる。提出した場合に比べて税額が高額なため、注意が必要。なお本人が確定申告すれば過大に徴収された分は還付される。

退職所得の源泉徴収票・特別徴収票

退職所得の受給に関する申告書

出典:国税庁「退職所得の源泉徴収票・特別徴収票」

退職所得控除額の計算の表

勤続年数(=A) 退職所得控除額
20年以下 40万円×A(80万円に満たない場合には、80万円)
20年超 800万円+70万円×(A-20年)

出典:国税庁「No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)」

退職金の制度は会社によって大きく違うので、あらかじめ就業規則や退職金規程に目を通しておこう。

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